20ky-12





岡本 大翔(巨人)内野手のルーキー回顧へ







岡本 大翔(米子東3年)遊撃 190/92 右/右 
 




 「守備が良くなっている」





 昨夏の甲子園のときから、190センチ近い体格の選手にしては、打球のへの反応が素晴らしく目立っていた 岡本 大翔 。今年のプロ志望合同練習会では、故障のため守備だけの参加にはなったがそれだけでも充分に存在感を示せるほどの内容だった。そんあ、岡本 の成長を考えてみた。


(守備・走塁面)

 残念ながら、今年も昨年も正確な走力は掴めず。しかし、この夏の鳥取大会でのツーベースのタイムが計測でき、8.28秒 と、けしてこのタイムは遅くない。ガンガン盗塁を仕掛けて足でアピールするタイプではないが、けして足の遅い選手ではないのではないかとみている。

 遊撃手としては、実に一歩目の反応が鋭い。昨年は大型故に細かい動きが苦手な感じだったが、今年は動作の切り返しに磨きがかかり、連携プレーなどでも鋭い動きが目だった。肩も基準以上であり、プロでもニ遊間で勝負できる素材ではないのだろうか。まだキャッチングやスローイングに粗さは残すものの、プロに必要なスピード感・ボールの持ち替えの速さなど、この体格でも違和感なく見られる稀な存在ではないのだろうか。


(打撃内容)

 この夏の鳥取大会の打席が少しばかり見られたので、それを昨年のフォームとも比較しながら見てみたい。

<構え> ☆☆☆ 3.0

 ほぼ両足を揃えたスクエアスタンスも、軽くクローズ気味に立っている。グリップの高さは平均的で、腰の据わりはまずまず。しかし、全体的に少し前かがみで全体のバランスとしてはイマイチで、両眼で前を見据えるという意味では並ぐらいだろうか。

<仕掛け> 早め~平均

 投手の重心が下がり始めてから底に到達するあたりで、だいたい始動してくる。この仕掛けは、アベレージヒッターから中距離打者に多く見られる仕掛けで、それほど始動のタイミングは意識して動き出しているわけではないのかもしれない。昨年から、始動のタイミングはあまり変わっていない。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げて回し込み、ベース側に踏み込んできます。始動~着地までの「間」のとり方はそこそこで、速球でも変化球でもそれなりに対応。ベース側に踏み込んで来るインステップで、外角を意識したスタイルだとわかる。

 踏み込んだ足元は、インパクトの際にブレずに止まっている。外に逃げてゆく球や低めの球にも喰らいついて行ける反面、内角のさばきは窮屈になりがちだ。昨年は足を引き上げた時に捕手側に一度膝を閉めがちだったが、今年はそんなに気にならなくなった。またカーブを投げられた時に早く踏み込み過ぎても、そこで下半身がロックされた状態でも、上手く上半身だけで対応できていた点は非凡だと感じる。

<リストワーク> ☆☆☆ 3.0

 あらかじめ捕手方向にグリップを引いており、打撃準備である「トップ」を作るのは早い。そのため、速い球に立ち遅れる心配は無さそう。しかしこうなると、リストワークに遊びがなくなり柔軟性は損なわれてしまいがち。

 またバットの振り出しを見ていても、インパクトまでに遠くまわりでバットが出てくる。それだけロスがあるスイング軌道で、少し脆い・粗い印象を受けるのはそのせいかもしれない。インパクトの際には、バットの先端であるヘッドはそれほど下がっておらず、フェアゾーンには打球が飛びやすい。またボールを捉えてからも、大きな弧を描きフォロースルーも使って打球を遠くに運ぶこともできていた。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはあり、目線の上下動はそれなり。しかし身体の開きは我慢できており、軸足の形も大きく崩れないでスイングできている。けして右方向にスタンドインといったタイプではないが、上手く巻き込んだ時にはスタンドインできるパワーは充分ある。

(打撃のまとめ)

 タイミングの合わし方に非凡なものは感じられないが、タイミングを崩されても下半身で粘ってヒットに持って行ける粘りには見るべきものがある。スイング軌道の修正は必要そうで確実性には課題を残すが、スケールな大きなスイングをしており、将来20本ぐらい打てるぐらいの打者になっても不思議ではない。しかし打撃に関しては、それほど昨年からの大きな上積みは感じられなかった。


(最後に)

