21kp-39
篠原 颯斗(池田3年)投手 181/81 右/右 | |
蔦監督が指揮をとっていた時代には、ドラフト1位の投手を輩出していた池田高校。しかし、蔦さんが勇退後の同校の歴史の中では、近年で屈指の素材だと言えるのは、この 篠原 颯斗 。今年の徳島では、NO.1の投手だったことは間違いない。 (投球内容) 大きなテイクバックをとって、ダイナミックに投げ込んでくる速球派。上背は181センチとドラフト候補としては平均的なのですが、マウンドではもっと大きく魅せる選手です。 ストレート 常時130キロ台後半~MAX148キロ ☆☆☆ 3.0 コンスタントに140キロ前後~中盤ぐらいの球を投げ込み、球速的にはドラフト候補の右腕としては平均的です。手元でグ~ンと伸びるとかピュッと切れるといった空振りを誘う球質ではなく、球威のある球を投げて詰まらせるのが持ち味。右打者にも左打者にも、内角を厳しく突いてきます。それほど四死球を出すようなタイプではないのですが、ストライクゾーンの枠の中での制球が甘かったり、全体的に球筋が高い傾向にあります。 変化球 スライダー・カーブ・スプリットなど ☆☆ 2.0 真っ直ぐがドラフト級なのに比べると、変化球のレベルが低いのは気になります。カウントを整えるはずのスライダーやカーブが高めに甘く入ったり抜けたりすることも多く、現状上のレベルだと厳しいかなといった感じで 精度やキレがないのは不安です。スプリットらしき縦の変化球も見られますが、まだ充分にものにできているといった感じではありません。 その他 牽制は適度に鋭いものを入れて走者を牽制しようとしますし、クィックも1.1秒前後と基準レベル以上です。それほど投球術が巧みだとかは思わないのですが、打者の内角を厳しく突くことは日頃から徹底しているのでしょう。 (投球のまとめ) 身体にも力がありそうですし、まだまだ速くなっても不思議ではありません。その一方で、変化球のキレ・精度には課題があり、今プロに混ぜた時には苦労するだろうなと思います。このへんはスカウトや球団によって意見は別れそうですが、それでも志望届を提出した場合、何かしらの形では指名されるのではないかと。 (投球フォーム) 今度はフォームの観点から、今後の可能性について考えてみたい。セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さはそれほどでも。軸足一本で立った時には、膝には力みは感じられずバランスとしては平均的か。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻の一塁側への落としには甘さが残る。カーブやフォークなどを投げられないほどではないと思うが、ブレーキや落差が鈍くなる可能性は捨てきれない。 「着地」までの地面の捉えは、足を大きめにステップさせることでそれなりに。そのため身体を捻り出す時間は、適度には確保できている。武器になるほどの変化球の修得が望めるかは微妙だが、変化球の精度・キレは環境次第ではもっと良くなるのではないのだろうか。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ 4.0 グラブは最後まで身体の近くに抱えられており、外に逃げようとする遠心力を抑えこめ軸はブレ難い。そのため両サイドへのコントロールは、それほど悪くないのでは? 足の甲でも地面を捉えられているので、浮き上がろうとする力も抑えられている。それでもボールが高めに集まりがちなのは、ボールがまだリリース時に押し込めていないからだろう。このへんのリリースが改善されれば、もっと低めに良い球が集まってきても不思議ではない。将来的には、もっと制球が良くなってくる可能性は高い。 <故障のリスク> ☆☆★ 2.5 お尻の落としが甘いものの、時々緩いカーブを使ったり握りの浅いスプリットなどを使ってきます。しかしその頻度はそれほど多くはないので、現状の使い方ぐらいならば神経質になるほどではないのでは。 ただし、腕の送り出しではややグラブを持っている肩が上がり、グラブを持っている方の肩が下がって投げ下ろしてきます。腕も結構振っている選手なので、肩などに負担がないと言ったら嘘になるのではないのでしょうか。身体のケアには、今後も充分注意して頂きたいところです。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りも適度に作れており、身体の「開き」も早いというほどでは無さそう。むしろ空振りの取れない球質の球が、高めに集まりがちな制球力の方が問題なのかもと。 また腕は適度に振れているのですが、身体に絡んで来るといった粘っこさはありません。ボールには適度に体重を乗せてからリリースできているので、打者の手元まで球威のある球は投げられています。今後身体のキレを出したり、ボールにしっかりバックスピンをかけるようなリリースができていると、球質も変わってくるのではないのでしょうか。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」や「体重移動」などボールの強さに影響しそうな動作はいいです。あとは「球持ち」や「開き」など、打たれ難さを追求して欲しい部分はあります。 制球を司る動作はいいので、身体ができてリリースが安定して来るともっと良くなりそう。変化球の精度・キレも、これからもっと良くはなってゆきそうです。故障のリスクが多少高いのと、将来的に武器になるほどのボールを修得できるかが課題ではないのでしょうか。 (最後に) 指名となると、下位~育成あたりの評価になるのではないのでしょうか。それでも志望届を提出した場合、何かしらの形では指名があると見ていますし、伸び代を秘めた素材だと感じます。ただし、現状まだ変化球のキレ・精度に課題があり、プロレベルに混ざるとかなり時間はかかるのではないかと。個人的には、社会人や独立でも良いので、ワンクッション置いてからのプロ入りの方が良いのではないかと考えます。そのため現時点では、☆ を付けるのは控えることにしました。 (2021年夏 徳島大会) |