21ky-23
粟飯原 龍之介(東京学館3年)遊撃 182/85 右/左 | |
捉えた時の打球の飛距離・ダイナミックな攻守などをみていると、今年の高校生遊撃手の中でも、その秘めたるポテンシャルはNO.1ではないかと思えてくる 粟飯原 龍之介 。果たして、どのような選手なのか考えてみた。 走塁面:☆☆☆★ 3.5 一塁までの到達タイムは、残念ながら計測できず。しかし実際走っている姿を見たり、その思いっきりの良い走塁を見ていると、基準レベル~そレ以上ものはありそうに見えてくる。またその走力以上に、攻める姿勢が伝わってくる選手であり、環境に慣れてきたら盗塁の数も期待できるタイプなのではないかと思えてくる。ただし、走力がプロで売りになるほど、絶対的なものがあるのかには半信半疑な部分も残る。現状は、中の上 ぐらいなのかなといった評価に留まった。 守備面:☆☆☆★ 3.5 180センチ台の大型遊撃手ですが、動き自体は悪くないですし重苦しさも感じません。細かい動きはどうかといった感じはありますが、プレーにダイナミックさを感じます。地肩も 基準~それ以上 のものがありそうで、そういった素材としての魅力はあります。ただし、スローイングの精度や捕球の上手さという意味ではまだまだ課題がありそうで、上手さとしてはドラフト候補としては平均レベル。素材としての魅力で、今後の可能性も加味すると、守備では 中の上 クラスの素材かと思います。そのため、必ずしもプロでショートを担って行ける素材かと言われると、こちらも疑問が残ります。またもう一つ観ていて気になったのは、守備の時にリズムが刻めず、反応が少し遅そうに感じました。打撃でも守備でも、常に身体を動かしてリズムを刻んでいない選手は、どうしても受け身になって反応が遅れます。リズム感の悪い選手に、守備の名手はいないと思いますので。 守備も走塁も、現時点ではドラフト候補としては平均的。攻めの姿勢が伝わってくる選手であり、今後の伸びしろも含めると、中の上 ぐらいなのかなとみています。しかし、一つ間違えると、特徴に欠け中途半端な位置づけになりかねません。 (打撃内容) けして長距離ヒッターという感じではなかったのですが、ファールを飛ばした時の打球の角度・飛距離には圧巻のものがありました。そういったスイングの凄みは、今年の高校生遊撃手にはいないものを持っています。 <構え> ☆☆☆ 3.0 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合、両眼で前を見据える姿勢、全体のバランスとしては悪く有りません。ただし、守備のところでも書きましたが、構えた時に身体を動かすような「ゆらぎ」の動作がなく、両足もベタッと着いていて、柔軟性という意味では気になる部分ではあります。 <仕掛け> 早め それでも投手の重心が沈み始める時には動き出す、「早めの仕掛け」を採用。始動のタイミングとしては、対応力を重視した、アベレージヒッターに多く観られる仕掛けではあります。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を上げて、ベース側に踏み込むインステップを採用。始動~着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。ベース側に踏み込むように、外角への意識が強そうです。 踏み込んだ前の足は、しっかりインパクトの際に止まって壁ができています。そのため逃げてゆく球や低めの球にも食らいついて行けるとは思います。ただし腰が早く開くタイプのようで、それを防ぐ意味でクロスに踏み込んでいるのではないかと思えます。元来は外角への対応は元来あまり得意ではない上に、踏み込む分内角も窮屈になりがちなので、さばけるコースの幅は狭いのではないかと考えられます。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは遅れがちなので、この点で速い球に立ち遅れないように注意したいところです。また肘が下がって出てくるために、ボールを捉えるまでには遠回りに感じます。それでもインパクトの際には、バットの先端であるヘッドを下がらないようにして、広い面でボールを捉えられるようにはしているようですが。 素晴らしいのは、振り出しの鋭さと捉えた時の打球の角度にあります。これは他の選手には真似できないものがあり、この選手の最大の魅力となっています。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは比較的静かで、目線の上下動は大きくはありません。腰が早く開いてしまうのを、なんとかインステップすることと足元が止まることで抑えることはできています。また軸足の内モモの筋肉は強そうで、強烈な打球を生み出す原動力になっています。 (打撃のまとめ) さばけるコースが限られていたり、ボールを捉えるまでの技術には課題を残します。そういった欠点はあるのですが、振り出しの潔さと、ボールを捉えてからの角度・爆発力には見るべきものがあります。なんとなくイメージとしては、開星時代の 梶谷 隆幸(DeNA-巨人)外野手を彷彿とさせるものがあります。 (最後に) 打席に入る時にも、ラインを踏まないように心がけるなど、二遊間の選手らしいきめ細やかさはありそうです。また軸足の足場をしっかり掘ってから構えているなど、それなりに打撃へのこだわりも伝わってきました。そういった意味では、野球への意識は高校生としては高いものがあるように感じられます。 気になるのは、守りでも打撃でもリズム感がないところ。このへんが、守備でも打撃でも確実性として今後どう出るようになるのか気になります。しかし、秘めたる爆発力という意味では、非常に魅力を感じさせる素材であるのは間違いありません。全然ダメで終わる可能性もありますが、スケールの大きな大型内野手として、ドラフトでも3位前後は期待できるのではないのでしょうか。 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) (2021年 千葉大会) |