 190センチの体格で、これだけ鋭く切り替えせる遊撃手は、私の見る限りほとんど記憶がない。そういった意味では、かなり歴史的な素材なのかもしれない。打撃の確実性には課題はあるものの、打撃にもスケールを感じさせる。そのため、ただの大型内野手という範疇では収まらない可能性がある。育成枠指名だが、未来へのロマンを抱きたくなる楽しみな素材。しかしこの夏の打席のチェックが僅か1打席のみだったので、評価付けするほどの材料はないということでご了承願いたい。しかし印象的には、限りなく ☆ 
 ☆☆ は付けたくなるような選手だった。


(2020年 プロ志望合同練習会)










 岡本 大翔(米子東2年)遊撃 189/88 右/右
 




 「山陰に久々に現れた大物」





 山陰地方に、これほどまでにロマンあふれる野手が出てきたのは久々ではないかと思われる 岡本 大翔 。秋は故障などもあり、ショートではなく三塁や一塁などを守っていたという。夏の甲子園・智弁和歌山戦で魅せたスケール感あふれるプレーだけでなく、鳥取予選でも打率.600厘・2本塁打と確かな数字を残してから甲子園に乗り込んできていた。


(守備・走塁面)

 残念ながら、夏の智弁和歌山戦を見る限り走力はよくわからず。鳥取大会の4試合では、盗塁は0個。けして試合を観ていても、足でガンガンアピールするタイプには思えなかった。

 遊撃手としての一歩目の反応がよく、190センチ近い大型内野手とは思えない動きの良さを魅せていた。確かに細かい動きなどは苦手そうなので、将来的には反応の良さを活かして三塁あたりの方が適正は高いのかもしれない。地肩も基準以上のものがありそうで、非常に楽しみな選手なのは間違いない。





(打撃内容)

 智弁和歌山戦では、レフトの横をあっという間に抜けていった。しかし当りが良すぎて、シングルヒットになってしまったほど。予選6割が示すように、大型だが脆さはあまり感じられない。ただし打球が引っ張り中心なので、そういった打球の幅があるのかは微妙といった気はしている。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 両足を揃えたスクエアスタンスで、あらかじめ少し捕手側に引きつつグリップの高さは平均的。腰の据わりや両眼で前を見据える姿勢は平均的だが、少し全体のバランスとしてはいびつに見える部分はある。

<仕掛け> 早め~平均

 始動のタイミングは、投手が重心を下げ始めて~底のあたりと打席によってバラツキがある。ただし基本的に始動は「早めの仕掛け」ではあることが多く、対応力を重視したアベレージヒッターに多く観られる仕掛けとなっている。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を早めに引き上げて回し込み、ベース側に踏み出してきます。そのため始動~着地までの「間」は充分取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい。一方ベース側にインステップして来るように、外角を意識したスイングになっている。

 踏み込んだ前の足はしっかり止まっており、逃げて行く球や低めの球にも食らいつくことができている。気になるのは、足を上げてから捕手側に少し膝を向けるので、そこを再び開くことでタイミングが狂いやすいということ。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 あらかじめグリップを「トップ」に近い位置に添えてから振り出すので、速い球には立ち遅れ難い。しかしバットの振り出しは少し遠回りに出てくる傾向があり、そのへんが確実性を損ねている。それでもバットの先端であるヘッドを下げないでスイングしようとするので、打球に角度はつき難いものの広い面でボールを捉えやすい。そのため打球も、フェアゾーンに飛びやすい傾向になる。

 ボールを捉えてからも、非常に大きな弧を描きつつ最後まで思っきり振れる選手。ボールを遠くに運ぶというよりは、強烈な打球で野手の間を抜けて行くタイプには見える。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは結構あるので、目線の上下動は大きめ。それでも身体の開きは我慢できており、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて軸回転でスイングはできている。

(打撃のまとめ)

 タイミングのとり方は悪くないものの、始動がバラバラでスイングが安定し難い。またバットの振り出しが遠回りだったり、目線の上下動が激しかったりと、まだ粗い部分が目立ち安定感には欠ける。

 それでも根本的な当て勘は大型の割に悪くなく、ヘッドも下がらないのでタイミングさえ合えば強烈な打球で抜けて良く資質の高さは感じられる。さらに、スイングの振り出しや打球は非常に鋭いので、そのへんは並の高校生ではない。


(最後に)

 大型三塁手ぐらいの感覚で見るのならば、守備も悪い選手ではないのだろう。問題は春以降、周りを圧倒するようなモノの違いを魅せられるかどうか? そういったことができれば、高校からのプロ入りも現実味を帯びてくるだろう。最終学年も、ぜひ大舞台でみてみたいと思わせる選手だった。


(2019年夏 甲子園)