21ｋｙ-34
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| 花田 旭（東洋大４年）右翼 １８７／８７ 右／右 （大阪桐蔭出身） | |||||||||||||||||||
大阪桐蔭時代から、ツボにハマった時の長打力と強肩には定評のあった 花田 旭。当時はまだ線が細かったが、現在は体も大きくなり、高校時代の脆さも解消されつつある。 走塁面：☆☆☆ 3.0 一塁到達タイムは右打席から4.45秒前後。これを左打者に換算するとおよそ4.2秒（プロ基準4.1秒）で、若干基準を下回る。 4年春に3盗塁を記録しているが、通算でも多くはなく、決して動けない選手ではないものの、プロで「足を売りにする」タイプではない。 守備面：☆☆☆★ 3.5 高校時代から打球反応・落下点への入り方・キャッチングなどは平均以上。脚力があるわけではないため守備範囲は広くはないが、無難にライトを守れる守備力はある。肩もプロに入っても「中の上～上の下」程度は期待でき、充分に通用するレベルだ。 走守ともに明確な売りにはならないが、強打が売りの選手として大きく見劣りすることはないだろう。 （打撃内容） 1年春からリーグ戦に出場し、1年秋からレギュラー定着。最終学年では打率.341（リーグ4位）と高打率を残す一方、出塁率.449、長打率.524、OPS.973と、大学リーグでは非常に優秀な数字をマーク。特に出塁率が打率を10％以上も上回っている点は、四死球をしっかり選べる我慢強さとボール球の見極めが優れている証拠であり、プロでも生きる大きな強みと言える。
IsoP（孤立パワー＝長打率－打率）は.183。大学レベルでは充分なパワー指標であり、コンタクトしながらも「ただのヒットメーカー」ではなく、しっかり二塁打以上の長打を稼げる中距離打者であることを示している。K%（三振率）は18.4%（100打数あたり18.4三振）と平均的、BB%（四球率）は16.3%と非常に高い。三振はそこそこするが、四球を多く取れるため「アウトになりにくい打者」であり、プロの投手がゾーンに投げ込んでくる環境でも出塁貢献度が高くなりやすいタイプだ。
＜構え＞ ☆☆☆☆ 4.0 右打席で両足を揃えたスクエアスタンス。踵を軽く浮かせ、グリップを高めに置く典型的な強打者スタイル。腰の据わりや全体のバランスが良く、両目でしっかり前を見据える姿勢も安定している。強打者らしい雰囲気のある構えだ。 ＜仕掛け＞ 遅すぎ 投手の重心が下がりきったあたりで軽くつま先立ちし、本格的な動き出しはリリース直前という「遅すぎる仕掛け」を採用。 日本人選手の平均的な筋力・ヘッドスピードで考えると、プロレベルの投手に対してはかなり厳しいタイミングではある。それでもこれまでこのタイミングで結果を残してきた選手であり、壁にぶつかるまでは自分のタイミングを貫いてほしい。 ＜足の運び＞ ☆☆☆ 3.0 小さくステップしてインステップ気味に踏み込む。始動が遅い分、始動～着地までの「間」はほとんど取れていないため、狙い球を絞って逃さない鋭さが求められる。インステップすることからも、外角球への意識が強いタイプではないかと思われる。 踏み込んだ前足はインパクトの際にしっかり止まっており、開きを我慢できている。そのため逃げる球や低めにも対応しやすく、右方向への打ち返しも苦にしない。 ＜リストワーク＞ ☆☆☆★ 3.5 トップは早めに作れており、始動の遅さをカバーしている。スイング軌道はインサイドアウトというよりは若干遠回り気味だが、ヘッドが極端に落ちていないためドアスイングにはなっていない。広い面でボールを捉えており、打球がフェアゾーンに飛びやすい。スイング弧も大きく、強烈なライナー性の打球を量産する原動力となっている。 ＜軸＞ ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げが小さく、目線の上下動が少ない。体の開きも我慢でき、軸足の形も安定。内腿の筋肉も発達しており、軸を中心に綺麗に回転できるスイングで、強烈な打球を生み出す大きな要因となっている。 （打撃のまとめ） 「間」が取れないスイングのため、いかに打てる球を見極めて逃さず叩けるかが最大のポイント。まともに捉えれば広角に強い打球を飛ばすパワーは十分にあるが、現状は角度をつけた本塁打量産型というより、野手の間を抜ける鋭いライナーやゴロの長打が多い中距離・ポイントゲッタータイプと言える。 （最後に） 強打者の割に走守に大きな穴がなく、最終学年では課題だった対応力・確実性も向上してきた。ただし「天性のスラッガー」というほどの突出した本塁打数を放っているわけではなく、現段階では中距離打者の色彩が強い。プロに入ると対応力やパワーで抜きん出ているわけではないため、早い段階で自分の生き残る道を見極める必要があるだろう。個人的には、☆（支配下級）とまでは評価できず、育成枠でじっくり育てたいタイプの選手という印象を受けた。それでもプロの舞台で異彩を放つことができるのか、注目して行きたい。 （2025年 秋季リーグ戦） |
| 花田 旭（大阪桐蔭3年）右翼 １８６／８４ 右／右 | |
