21ky-29
東出 直也(小松大谷3年)捕手 170/68 右/右 | |
夏の甲子園・高川学園戦では、3番打者として3安打を放ってみせた 東出 直也 。守っても強肩を生かした守備などで、攻守にバランスの取れたところを魅せてくれた。身体は小柄でも、育成会議あたりでは名前が呼ばれても不思議ではない選手だった。 (ディフェンス面) 地面を着けたところから上げて捕球するのだが、これ自体はあまり問題がないと考えている。一度上げていたミットを地面に着けて上げるという大きなアクションにはならないからだ。それも投手が投げる時には、ミットを示すことができ的がつけ難いということもないだろう。捕球自体は悪くないし、ワンバウンドするような球にも下からミットが素早く出るなど、よく鍛えられている印象。 結構負けん気が強い性格なのかなといった印象は、リードを観ていたり所作を見ていて感じた。ただそれが、悪い方向に向かない感じにも見えたので、丁寧や気遣いができるタイプではないかもしれないが、投手を鼓舞したりして周りにしっかり指示を出して引っ張って行けるタイプではないのだろうか。スローイングは、捕ってから投げるまでの動作に少し課題がある。そのため地肩も強く送球も安定している割に、タイムは1.9秒前後と平凡なものになってしまっている。しかしこのへんは、良い指導者がつけばもっとタイムを縮めて来ることも可能だろう。純粋に肩という意味では、プロの基準を満たすものは持っているのはないかと。 ディフェンス面で言えば、A級ではないかもしれないが、プロでやって行けるぐらいのレベルにはあるように思える。けして打力が無い選手でもないので、評価する球団は評価するのではないのだろうか。 (打撃内容) 高川学園戦では、第一打席に甘い球を逃さずセンター前にタイムリー。強い当たりを放ったかと思えば、外角低めのスライダーを拾っての技ありのヒットを放つなど、中々長短織り交ぜていろいろな面が見られた。 <構え> ☆☆☆ 3.0 前の足を引いて、グリップは高めに添えて捕手側に引いて構えます。背筋を伸ばしつつ、両眼での見据えは平均的。少し癖のある構えなのですが、本人がしっくり来るのであればそれで良いと考えます。 <仕掛け> 平均的 投手の重心が沈みきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く見られる始動のタイミングです。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 足をそれほど上げないで回し込み、真っ直ぐ踏み込んできます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み込むように、内角でも外角でもさばきたいという万能型。 踏み込んだ前の足は、地面にめり込ませてなんとか止めている感じ。そのため元来は、センターからレフト方向に巻き込みたいタイプで、あまり逃げてゆく球や低めの球への対応は優れていないのではないかと。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 あらかじめグリップを捕手方向に引いて添えているので、打撃の準備である「トップ」はいち早く作れています。その分バットを捕手方向に強く引いている分、リストワークに遊びがなくなり、柔軟性は損なわれるリスクが生じます。 バットの振り出しも、遠回りしてインパクトまで来ます。それでもインパクトの際には、バットの先端であるヘッドは下がらず広い面でボールは捉えられています。タイミングさえあえば、フェアゾーンにボールが飛んでゆくのではないのでしょうか。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動はそれほどでもありません。足元もなんとか開きを我慢していますし、軸足の形も大きくは崩れてはいませんでした。 (打撃のまとめ) 身体は小さくても、スイングにひ弱さはありません。甘い球を逃さない「集中力」も良いのですが、金属打ちといった感じで木製バットへの対応には少し時間がかかるかもしれません。しかし、根本的な打撃能力は悪くないので、時間がそれを解決してくれるのではないかと。 (最後に) 攻守に粗さがあり、5年ぐらいはかかるかもしれません。それでも本人が、どうしても高校からプロという強い意志があるのであれば、負けん気も強そうな選手なので這い上がってきても不思議ではありません。現状、☆ を付けるほどの絶対的なものは感じられませんでしたが、育成枠あたりならば指名して来る球団があっても不思議ではないとみています。会議当日の評価を、注目して見守りたいものです。 (2021年夏 甲子園) |