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深沢 鳳介(専大松戸3年)投手 177/74 右/右 | |
選抜の時は、球威・球速不足で大学に進学するのではと思っていた 深沢 鳳介 。しかし、春季関東大会の内容を観ていたら、夏までの上積みがあるようならば、高卒プロもあるのではないかという見方に変わってきた。そんな深沢投手の、最後の夏を振り返ってみる。 (投球内容) 夏の甲子園では、2試合 12回1/3 10安 1四死 13四死 1失 といった内容でした。 ストレート 常時130キロ台後半~MAX143キロ ☆☆☆ 3.0 球速は、選抜の頃や関東大会の頃と殆ど変わっていません。しかし、その頃よりも打者の手元までのボールの強さが変わってきた感じで、以前のような物足りなさは感じられなくなってきました。打者の両サイドにしっかり投げ分けるコントロールがあり、特に左打者の外角へのコントロールも安定していました。逆に春は、右打者内角へナチュラルシュートするような目立っていたのですが、あまりそういった球は観られず。むしろ左打者への内角への投球が物足りなかったところを、夏は内角を厳しく突く場面も観られました。またこの投手は、高めを上手く配球の中で使い、サイドにありがちな単調な配球にならないことを心がけています。 変化球 スライダー・カーブ・シンカー? ☆☆☆☆ 4.0 右打者には、外角一杯のゾーンに小さく横滑りするスライダーを集めてきます。また左打者には、緩いカーブをアクセントにしつつ、外角低めに沈むシンカー系の球も有効。かなり高い確率で、外角低めのゾーンに沈めることができます。変化球の投げミスも少なく、キレ・精度共にかなり高いと言えるのではないのでしょうか。 その他 クィックは、1.0秒前後の高速のものと1.15秒前後のオーソドックスなものを使い分け、投げるタイミングを変えている節があります。ランナーを背負ってもじっくりボールを持てたリ、走者をしっかり観て投げられていました。鋭い牽制も観られますし、フィールディングの動きもなかなか鋭い。投球以外の部分も、なかなか細部まで追求しているのがわかります。 (投球のまとめ) 打者の内角だけでなく、高めの速球で空振りを誘ったり、ランナーを背負うとストライクゾーン~ボールゾーンに切れ込む変化球を振らせるのも上手いです。投球のセンス・・落ち着き・コントロールも高く、高校生としては極めて完成度が高いと言えます。何より、春より真っ直ぐに強さが出てきたことは大きいです。 (最後に) フォームに関しては殆ど春と変わっていなかったので細かくは触れませんが、春よりも若干「着地」までの粘りがなく、淡白なフォームになっていたように見えました。このへんは、あえて少しそういったフォームにしていたのかは定かではありません。 それでも課題であるボールの球威など、打者の手元までの勢いが出てきたこと。左打者への投球も内角を厳しく突ける点などにも成長の跡が見れました。DeNAには、平良 拳太郎 という、同タイプの投手がいるので、非常に参考になるのではないかと思われます。今の投球内容であれば本会議で指名されたのは納得のところであり、高卒2,3年目には一軍で活躍する、そんな姿が観られるかもしれません。高校生の中では、極めて高い完成度と技術を持った選手でした。 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) (2021年夏 甲子園) |
深沢 鳳介(専大松戸3年)投手 175/73 右/右 | |
投手としてセンスや制球にも優れ、今後大きく伸びるかもしれない 深沢 鳳介 。しかし、現時点では球威・球速不足であり、センバツではあえて寸評を作成しなかった。今後の成長次第ではあるが、改めて関東大会でのピッチングをみて寸評を作成してみることにした。 (投球内容) セットポジションから、投げ込んできます。テンポよく内外角に投げ分ける安定した制球力が自慢。素材としての凄みよりも、センスが秀でたタイプだと言えるでしょう。 ストレート 135キロ~MAX143キロ ☆☆★ 2.5 球速は常時140キロ前後ぐらいであり、驚くような球速ではありません。それ以上に、ドラフト候補としては球威に欠けるのが気になります。関東大会での浦和学院戦でのリリーフの投球を観たですが、やはり球威不足はセンバツ同様に実感しました。安定して内外角に投げ分けられるコントロールはあり、四死球で自滅する不安はありません。また右打者の内角にも、ナチュラルシュートする球筋なのか、ちょっと打者としては踏み込み難く厄介な感じはします。 変化球 スライダー・カーブ・シンカー? ☆☆☆ 3.0 結構緩いカーブを交えつつ、右打者の外角に小さく曲がるスライダーを集めてきます。