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山崎 琢磨(石見智翠館3年)投手 185/92 右/左 | |
この夏の島根大会決勝では、15奪三振でノーヒットノーランで甲子園行きを決めた 山崎 琢磨 。甲子園でも3試合に登板し、その才能の片鱗を魅せてくれた。 (投球内容) 甲子園では 3試合 16回2/3 18安 7四死 11三 8失点 という内容でした。 ストレート 130キロ台後半~MAX143キロ ☆☆★ 2.5 球速は常時140キロ前後と、昨今のドラフト指名選手としてはやや遅い。また、ボールの質もこれからといった感じで、まだ高校生の球といった感じ。特に甲子園では、立ち上がりにボールが上吊り狙い打たれた形。しかし、島根大会では、そこまでボールが上吊っていた印象はなかった。甲子園では、投球回数以上の被安打を浴び、四死球も7つあることからも、全国レベルだとまだまだ自分のボールが通用しないプレッシャーからか、四死球を出す脆い面があることが露呈されていた。 変化球 スライダー・スプリット・カーブなど ☆☆☆ 3.0 むしろ目立っていたのは変化球の方で、右打者にはスライダーとのコンビネーション、左打者にはスプリットとの組み合わせを中心に投球を組み立てていた。16回2/3イニングで11奪三振と、それほど多くの三振が奪えていたわけではない。それでも、しっかり決まった時のスプリットには落差がはあったので、今後この球が磨かれてくると楽しみ。 その他 クィックは、1.1秒台前半とまずまず。特に微妙なコントロールや間を意識した投球術といった感じではないものの、特にマウンドさばきが悪いとは思わなかった。ただし、力んで投げてしまうところがあり、そのへんは改善したいポイント。また、打者としても中々高い将来性を秘めていた。 (投球のまとめ) 現時点では、まだまだといった感じでこれからの投手といった気がします。しかし、良い縦の変化球も投げられていますし、スライダーの切れも悪く有りません。体格にも恵まれており、将来性をかなり秘めた素材ではないのでしょうか。今後の可能性については、フォーム分析をして考えて行きたいと思います。 (投球フォーム) セットポジションから、足を勢い良く高い位置まで引き上げてきます。軸足一本で立った時にも、膝に余裕がありバランス良く立てていました。 <広がる可能性> ☆☆★ 2.5 引き上げた足を地面に伸ばしがちなので、お尻の一塁側への落としには甘さが残ります。身体を捻り出すスペースが充分とは言えませんが、捻り出して投げるカーブやフォークが投げられないといったほどでは無さそうです。そのため、そのブレーキや落差が鈍くなる可能性はあります。 「着地」までの地面の捉えが淡白なところがあり、身体を捻り出す時間も充分ではありません。したがって変化に乏しい可能性があり、球速のある小さな変化を中心に投球の幅を広げてゆくことになるかもしれません。 <ボールの支配> ☆☆★ 2.5 グラブは最後身体の後ろまでまわって解けがちなのですが、両サイドへの投げわけはそれほど悪くありません。むあしろ、足の甲が地面から浮いてしまい、浮き上がろうとする力を抑え込めず、ボールが上吊りやすいのが気になります。それでも「球持ち」は比較的良さそうなので、アバウトでもそこまで制球がめちゃくちゃになることは防げそうです。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻の落としは甘いものの、カーブやフォークといった球種はあまり観られません。さらに縦の変化も、握りの浅いスプリットということで、肘への負担はそれほど気にしなくても良いのではないかと。 腕の送り出しを観ていても、肩への負担も少ないのでは。 それなりに力投派ではあると思うのですが、まだ筋力的にもそこまで身体を活かしきれていないので、疲労を溜めやすいといったほどでもないように感じました。 <実戦的な術> ☆☆★ 2.5 「着地」までの地面の捉えがやや早いので、打者としては合わせやすい傾向が。さらに、ボールの出どころも少し見やすいところがあり、そのへんはコースを突いた球が踏み込まれたり、縦の変化を見極められて振ってもらえない恐れがあります。 腕の振りも強く叩けてはいるのですが、もう少し最後身体に巻き付くような粘っこさが欲しいところ。またボールへの体重の乗せもある程度できるようには見えるのですが、少し投げるときにガニ股になりがちで作られたエネルギーをダイレクトにボールに伝えきれていない感じもします。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「球持ち」以外の要素には課題があることがわかる。故障のリスクはさほど高くは無さそうだが、高低の制球の問題や将来的に武器になるほどの変化球を習得できるのか?といった不安はどうしても残ってしまいます。ただし、まだまだ良くなりそうという感じもしているので、ソフトバンクがどのように導いてゆくのかは興味深い。 (最後に) 実際の投球も、技術的にもまだまだといった感じで、このタイミングでのプロ入りが良かったのかには疑問は残ります。ただし、大化けしても不思議ではないと思わせるものもあり、このへんは本人がどのぐらい自覚を持って取り組めるかも大きいのではないかと感じました。一気に球速が上がって、別人のようになっても不思議ではない。そういった予感めいたものは、感じさせてくれる選手であり、育成枠での指名ならばありなのではないかと思える部分もあります。そのため密かに期待して、見守って行きたいと思わせてくれる選手でありました。 (2021年夏 島根大会) |