池田　陵真（大阪桐蔭３年）中堅　１７２／８３　右／右

「悪い流れを断ち切れる男」

　数々のプロ野球選手を輩出してきた大阪桐蔭の歴史の中でも、対応力という意味では　森友哉（西武）に匹敵するものを持っているのではないかと思われる　池田　陵真　。今年の選抜大会では、チームが緒戦で敗戦するなか、しっかり２安打を放ち能力の片鱗を魅せた。そう、彼の最大の良さとは、悪い流れに巻き込まれることなく、己のプレーに徹しられる精神力にあるのではないかと。

走塁面　☆☆★　2.5

　残念ながら、選抜緒戦では一塁までの正確なタイムは計測できなかった。過去測ってみた時には、だいたい右打席から、４．５秒ぐらいだと記憶していたので、これを左打者で換算すると４．２５秒ぐらいに相当する。もう少し早いタイムも出せると思うが、これではプロの打者としては　中の下～下の上　ぐらいの賭け抜くになってしまっている。ただし、チームの核弾頭を務めることも多かったが（選抜では４番）、盗塁を積極的に仕掛けて来るようなタイプではなかった。

守備面：☆☆☆　3.0

　中堅手としても、可も不可もなしといった感じ。特に打球への勘や落下点までの入りに大きな誤りはないように見える。極めて守備範囲が広いとか球際でのキャッチングが上手いといった特別なものは感じられず、守備は無難といった印象が強い。ただし、肩に関しては、まずまず強い。これに関しては、プロに混ぜても　中の上～上の下　ぐらいのレベルにはあるのではないのだろうか。

（打撃内容）

　１７２／８３　とガッチリこそしているが、けして恵まれた体格とは言えない。滅法長打力があるわけでもなければ、守備・走塁が秀でているわけでもない。そんな彼が、なぜドラフト候補として注目されるのか？　それは、最初にも記したように、圧倒的に対応力が図抜けているからではないのだろうか。

＜構え＞　☆☆☆☆　4.0

　足を少しだけ引いて、グリップの高さは平均的。背筋を伸ばしつつ、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスも取れている。打席では、高い集中力が感じられる。

＜仕掛け＞　早め

　投手の重心が下がり始める時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視した、アベレージヒッターに多く見られる仕掛けです。

＜足の運び＞　☆☆☆☆　4.0

　足を引き上げ回し込み、少しベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動～着地までの「間」は取れていて、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応しやすい。アウトステップしているように、やや内角への意識が強いタイプかと。

　踏み込んだ前の足はなんとかブレずに我慢できており、アウトステップでも甘めの外角球や高めの球ならば対応できるのではないのでしょうか。また本塁打を打つ時は、引っ張って巻き込む時が多いようです。

＜リストワーク＞　☆☆☆★　3.5

　打撃の準備である「トップ」の形を作るのは早く、速い球に立ち遅れる心配はありません。バットの振り出しは、けしてインサイド・アウトのような、内から出てくるタイプではありません。そのためインパクトまでも、少し遠回りにも見えなくはなく、内角への捌きが上手い打者ではないように思えます。

　それでもバットの先端であるヘッドが下がらず、インパクトの時には広い面で捉えています。それだけボールがフェアゾーンに飛びやすいのですが、あまり打球に角度を付けられるタイプではないのでしょう。だからこそ、長打は引っ張って巻き込んだ時に多いということではないのでしょうか。いずれにしても打てるコースの幅は甘めの内角～甘めの外角球と限られ、このゾーンの球を逃さず叩くことに優れた打者なのだとわかります。

＜軸＞　☆☆☆☆　4.0

　足の上げ下げはありますが、目線の上下動は少なめ。身体の開きは我慢でき、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて軸は安定しています。

（打撃のまとめ）

　タイミングの合わせ方はまずまずで、下半身の使い方はうまく、軸は安定しています。バットの振り出しがやや遠回りなので内角のさばきなどは気になるところですが、甘いゾーンの球を打ち損じることなく高い確率で仕留められる打撃は突出しています。

（最後に）

　守備・走塁・体格に恵まれていないだけに、特徴が見えづらい恐れはあります。しかし、対応力が非常に高いことと、何より中学時代から全日本で主将を務めたり、名うての選手が揃う大阪桐蔭の中でキャプテンを任されてきたリーダーシップなどからも、人並み外れた精神力が感じられ、そのへんは走る・飛ばすとかいう部分をド返して評価したくなるポイントです。上位指名ではなかなか行き難いタイプではあるのですが、チームにぜひ加えてみたいと思う球団も少なくないのではないのでしょうか。

蔵の評価：☆☆　（中位指名級）

（２０２１年　選抜大会）