20kp-36
上田 洸太朗(享栄3年)投手 184/93 左/左 | |
投球のほとんどが、速球とカーブにスライダーとのコンビネーションで、今どきチェンジアップを使わない珍しい投球スタイルの 上田 洸太朗 。ちょっともっさりしたフォームなのも、オールドスタイルの雰囲気を漂わす。 (投球内容) 昨年までは、ワインドアップでしっかり振りかぶって投げていました。しかし、プロ志望合同練習会では、ノーワインドアップに変わっていました。夏の愛知大会では、2試合に登板して 12回1/3イニングで6失点と、ちょっとピリッとしない最後の夏となりました。 ストレート 常時140キロ前後 ☆☆★ 2.5 骨太の体格から繰り出す、球威のあるボールが特徴的。昨夏は135キロ前後だった球速は、今は140キロ前後まで出せるようになってきました。バットを押し返すような力のあるボールで、大まかに両サイドに散らして来るピッチングスタイルは、昨年とあまり変わっていません。細かい制球力はありませんが、四死球で自滅するといった荒々しいタイプでもありません。 変化球 カーブ・スライダー ☆☆★ 2.5 持ち球にチェンジアップがないわけではないと思うのですが、変化球は横滑りするスライダーと、さらに緩いカーブがあります。特に多くは、スライダーとのコンビネーションです。少し肘が下がってスリークォーター気味に腕が出てくるので、左打者としては背中越しから来る感じで踏み込みずらいのでしょう。外角低めのボールゾーンに、逃げてゆくスライダーを振らせるのが持ち味です。 その他 牽制は、軽く入れる程度。クィックは、1.05秒前後とまずまず。フィールディングは機敏には見えませんが、無難には処理できていました。微妙な駆け引きや細かいコースの出し入れをといった投球術は感じられず、淡々と投げ込んできます。 (投球のまとめ) 昨年と大きく何かが変わった感じはしませんが、5キロ程度速くなっても投球のバランスは崩してはいませんでした。非常に大型のせいなのか? ゆっくりした成長曲線を描いているように感じます。そういった意味では、本格化するのにはまだ何年か必要なのではないのでしょうか。 (投球フォーム) 今度は、フォームの観点から今後の可能性について考えてみましょう。ノーワインドアップから足を高い位置まで引き上げ、バランスよく立てています。 <広がる可能性> ☆☆★ 2.5 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻の三塁側(左投手の場合)への落としは甘めです。それでも、カーブやフォークなど捻り出す球種が投げられないほどではないと考えられます。ただし、ブレーキや落差が鈍くなる可能性がありそうです。 むしろ問題なのは、「着地」までの地面の捉えが淡白で、身体を捻り出す時間が短いこと。こうなると大きな変化は望み難いので、球速のある小さな変化を中心にピッチングの幅を広げてゆくことになるのではないのでしょうか。将来的には、空振りを奪うというよりも打たせて取る投球スタイルになりそうです。 <ボールの支配> ☆☆★ 2.5 グラブは内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を抑え込めています。そのため軸がブレ難く、両サイドへのなげわけはつけやすいのかと。実際そういった投球ではあるのですが、腕と頭が離れて腕が外旋しているせいか? どうしてもコントロールが定まり難い傾向にあります。 足の甲の地面への押しつけも浮いてしまい、力を入れて投げるとボールが上吊りやすい。さらに「球持ち」も良くはないので、ボールが抜けやすいのではないかと。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻の落としに甘さは残すものの、それほど悲観するほどではないだろう。ましてカーブもさほど使わないし、フォークのような球種も観られない。そういった意味では、窮屈になる機会も少なく肘への負担はあまり気にしなくても良さそうだ。 腕の送り出しをみても、特に違和感は感じられません。したがって、肩への負担は大きくはないと考えられます。少々力んで投げているので疲労を溜めやすい恐れはありますが、そこまでではないので、これもあまり気にしなくても良いのではないのでしょうか。 <実戦的な術> ☆☆ 2.0 「着地」までの粘りが淡白でタイミングが計りやすいだけでなく、ボールの出どころも少し早く見えている気がします。ゆえにコースを突いた球でも踏み込まれたり、低めの変化球を見極められる恐れはあります。 腕の振りは悪くないのですが、開きの早いフォームのために打者は吊られないのではないかと。ボールに充分体重を乗せきる前にリリースを迎えてしまっており、前にグッと体重が乗ったような勢いのある球がまだ投げられません。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、いずれにも課題を抱えており実戦的なフォームとは言えません。故障のリスクが低いのは明るい材料で、制球を司る動作が悪い割には大きくは制球を乱しません。しかしそれでも、将来的に武器になる変化球を習得できるのかは微妙だと言わざるえません。あくまでも球威のある真っ直ぐと微妙に動かす球を、低めやコースに丹念に集めて打たせてとるピッチングスタイルを目指すことになるのではないのでしょうか。 (最後に) いっけん剛球左腕の将来をイメージしがちなのですが、私はむしろ打たせて取る技巧派になって行くではないかと。特に腕の振りもスリークォーターなので、将来はサイドぐらいまで特徴を出すために腕を下げることになるかもしれません。ただしどんな選択をしようとも、かなり一軍で通用するまでには時間がかかるのではないかとみています。できれば、大学や社会人などを経由した方が良かったのではないかと思いますが、本人のプロ志向が高かったようなので、その意欲に期待して今後の成長を見守って行きたいと思います。残念ながら私自身は、☆ を付けるほどの魅力は感じられませんでした。 (2020年 プロ志望合同練習会) |
