20ky-2
西川 僚祐(東海大相模3年)左翼 186/92 右/右 | |
チームメイトの 山村 崇嘉 が、結果を残そうと力んでいたのとは対照的に、この 西川 僚祐 は、打席を楽しめる余裕を感じさせる夏だった。それまで何処か硬いというか脆さを感じさせる素材で良さがわからない選手であったが、ようやく最後の夏になってこの選手の魅力がわかるようになってきた。 走塁面:☆☆ 2.0 一塁までの到達タイムは、右打席から4.5秒強。これを左打者に換算すると、4.25秒ぐらいに相当する。高校生としては遅いタイムではないが、プロに入る右打者としては 中の下~下の上 ぐらいといった感じ。実際プレースタイルを観ていても、足への意識はけして高くない。まぁ長打力が売りの選手なので、最低限動ける脚力はあるといった感じだろうか。 守備面:☆☆ 2.0 左翼の守備を観ていると、打球勘がかなり悪い。そのため落下点までの入りが危なかったしかったり、一歩目が遅れてしまうことも多い。ただしキャッチングは上手いのか? 球際では強い場面をたびたび目撃した。また肩も強くはないが、弱肩 といったほどではない。こちらも 中の下~下の上 ぐらいだろうか? そのためプロでも、ポジションは左翼か一塁に限定されてしまうというのは、ある程度覚悟した方が良さそうだ。 (打撃内容) 基本的に引っ張って巻き込む打撃を好む傾向にあるが、最後の夏はきっちり右方向への打球を意識して放つことができるようになっていた。ちょっと打席での雰囲気は、清原和博(PL学園)に似てきた感じがする。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを平均的な高さに。腰の据わりも良く、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスも良い。打席では威圧感があり、以前ほど力みを感じなく柔らかく立てていたことは良いこと。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下がり始めてから動き出す、「早めの仕掛け」を採用。以前は「平均的な仕掛け」だったので、より始動を早めて対応力を上げようとしているのではないのだろうか。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を大きく引き上げ回し込み、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でもスピードの変化に対応しやすい。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプ。 踏み込んだ前の足がしっかり止まっているので、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができています。ただし腰が早く開く傾向があるので、それを下半身の踏ん張りである程度のところで留めている。したがって、さばけるコースは甘めの外角球ぐらいまでと打てる幅が狭い可能性があります。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で良いのだが、バットを引くのが遅れないように注意したい。バットの振り出しは、けして内から出てくるような感じではないので、少しインパクトまで遠回り。それでも肘をたたんでさばくのは上手いので、内角が来ると思うと、上手くスペースを作って巻き込むことができる。外角をキッチリ叩くよりも、甘めの内角球を引っ張る打撃を得意としている。 それでも、バットの先端であるヘッドは下がらずにインパクト。しっかり最後まで大きな弧を描いて振り切るので、詰まったような打球でも外野の前にフラフラ飛んで行ってヒットになったりとフェアゾーンに飛びやすい。現状弧は大きめなものの、それほどフォロースルーを活かして打球を遠くに飛ばすという技術ではなく、身体の強さや力を使って上手く巻き込めた時には凄い打球を飛ばすといった感じだろうか。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げは大きいものの、目線はそれほど大きくは動いていない。腰が早く開いているのを、前の足がしっかり止まることで抑えている。軸足は地面から真っ直ぐ伸びて安定しており、軸回転でスイングはできている。内モモの筋肉も発達しているので、強烈な打球を生み出す原動力になっている。 (打撃のまとめ) 腰が早く逃げる欠点があるので、足元が踏ん張れても外角の厳しいところは苦しい感じ。そのため、さばけるのは甘めの外角球ぐらいではないかと。内角は肘を上手くたたむのが上手い反面、バットが内からは出てこないので、これも甘めの内角球ぐらいといった感じに。バットを引くのが遅れたり、バットの出が遅れがちなので、さばけるのも一定のスピードの投手や変化球な限られているのではないのだろうか? そのため現状は、打てる球が限られていて、それが彼の独特の脆さに繋がっていると考えられる。 (最後に) それでもかなり欠点を補うことができるようになっており、上手く自分の特性に合わせた打撃をしている。 世代トップクラスの世界でやってきた選手だけに、精神的にも余裕があり独特の大物感がある。それが過信に繋がらない限りは、良い方にプロの世界でも転びそうだ。 あくまでも打つことや飛ばすことに特化した選手なので、守備・走塁に目をつぶっても飛ばせる選手が欲しいといった球団に合っているのだろう。飛距離に関しては、今年の高校球界でも屈指の存在。プロのスピードやキレには戸惑うとは思うが、結構考えてプレーしている選手だと思うので、いずれは壁を乗り越えて行ってくれるのではないかという期待も抱きたくなる。ドラフト指名としては、4位前後ぐらいになるのではないのだろうか。 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) (2020年夏 甲子園交流試合) |