選抜で見た時は、確か６番・右翼手として出場していた 花田 旭 。すごく将来性は秘めていそうなのだけれども、まだ線が細く本格化していなかった。そんな花田が、夏の大会では４番打者として出場していたのは驚きでもあった。 走塁面：☆☆☆★ 3.5 一塁までの到達タイムは、右打席から４．３～４．４秒ぐらいが多い気がします。これを左打者換算にすると、４．０５秒～４．１５秒ですからプロの標準～少し遅い程度のタイムです。しかし、この夏の大阪大会では、５盗塁を記録。どちらかというと、加速してから速いタイプだと見ていたので、ここまで盗塁をする能力や意識もあるのかと驚きでした。プロに混ぜてみたら、こんなに足が速かったのかと驚かされるタイプかもしれません。 守備面：☆☆☆ 3.0 落下点までの入り方やボールの追い方、守備範囲などは平均的な外野手だと感じます。また球際での強さや送球の精度という意味では課題を残します。ただし、ライトからの返球・地肩の強さは相当なもので、プロでも売りにできるぐらいのスローイングを魅せてくれます。そういった意味では、動作の切り返しはやや緩慢なものの、かつての 広澤 克実（元ヤクルトなど）を彷彿とさせるタイプなのかもしれません。守備でも大学で細かい部分まで追求できれば、守備面での評価も上がってくるのではないのでしょうか。 強肩・俊足という身体能力はあるので、それを磨く術や意識を持っているかにかかっています。大型ですが、動けるだけの身体能力の持ち主でスペックは相当高いのではと。 （打撃内容） 腕の長い選手なのですが、腕をしっかり伸ばして叩く打撃よりも、上手くたたんでさばくスイングを得意にしているように見えます。夏の東海大菅生戦で魅せた、センターバックスクリーン弾は圧巻でした。甲子園ではこの一本で終わりましたが、大阪大会では打率.556厘のハイアベレージも残しています。 ＜構え＞ ☆☆☆★ 3.5 スクエアスタンスで両足を揃え、前の足をカカトを浮かせつつグリップの高さは平均的。背筋をしっかり伸ばし、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしてはそれなりといった感じ。やはりまだ、線の細さは感じてしまいます。 ＜仕掛け＞ 平均～遅め 投手の重心が沈みきった底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く見られる始動のタイミングです。しかしツーストライク取られると、ベース側につま先立ちして、小さくステップする打撃に切り替えてきます。それでも投手が重心が前に移動する段階での始動なので、「遅めの仕掛け」ぐらいであり遅すぎることはありません。 ＜足の運び＞ ☆☆☆ 3.0 足を軽く上げて、ベース側に踏み込んできます。始動～着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。インステップして来るように、意識は外角寄りに強いようです。ただし内角のさばきは上手いので、どちらかというと苦手な外角球を捉えやすくするためではないかと。 気になるのは、インパクトの際に踏み込んだ足元が動きやすいこと。まだ上半身と下半身のバランスが悪いというのもあると思いますが、引っ張りの意識が強いために足元が早く地面から離れるのでしょう。引っ張る時はそれで良いのですが、センターから右方向に打ち返そうとすると、「開き」が我慢できず逃げてゆく球は辛いです。ただしこの選手、低めの球を拾うのは好きなようで、むしろ高めの球の方がさばくのは下手のように見えます。 ＜リストワーク＞ ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形を早めに作ることで、速い球には立ち遅れません。バットの振り出しは、上からミートポイントまで振り下ろすので、インパクトまではロスは少ないですし、内角寄りの球を開かずにさばくのは上手いです。 むしろ長打が多いのは、インパクトの際にバットの先端であるヘッドをボールの下に潜りこませるようにして、打球に角度をつけて飛ばすのが得意だからではないのでしょうか？ ボールを広い面で捉えられないぶん打ち損じは多いとは思いますが、長打が生まれやすい打ち方ではあります。けしてフォロースルーを使って打球を遠くに運べるわけではないのですが、最後まで大きな弧で振り切れており、強烈な打球を生み出す原動力にはなっているはずです。 ＜軸＞ ☆☆☆ 3.0 足の上げ下げが小さい割には、自分から多少ボールを追ってツッコんでしまうところがあるようです。また足元も動いてしまうので、力をロスしたり開きが我慢しきれていません。それでも、軸足は地面から真っ直ぐ伸びており、軸を起点にはキレイに回転して打てています。まだ強打者の割に、軸足の内モモの筋肉に強さが感じられません。ここを鍛えることで、打球の速さや飛距離は格段に変わって来るのではないのでしょうか。そういった緩さが無くなることが、大学での目標であるようにも思えます。 （打撃のまとめ） まだまだ肉体的にも技術的にも発展途上といった感じで、今後の取り組みや指導者に恵まれれば伸びて行ける余地が大いに残されています。逆にこういった部分が改善されないまま4年間行ってしまうと、身体を活かしきれない素材型の域を脱しないことになりそうです。 （最後に） 身体能力の高い右の大型野手だとなると、ラオウこと 杉本 裕太郎（オリックス）のような選手に育って欲しいですね。その資質は充分あり、大学での4年間が彼の成長にとって欠かせない時期になろうかと思います。プロで資質を伸ばす手もありますが、まだまだ「旬」と呼べる選手ではないので、この選択が結果的に彼にとって良かったと思える日々が来ることを祈ってやみません。 （２０２１年夏 甲子園） |