上田 洸太朗(享栄2年)投手 184/94 左/左 | |
骨太の体格から投げ込んでくるサウスポーだが、思いのほか投球が安定している 上田 洸太朗 。2年夏の時点では、まだもっさりしたところがあった。一冬越えて、どのぐらいパワーアップしているのか注目される1人ではないのだろうか。 (投球内容) 今どき珍しく、ワインドアップから振りかぶってきます。今年になってからは、大阪桐蔭相手に完封勝利をしたいう実力派でもある。 ストレート 常時135キロ前後 ☆☆★ 2.5 昨夏の時点では、常時135キロ前後ぐらいといった感じだった。かなり重い球を投げ込んでくる投手で、なかなか高校生で弾き返すのは難しいほどの球威がある。空振りを誘うようなキレや伸びは感じさせないが、打者のバットを押し返し詰らせるのを身上としている。コントロールも、大まかに両サイドに投げ分けられます。そのため、四死球で自滅するような危うさはありません。 変化球 カーブ・スライダー ☆☆☆ 3.0 スライダーでカウントを整えつつ、時々緩いカーブも交えます。特に空振りを誘うようなキレはなく、あくまでもストレートとの緩急やカウントを整えるためのもの。2年夏の時点では、チェンジアップらしき球は見当たりませんでした。 その他 牽制は下手には見えませんでしたが、軽く投げる程度。クィックは、1.05秒前後とまずまず。フィールディングはそれほど機敏には見えませんでしたが、無難には処理できていました。特に駆け引きや細かいコースの出し入れをといった投球術は感じられず、淡々と投げ込んでくるタイプに見えます。 (投球のまとめ) 2年夏の時点では、重い球をストライクゾーンに投げ込んでくるだけといった感じの投手でした。ボールに球威はあっても、身体のキレに欠けるので、少々ボールを置きにゆくようにも見えました。そのへんの動作が、この一年でどのぐらい変わってきているのか?身体には力がありそうで余力も感じられるので、しっかりトレーニングを積んで来られているのであれば、コンスタントに140キロ前後~中盤ぐらいは投げられるようになっている可能性は充分あると思います。そうなっているようだと、かなり印象も変わって来るのではないのでしょうか。 (投球フォーム) ワインドアップから振りかぶってきますが、足を引き上げる勢いや高さは並ぐらい。軸足一本で立った時に、膝に余裕があって力みのないところは良いところ。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 引き上げた足を比較的高い位置でピンと伸ばしており、お尻の三塁側への落としは悪く有りません。したがって身体を捻り出すスペースは確保できており、カーブやフォークといった球種を投げるのにも無理がありません。 気になるのは、「着地」までの地面の捉えがあっさりしているところ。したがって、身体を捻り出す時間が短く、キレや曲がりの大きな変化球の習得は厳しいのではないかとみています。そういった意味ではカーブやフォーク系の球は投げられるものの、武器になるほどの変化球の習得は厳しいかもしれません。あくまでも空振りを誘うというよりも、微妙にタイミングをズラしたりして、打ち損じを誘うタイプの投球スタイルになりそうです。 <ボールの支配> ☆☆☆ 3.0 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができている。そのため両サイドへの投げ分けは、しやすいのではないのだろうか。しかし足の甲が地面から浮いてしまっており、浮き上がろうとする力を抑え込めていない。力を入れて投げようとするとボールが上吊ってしまう恐れがあり、いくぶんセーブして投げている可能性がある。「球持ち」自体は悪くないので、それによってある程度ボールを制御できていると考えられる。 <故障のリスク> ☆☆☆☆★ 4.5 カーブは結構使ってくるが、お尻は落とせているので窮屈になることは少なそう。そういった意味では、肘への負担は少ないと考えられる。腕の送り出しを見る限り肩への負担も少なそうだし、けして力投派でもないので疲労も溜め難いのではないのだろうか。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りがあっさりしているので、イチ・ニ・サンのタイミングで合わされやすい。しかし球の出どころは隠せているのと、ボール自体が重いので、高めに浮かなければ痛打を喰らい難いのではと。 腕は投げ終わったあと身体に絡んできており、ある程度勢いは感じさせるし粘っこい。足の甲での地面への捉えができていないのに、前には体重が乗っている感じだし球が重いレアのタイプだと言えよう。 (投球フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」に課題が残っている。それゆえに、ピッチングが淡白に見えてしまうかもしれない。足の甲の押し付けができないことから、ボールが上吊りやすいこと。将来的に、武器になるほどの変化球を習得できるのかは微妙かと。ただし故障のリスクが少なそうなので、新しい技術を習得するのに投げ込みができる機会に恵まれたり、タフな活躍は期待できるのではないかと期待しております。 (最後に) 常識的な成長曲線を描く場合には、高校からプロというよりは大学などワンクッション置いてからという判断にはなりそうです。しかしこの一年の間に、見違えるほどよくなっているのであれば、体格にも恵まれているし貴重なサウスポーであることを考えると、指名候補に浮上して来るかもしれない。果たしてどのような成長を遂げているのか、チェックが必要な1人ではないのでしょうか。 (2019年夏 愛知大会) |