21ky-36
滝澤 夏央(関根学園)遊撃&投手 167/64 右/左 | |
小柄ながら俊敏な動きで、三拍子揃った好選手との印象を受ける 滝澤 夏央 。最後の夏は、故障などで調整は遅れたものの、背番号1をつけて大会終盤にはマウンドに上っていた。かなりドラフト戦線においては、隠し玉 的色彩が強い選手。一体どのような選手なのか? 考察してみたい。 守備面:☆☆☆★ 3.5 遊撃手としては、小柄だけあって細かいステップを刻める選手です。球際でのボールさばきも好いですし、一歩目の反応やニ遊間選手らしくスピード感もあります。投手としても、135キロ前後を刻めるように地肩もそれなり強い選手。守備に関しては、プロでもニ遊間を意識できる素材であるのは間違い有りません。ただし、少し送球に雑なところがあるかなと感じる部分も無きにしもあらずか。 走塁面:☆☆☆★ 3.5 積極的に、セーフティバントなどを仕掛けて足で揺さぶって来るスタイル。50メートル5秒台と言われる脚力も、実戦でも左打席から3.9秒台・セーフティバント時には3.7秒前後のタイムを叩き出します。そういった走力を全面に出すプレースタイルなのですが、盗塁はそれほど多くないのは気になる材料です。 現状、守備・走塁の技術には課題は残すものの、いずれも磨けばプロで売りにできる領域まで行ってもおかしくはないと考えられます。 (打撃内容) 2年生に患った腰痛の影響なのか? 夏の大会も準々決勝の日本文理戦でようやく登場(先発)。結局この試合では、来年のドラフト候補になりそうな 田中 晴也(2年)右腕に、4打数0安打 と抑え込まれ敗戦致しました。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を引いた左オープンスタンスで、グリップは比較的高めに添えます。腰の据わり具合、両眼で前を見据える姿勢も良く、全体のバランスにも優れた好い構えだと言えます。 <仕掛け> 早め 一度足をベース側につま先立ちするのですが、始動としては「早めの仕掛け」になっており、立ち遅れることはありません。典型的な、アベレージヒッターに多く見られる仕掛けです。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を早めに引き上げて、長く空中でキープしベース側に踏み込んできます。始動~着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい。またベース側にインステップするように、外角への意識は高そう。 踏み込んだ足元は、インパクトの際に止まっており、逃げてゆく球や低めの球にもついて行けます。気になるのは、左の俊足系選手がインステップすると、最初の一歩目が遅れるので率が残り難い傾向があるのが気になるところでしょうか。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」も自然体で、力みなくボール呼び込むことができています。バットの振り出しにも大きなロスはなく、けしてインサイドアウトのスイング軌道でもないのに、内角の球に対し開くことなくキレイにバットが振り抜けます。 バットコントロールも悪く無さそうですが、腰痛の影響なのか? まだまだ打撃にひ弱は感じる部分があります。そのへんを、西武の指導や環境下で改善して行けるかがポイントでしょう。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げは静かで、目線の上下動は少なめ。身体の開きも我慢でき、軸足にも粘り強さが感じられて軸は安定しています。 (打撃のまとめ) 怪我の影響で練習を充分積めなかったのか? あるいは、小柄でけして肉付きの好い選手でもないので筋力が足りないのか? まだ打撃に弱さを感じてしまったのは確かです。それでも当て勘自体は悪いとは思いませんし、技術的には想像以上にしっかりしたものを持っていました。そういった、土台としては打撃も悪い選手ではないように思えます。 (最後に) 守備・走塁 の素材としての魅力は、プロでも売りにできるレベルまで行けるかもしれません。打撃に関しては、まだプロのそれといったレベルには見えなかったものの、これは故障の影響かもしれませんので、本当のところはわかりません。そういった不確定要素はありますが、育成ならばこういった選手が指名されたのもわからなくはありません。今後、西武の環境でどのぐらいの選手に育ってゆくのか、密かに注視して行きたい選手ではないのでしょうか。打撃の形などは、少し 石井琢朗(元ベイスターズ)を彷彿とさせるものがありました。 (2021年夏 新潟大会) |