20sy-14





赤羽 由紘(ヤクルト)内野手のルーキー回顧へ







赤羽 由紘(20歳・BC信濃)三塁 178/78 右/右 (日本ウェルネス信州筑北出身) 
 




 「あんなに飛ぶの?」





 打った瞬間は外野フライなのかな?といった飛球が、そのままスタンドインする 赤羽 由紘 。リストが強いのか? 想像以上に打球が飛んでゆくのが、この選手の特徴ではないのだろうか?


(守備・走塁面)

 三塁手としては、動きの良い選手です。肩も悪くはないと思いますが、送球に難があるのか? 57試合で7失策と、守備率は.947厘と安定感はイマイチ。守備範囲含めてファインプレーを魅せてくれる反面、安定感という意味で課題を残しているといえます。このへんは、もう少しプロでしっかり鍛えないと支配下は見えて来ないのではと。

 残念ながら一塁までの到達タイムは計測できませんでしたが、58試合で4盗塁と走力で揺さぶるタイプではありません。チームでも5番打者に座っているなど、そういった役割を求められていたわけではなかったと思うので。

 そういった意味では、守備力・走力でアピールするタイプではなく、打撃の可能性を評価された選手だとわかってきます。





(打撃内容)

 20年度シーズンの打撃成績は、58試合 8本 43点 打率.270厘 という内容でした。高卒2年目の若さと、パンチ力のある打撃が魅力の選手です。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 両足を揃えたスクエアスタンスで、カカトを浮かせて立ちます。以前みた時は、少し前足を引いて軽くオープンスタンス気味だったのですが、今年終盤のチャンピオンシップでは少し構え方が変わっていました。腰の据わり・全体のバランスは良いのですが、少し両眼で前を見据える姿勢が悪く、球筋を的確に追えるのかは気になります。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が沈みきったところで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く見られる始動です。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」がソコソコで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなり対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも打ちたいタイプなのではないのでしょうか。

 気になるのは、腰が早く開くところ。それでも踏み出した足元がブレずに止まっているので、ある程度のところで「開き」を抑えることができている。両サイドへの打てる球は狭そうではあるが、引っ張っても右方向に打ち返してもスタンドインできる長打力を持っている。基本的には、引っ張って巻き込む打撃の方が好みのようだ。

<リストワーク> ☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」の形を作るまでは自然体で、力み無くボールを呼び込めている。けしてバットが内から出てくるタイプではないが、少し遠回り出てくるものの悲観するほど大きなロスは感じられない。ボールを捉えてからも、大きな弧を描きながら、しっかりと振り切ってくる。引っ張った時はそれほどフォロースルーを使う感じではないが、右方向に打つ時はフォロースルーを使ってボールをうまく後押しして遠くに運ぶ術を持っている。

 インパクトの際にもそれほどヘッドも下がっていないので、広い面でボールは捉えられている。それだけフェアゾーンにボールは飛びやすい形で、インパクトできている。スイングだけ見ていると、しかしボールの下にバットを潜らせて、角度をつけて飛ばしているという感じではないので、打球が上がる確率はそれほど高くは見えないのだがどうだろうか? 

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはそれなりで、目線の動きも平均的。それでも身体の開きをある程度のところまでで我慢でき、軸足を起点にキレイに回転して打てている。確実性が高いとは言えないが、調子の波はそれほど激しくはないのではないのだろうか。

(打撃のまとめ)

 癖があって欠点もあるフォームながら、うまく外の動作で致命的な欠点にさせないフォローができている。ボールを飛ばせるという魅力もあり、確実性は高くはないが魅力のある素材に。精度をあげて、一軍でも通用する技術を身につけたい。


(最後に)

 守備も動きは良い選手なので、精度を高めてゆくことが期待できそう。打撃も粗さはまだ残るが、長打力に良いものを持っている。総合力ではまだ  を付けられる力はなかったが、育成枠であれば将来楽しみな素材なのではないのだろうか。数年はかかると思うが、期待して見守ってゆきたい。


(2020年 リーグ戦)