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 阪上 翔也(近畿大4年)右翼 180/85 右/左 (神戸国際大附属出身)





 「外野手で一番大物になりそう」





 2025年のドラフト候補の外野手の中で、将来性と即戦力を兼ね備えた選手として注目されるのが、近畿大学の 阪上 翔也 だ。神戸国際大附属高校時代からドラフト本会議での指名が期待できる逸材と評価していたが、大学4年間でさらに進化を遂げた。


走塁面:
☆☆☆★ 3.5

 左打席から一塁までの駆け抜けタイムは4.05秒前後と、ドラフト候補としては
標準的。2025年春のリーグ戦では14試合で7盗塁を記録し、走塁意識の高さを示した。プロで俊足を売りにするほどのスピードはないが、状況判断の鋭さと積極性により、年間10~15盗塁を期待できる可能性がある。

守備面:
☆☆☆★ 3.5

 脚力を活かした広い守備範囲は持たないが、打球への反応と落下点への入りは安定している。高校時代は投手として最速145キロを記録しており、送球は遠投110m以上とプロでも強肩の部類。強打者ながら守備での貢献度も低くくなく、両翼ならば問題なくこなせそうだ。






打撃内容

 2025年春のリーグ戦
(14試合)で打率.434(リーグ2位)、1本塁打、12打点、出塁率.500を記録。フルスイングが特徴だが、粗っぽさが減り、コンタクト率が向上。天性の長距離打者ではないものの、想像以上に打球が伸びてゆく

構え:
☆☆☆ 3.0

 ややクローズドスタンス(内側に閉じた構え)を採用し、グリップの高さや腰の据わりは標準的。両眼で投手を捉える姿勢も安定。クセのある構えだが、打撃に悪影響はない。高校時代は腰を深く沈めた硬いフォームだったが、現在は柔軟性が増し、自然な構えに変化している。

仕掛け:遅め

 投手の重心が沈みきり、前に移動する段階で動き出す「遅めの仕掛け」(ボールを手元まで引き付けるタイミング)を採用。スラッガータイプに多い始動で、ボールを見極める能力が高くなった。高校時代の「早めの仕掛け」に比べ、タイミングの取り方が大きく変わっている。

足の運び:
☆☆☆★ 3.5

 足を軽く上げ、真っ直ぐ踏み出すスタイル。始動から着地までの「間」が短く、狙い球を逃さない鋭さが光る。内角・外角問わず対応可能な直線的な踏み出しで、
インパクト時に前足が動かず開きを抑制できるため、低めや逃げる球にも対応力が高い。高校時代は早めに下半身がロックされ上半身主導のスイングだったが、現在は下半身の連動性が向上している。

リストワーク:
☆☆☆☆ 4.0

 打撃準備の「トップ」(バットを構える位置)を早めに作り、遅い始動を補う。スイング軌道はインサイドアウト(内側からバットが出る軌道)ではないが、外角球を捉えるまでにロスが少なく、コンタクト率が高い。インパクト時にバットヘッドが下がらず、広い面でボールを捉えるため、フェアゾーンへの打球が多い。

 スイングの弧が大きく、フルスイングでライナー性の打球を量産。高校時代は体の力に頼ったスイングだったが、現在は技術的な完成度は高まった。

軸:
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げが静かで、
目線の上下動が少なく、ボールを正確に追える。体の開きを我慢でき、内角球にも対応可能。軸足の形が崩れず、調子の波が小さい。

 軸足の
内転筋(内腿)の筋力はやや控えめだが、今後の強化で打球速度や飛距離の向上が期待できる。

打撃のまとめ

 高校時代は肉体のポテンシャルに頼ったスイングだったが、4年間でフォームを改良し、
技術に裏打ちされた打撃に進化。近畿大学の先輩、佐藤輝明(阪神)に似た強打の外野手だが、佐藤の大学時代と比べ、阪上はコンタクト能力で上回る。一方、佐藤のような30本塁打級の長距離砲の資質は薄いが、打球に角度をつける技術を磨けば、15~20本塁打をコンスタントに打てる中距離打者に成長する可能性があるとみる。

 守備と走塁では佐藤を上回り、外野手としては攻守のバランスに優れている。指名順位としては4位前後相当だと予想するが、技術の完成度と成長余力を考慮すれば、プロではそれ以上のリターンが期待できそう。それだけに、予想順位以上の上位指名級の素材だと評価したい。


蔵の評価:
☆☆☆(上位指名級)


(2025年 平塚合宿)


 




阪上 翔也(神戸国際大付3年)投手&右翼 180/77 右/左 
 




 「身体能力は相当高い」





 夏の甲子園では、マウンドに上がり148キロを記録した 阪上 翔也 。しかし、その将来性を考えると、野手の素材ではないかと思うのだ。その理由について、今回は考えてみたい。