西川 僚祐(東海大相模2年)左翼 186/92 右/右 | |
2020年度の高校球界を代表する長距離砲として注目される 西川 僚祐 。確かに当たったときの飛距離は非凡だが、本当に打ってなんぼといったタイプ。果たしてドラフト戦線においては、どのような位置づけになってゆくのか考えてみたい。 走塁面:☆★ 1.5 一塁までの塁間は、右打席から真剣に走っても 4.9秒前後(左打者換算で 4.65秒前後に相当)と相当遅い。ただしこの選手、結構走塁への意欲は高く全力で走り抜けようとしたり、次の塁を果敢に狙おうという前向きさは感じられる。 守備面:☆☆ 2.0 走力の無さから、守備範囲はかなり狭い。けして打球勘も良いとは思わないのだが、球際ではミスせずに処理している。走塁もそうなのだが、自分のできる範囲のことはしっかりやろうという姿勢は感じられる。また送球を見る限り、肩もあまり強いようには見えない。プロのレフトはいかに打てるかなので、足を引っ張らない程度に無難にできれば問題はないだろう。そういった選手になれる資質は、あるとみている。 守備・走塁のレベルはかなり低く、総合力で判断されるならばこの選手は厳しいだろう。あくまでも打ってなんぼの選手なので、最低限ができるレベル・資質にあるのかが鍵となる。 (打撃内容) 速い球よりも、スライダーのような中間球を捉えるのが上手い。また右方向にきっちり打ち返すよりは、基本的にはセンター方向か引っ張って巻き込む打撃に徹している。結果的に右方向に打球を飛ぶこともあるが、それはあまり意図してそういった打球を放っているわけでは無さそうだ。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは高めに添えられている。背筋を伸ばしつつ、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしては並みぐらい。それでも巨体を活かし、打席での威圧感はなかなかのもの。 <仕掛け> 平均的 投手の重心が沈みきった底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を、バランス良く兼ね備えた中距離ヒッターやポイントゲッターに多く観られる仕掛けではある。それでも彼に求められるのは、勝負強さというよりも長打力だとは思うのだ。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 足を大きく引き上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出して来る。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプ。 気になるのは、踏み込んだ足元が早く地面から離れてしまうこと。そのため右方向にきっちりはじき返すというよりも、引っ張り巻き込める球しか捉え切れない。腰が早く開いてしまうスイングなのだが、手足が長いせいかそれでも甘めの外角球ならば拾って引っ張り込むことができるのである。現状は、逃げてゆく変化球や外角低めにきっちりあつめていれば、痛手は喰らわないだろうといったスイングにはなっている。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 打撃の準備である「トップ」の形は自然体なのだが、バットを引くのが遅れて速い球に差し込まれやすい。バットの振り出しは、内角寄りの球は脇を閉じて想像以上に上手くさばくことができる。そのため甘めに入った内角球ならば、うまく巻き込んでスタンドインさせてしまうだろう。 逆に外角球に関しては、腰が早く開いて足元も止まらないので現状しっかり叩け無い。手足の長さを活かし、甘めの外角球、それも真ん中~高めのゾーンならば強引にでも引っ張ってセンター前あたりにはじき返してしまう。バットの先端であるヘッドはそれほど下がっていないので、フェアゾーンにボールは飛びやすい。また内角寄りの球は、ボールに角度をつけて飛ばし、フォロースルーも使って遠くに運ぶことができている。 <軸> ☆☆☆ 3.0 足の上げ下げが大きい割には、目線は大きくは動いていない。体の「開き」が我慢できないのが一番の欠点だが、軸足は地面から真っ直ぐ伸びて軸回転でスイングできている。また軸足の内モモの筋肉も非常に発達しており、強烈な打球を放つ後押しとなっている。高校生でこれだけ発達している選手は、全国にもそうはいないだろう。 (打撃のまとめ) タイミングを合わせるのは下手ではないのだが、トップを作るのが遅れるので速い球に遅れやすい。またあくまでも引っ張れる球が打てるゾーンといった選手なので、引っ張り込めないコースの球には脆いといった欠点を持っている。この幅の狭い打撃を、最終学年はどう広げて行くのか注目したい。 (最後に) イメージ的には、PL学園時代の 清原 和博(元西武)に良く似ています。それほどスイングが鋭いわけではないのですが、腰の回転を活かしてボールを飛ばすところなどは特に。ただし清原は、右打ちも一級品でそのへんは西川とは決定的に違うところです。今後彼が、足元がピタッと止まって右打ちをマスターできてくると、また違った景色が見えて来るかもしれません。現状の位置づけは、昨年の 菊田 拡和(常総学院-巨人3位)的な存在かと思っています。右の長距離砲候補は各球団欲しいところでしょうから、大舞台でのアピール次第では一躍上位候補に躍り出ても不思議ではありません。ただし守備・走塁のレベルが低いので、本当に打って打ってアピールしないと評価は高まらないのではないのでしょうか。 (2019年 秋季神奈川大会) |