何やら、シンカー系の沈む球も持っている。絶対的な球種があるわけではないが、ストレートも交えたコンビネーションでで相手の打ち損じを誘うピッチングスタイル。 その他 クィックは、1.05~1.10秒前後とまずまずで、鋭い牽制も混ぜてくる。投球術もまずまずで、ランナーを背負うと間合いを変えたりという工夫は観られる。スリークォーター系のフォームでも、単調にならないような配慮は感じられる。 (投球のまとめ) 頭の良さそうな投球に加え、肉体的にもまだまだ発展途上といった感じがする。ウエートなどまだ不足している感じなので、個人的には大学などで段階を踏んで伸びていった方が良いのではないかという印象は受ける。イメージ的には、北山高校時代の 平良拳太郎(DeNA)を彷彿とさせる。 (投球フォーム) セットポジションから、スッと高い位置まで足を引き上げてくる。それほど軸足の膝にも力みは感じられず、適度にバランス良く立てている。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 引き上げた足を比較的高い位置でピンと伸ばせており、お尻は一塁側に適度に落とせています。したがって身体を捻り出すスペースは確保できており、カーブやフォークといった捻り出す球種でも無理は感じられません。あとは、腕の振りがスリークォーターなので、肘を立てる意識が持てると、これらの球種の曲がりも変わってきそうです。 「着地」までの地面の捉えはそこそこで、身体を捻り出す時間はそれなり。いろいろな球を投げられる下地はあるものの、将来的に武器になる球を修得できるかには微妙な気がします。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができている。そのため軸はブレ難く、両サイドへの投げ訳はしやすくなっている。しかし、足の甲での地面の捉えは浅いので、力を入れて投げるとボールが高めに集まりやすいのかもしれない。それでも「球持ち」はまずまずで、指先の感覚は良さそう。そういった意味では、高低の制球に不安は残すが、両サイドへの繊細なコントロールは期待できるのではないのだろうか。 <故障のリスク> ☆☆☆☆★ 4.5 腕を下げて投げる投手にしては、お尻を一塁側にしっかり落とせている。そのため窮屈になって、肘への負担が大きいといったタイプではない。したがってカーブや縦の変化球を投げても、故障のリスクは低いのではないかと。まして、腕もしなって柔らかく使えているので、余計にそういったものは感じられる。 腕の送り出しには無理がないので、肩への負担も少なそう。けして力投派でもないので、消耗もけして激しいといったタイプではないだろう。現状は、基礎体力・基礎筋力が足りていないので無理は禁物なものの、故障のリスクは低いのではないかとみている。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りもそこそこで、ボールの出どころも並ぐらい。特に合わされやすいわけでも、打ち難いわけでもないだろう。しかし、腕を下げている投手に多く観られるように、左打者からは見やすのか苦労しているように見えた。右打者相手のように、癖のある内角攻めもできれば、外角への絶妙なコントロールもないから。今後、いかに左打者への投球を改善行けるかが課題になってきそう。 腕の振りに強さは感じられないものの、柔らかくしなってくるところは良いところ。もっと腕が強く振れるようになれば、より打者の空振りを誘えるようになりそうだ。「球持ち」自体も悪くないので、ある程度体重を乗せてからリリースできているようには見える。それでも球威不足なのは、身体が多少流れてエネルギーをロスしていたり、ウエート自体が足りないからではないのだろうか。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、全てに大きな欠点がない代わりに、まだもう少し各動作の粘りを追求しても良いのでは?と思える部分が残る。制球を司る動作には極めて優れており、故障のリスクも少なそう。あとは、ストレート含めて武器になる球を見出し行けるかではないのだろうか。 (最後に) 投手としてのセンス、素材としての上積み、技術的に改善点なども加味すると、方向性を間違わなければ実戦的な投手へと成長しても不思議ではない。仮に高校からプロに入っても、基礎力や技術を身につけるのには一定の期間は必要そう。そう考えれば、無理なく大学などで成長を促しつつ経験や自信を深めて行けるような進路の方が、私は良いのではないかとみている。夏までに大きな変化があれば見方も変わるかもしれないので、一応夏まで追いかけて判断はして行きたいと思います。しかし現時点では、進学タイプなのかなとみています。 蔵の評価:追跡級! (2021年 春季関東大会) |