21dy-19





渡部 遼人(オリックス)外野手のルーキー回顧へ







渡部 遼人(慶應義塾大4年)中堅 170/67 左/左 (桐光学園出身) 
 




「守備は名手級」 





 あらゆる状況を想定して、常に準備ができている 渡部 遼人 。特に彼のプレーの良さが際立つのは、その中堅守備にあるといえるのではないのだろうか。このまま経験を積んで行ければ、球界の名手として君臨するようになっても不思議ではない。


走塁面:☆☆☆☆ 4.0

 一塁までの駆け抜けタイムは、安定して左打席から3.8秒台を刻んできてプロでもトップクラスの脚力だと言えよう。そのスピード能力の割に、丸山 和郁(明大)と同様に盗塁能力はそこまで圧倒的ではない。キャリアハイはこの秋の6盗塁が最多であり、その点ではプロで技術なり癖を磨かないと行けないのではないのだろうか。それでも常に準備を怠らない意識の高い選手なので、プロの環境に慣れれば改善されてゆく可能性は高そうだ。

守備面:☆☆☆☆★ 4.5

 この脚力を生かした、広い守備派を誇る。特に打球勘も確かであり、事前に打者が打つ前から打球を想定して守りにつけているようだ。そのため左右だけでなく、前後の判断力も素晴らしい。また、球際でも強く、スライディングキャッチでアウトにすることも少なくない。肩も基準以上で 中の上 ぐらいはありそうで、次のプレーを想定して守っているので、変な返球が少ないのも彼の優れた部分ではないのだろうか。守備に関しては、今すぐ一軍に混ぜても光るものを魅せてくれるだろう。





(打撃内容)

 これまでシーズンで3割を越えたことがないように、打撃ではひ弱さをを感じさせる選手だった。しかし、ラストシーズンでは打率.359厘(7位)を残し、打撃での弱さを払拭するまでになってきた。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 前の足を少しだけ引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合・全体のバランスは並だが、両眼で前を見据える姿勢は良く球筋を錯覚なく追うことができていた。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈みきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備え、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く観られる始動のタイミングです。彼のプレースタイルをみると、幾分早くても良いのかなとは思うのだが。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げて、真っ直ぐ踏み込んできます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプなのでしょう。

 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にはブレないで止まっています。そのため、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができます。

<リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球に立ち遅れる心配はありません。けしてバットの振り出しはインサイドアウトではないのですが、内角の球には開かないでそのままさばけますし、外の球に対してもロスなくインパクトできていました。

 インパクトの際にもヘッドが立っているので、フェアゾーンにうまく流して落とすことができています。スイングスピードや打球の強さはややドラフト候補としては物足りないものの、当てる技術や当て勘自体は悪くないように見えます。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはあるので、目線の上下動はそれなり。身体の開きは我慢できており、軸足も安定していて打撃の波は少ない方なのでは? 軸足の内モモに強さは感じられないものの、粘り強さは感じられる。

(打撃のまとめ)

 内角の球を全く開かないでさばけたり、外角の球にも無理なく左方向に流せたりとサイドへの対応は高そう。特に高めに浮いた球を、スパンと振り抜くなどは上手い感じなので、低めへの対応が今後の課題だろうか? うまく引っ張って巻き込んだ時にはスタンドインさせることもあるが、まだスイングの強さなどは少々物足りない部分は残す。そういった意味では、打撃は数字が残せるようになるのには数年はかかるかもしれない。


(最後に)

 守備に関しては、超A級の素材でありその点は心配は無い。走力はあるものの、盗塁技術に関してはこれからといった感じ。また打撃も思ったほど悪くはないので、数年はかかるかもしれないが、守りからチャンスをもらえるタイプ。丸山 和都(明大)のように、天性の身体能力で圧倒する凄みはないが、こちらは思考力と意識の高さで長くプロで生き残って行ける選手になるのではないのだろうか。タイプは違うが、二人の今後も追い続けてみたいと思わせる外野手だった。


蔵の評価:☆☆ (中位指名級)


(2021年 秋季リーグ戦)