21ky-33
中川 勇斗(京都国際3年)捕手 170/70 右/右 | |
フレーミングを強く意識したキャッチングや、相手の裏をかくリードなどをみていると、この選手は捕手という役割が好き好きでたまらない、マニア なのではないかと思えてくる。この選手は、キャッチャーを天職として楽しめるタイプなのではないのだろうか。 (ディフェンス面) 結構、負けん気が強い選手なのではと感じます。捕ってはすぐに座ったまま返球するなど、テンポを重視したボールまわし。構えたミットを一度地面に下げてしまう癖があり、ワンバウンド処理や上から捕りにゆきたがるキャッチングには課題を残します。それでもフットワークが素早いので、下からさっとミットが出るときもあります。また際どいコースなどは、フレーミングなどの捕り方を研究しているのか、その辺の技術には長けたものがあるのではないのでしょうか。 スローイングに関しては、1.8秒台中盤ぐらいでまとめられたり、再三出塁したファーストランナーを送球で威嚇したりしてきます。捕ってから投げるまでのスピードもありますし、地肩も基準以上。ドラフト候補としては、中の上 クラスの送球能力はあるのではないのでしょうか。またリード能力はピカイチで、まさにリード厨なのではないかと思えるほどです。そういった研究熱心だったり勝負勘には優れていそうで、小柄ではあるものの充分にドラフトにかかるレベルのディフェンス力はあるのではないのでしょうか。あとは、投手の気持ちを察したりとか、周りへの意識・配慮などが磨かれると良い捕手になれそうです。 (打撃内容) チームでは3・4番を務め、夏の甲子園では2本のホームランを放つなどパンチ力のあるところを魅せていました。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰の据わり、両眼で前を見据える姿勢、全体のバランスと、それなりといった印象。 <仕掛け> 平均的 投手の重心が沈みきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる仕掛けです。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 足をしっかり引き上げて、ややベース側に踏み込んできます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。ベース側に少し踏み込んで来るので、やや意識は外角寄りにあるのかなといった印象は受けます。 踏み込んだ足元は、なんとか地面にめり込ませ開きを抑えています。それでも右方向に打ち返すというよりも、引っ張りを好む傾向があるようです。今後は、コースによってセンターから右方向へも打ち返す幅みたいなものを身につけて行きたいところ。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 打撃の準備である「トップ」の形をつるくのは自然体で、ボールを力みなく呼び込めます。また振り出しからインパクトまでのスイング軌道にロスがなく、インパクトの際にもバットの先端が下がらずにボールを広い面で捉えています。けしてフォロースルーを生かしたスイングではないのですが、スイングの弧を大きくとり強烈な打球を生み出します。 <軸> ☆☆☆ 3.0 足の上げ下げは大きいので、目線の動きは並ぐらい。身体の開きはなんとか我慢できており、軸足の形も地面から真っ直ぐ伸びているとは言えません。それでも、軸足の内モモの筋肉は適度に発達しており、強い打球を生み出す原動力にはなっています。 (打撃のまとめ) 引っ張りへの意識が強く、打球の方向が偏りがち。そのため今後は、センターから右方向への打撃も重視し幅を広げて行きたいところ。素晴らしいのは、上半身の動きに悪い癖がないこと。スイングの強さやパンチ力も秘めており、小柄でもひ弱さを感じさせることなく、パンチの効いたスイングになっています。打撃でも、高校からプロに入るだけのレベルにはあるのではないのでしょうか。 (最後に) 素材的にはA級といったほどではないにしろ、天職と思われるほど研究熱心な一面が感じられます。それでいて、打撃でも地肩でも水準を満たしており、高校からプロに入るだけのレベルにはあるのではないかと評価します。甲子園でも存在感のあるプレーを魅せており、育成枠ではなく本会議中で指名されるのではないのでしょうか。こういった仕事が好きで好きでたまらないような選手が、プロでどんな活躍を魅せてくれるのかは大変興味深いものがあります。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2021年夏 甲子園) |