走塁面:☆☆☆★ 3.5

 一塁までの到達タイムは、左打席から4.1秒前後であることが多い選手です。これは、ドラフト指名される左打者としては平均的なタイムになります。しかし、この夏の北海戦のセカンドゴロの際には、多少緩めても4.1秒台。さらに、送りバントのときには 3.85秒前後で走り抜けていたことを考えると、秘めたる走力は想像以上に高いのではないかと。そういった能力をまだ出し切れていない歯がゆさは残るのですが、プロの世界に混ぜたときにそういったポテンシャルが引き出される可能性は充分あります。そのため潜在的には、プロでも足を売りにするようになっても不思議ではない選手ではあります。

守備面:☆☆☆☆ 4.0

 選抜では確かセンターを、この夏は投げない時はライトを守っていました。打球処理を見ていると、落下点までの入りにはさほど無駄はなく、打球勘などは悪くないでは?といった気がします。もっといい加減に守っているのかなと思っていたのですが、カバーリング含めて、それなりに意識を持って守っていることがわかります。何より、マウンドに上がればコンスタントに145キロ前後を連発する強肩でもあり、返球などもなかなか素晴らしい。守備では、将来名手と呼ばれるレベルまで行けるかもしれません。





(打撃内容)

 緒戦では、木村大成(北海)の徹底マークにありバッティングをさせてもらえませんでした。しかし残りの3試合で5安打を放つなど、打撃でも非凡なものを持っていることがわかります。高川学園戦では、ライトスタンドに叩き込むなど、パンチ力があることも証明してくれました。

<構え> ☆☆☆☆ 4.0

 両足を揃えたスクエアスタンスで、前の足のカカトを浮かせて構えます。グリップの高さは平均的で、腰は深く据わっているのが特徴。両眼でもしっかり前を見据えるられているのは良いのですが、全体のバランスや柔らかさという部分では平均的でしょうか。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下るときに動き出す、「早めの仕掛け」を採用。これは、対応力を重視したアベレージヒッターに多く見られる仕掛けです。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を軽く地面から浮かし、地面をなぞるようにして真っ直ぐ踏み出します。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でも、スピードの変化には対応しやすいはず。しかし、「着地」して踏み込むまでが少し早いので、始動が早い割には打てるタイミング、「間」を取り方などは平凡で、下半身がロックされた形で上半身だけで対応してしまうことが気になります。

 真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプ。踏み込んだ前の足は、インパクトの際にもしっかり止まってブレません。したがって外に逃げてゆくような球や、低めの球にも食らいつくことができています。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 あらかじめ「トップ」に近い位置にグリップを添えているので、速い球に立ち遅れる心配はありません。しかし、打撃の準備である「トップ」自体をしっかり作れないまま振り出すのでタイミングが取れず、消化不良のスイングになりやすい傾向にあります。

 それでもバットの振り出し・スイング軌道には、ロスは感じられません。それは、内角でも外角でもそうで、コースによる苦手はあまり無いのではないかと。インパクトの際にも、バットの先端であるヘッドが下がらず、広い面でボールを捉えられています。そのためタイミングさえあれば、フェアゾーンにボールは飛びやすいのではないかと


 スイングの弧はさほど大きくなく、現状はフォロースルーなどを使って打球を角度を付けて飛ばすタイプではないので、アベレージヒッターの傾向が強いように思えます。

<軸> ☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げが静かなので、目線の上下動が小さく、錯覚を起こすことなく球筋を追えます。身体の開きも我慢できていますし、軸足も大きくは崩れません。体軸が崩れ無い良いスイングですが、それほど難しい球を捉えるような器用なバッターではないのではないのでしょうか。

(打撃のまとめ)

 同じ神戸国際大付属の先輩である 坂口 智隆(オリックス1位~ヤクルト)外野手に比べると、打撃の柔軟性では坂口に分があると言えるでしょう。柔らかいハンドリングに、イチローテイストの天性肌だった 坂口に 比べると、阪上は打てるゾーンの球を叩くタイプだと思うので。課題は、タイミングのとり方にあるように思えます。


(最後に)

 守備・走塁の潜在能力も、ドラフト1位で球団した 坂口 と大差ないように思えます。走塁に関しては良い勝負だと思いますし、地肩は坂口以上ではないのでしょうか。まだ持っている力を充分出し切れていない点は、高校時代の坂口と似たものを感じます。そういった能力を、プロの世界に入って引き出されれば、凄い可能性を秘めた打者になるのではないかと感じます。そのため将来像では、投手よりも野手としての上積み・可能性を強く感じられます。

 肩・守備などの能力が高く、走力自体はあるのでプロで磨くことができたら売りにできる可能性があります。打撃に関しては、坂口ほど柔軟性は感じられないのと、それほど打球に角度を付けて飛ばすというタイプではないので、現状は長打力はそこまでのことは無さそうです。左打ちの外野手ということで評価され難い部分もあると思いますが、志望届を提出したら本会議中に指名して来る球団が出てくるのではないのでしょうか。プロ入り後、大化けしても不思議ではない可能性に満ちた選手でした。


蔵の評価: (下位指名級)


(2021年夏 甲子園)