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元山 飛優(東北福祉大4年)遊撃 180/79 右/左 (佐久長聖出身) | |
佐久長聖時代は、高校からのプロ入りは厳しいかなと思っていた 元山 飛優 。しかし、福祉大で1年生の時に見たときには、4年後は上位でプロ入りするのではないかと思えるほどになっていた。何よりこの選手、攻守に華があるのである。そんな彼が、なぜ4位まで残ったのか? 考えてみた。 走塁面:☆☆☆ 3.0 一塁までの到達タイムは、左打席から 4.25~4.1秒 ぐらいと平均的。ベースランニングなどをみると、もう少し速そうなタイムでそうですが、それほど足でガンガンアピールするプレースタイルではありません。けして動けない選手ではないのですが、将来的に足を売りにして行けるイメージは今のところ湧きません。 守備面:☆☆☆☆ 4.0 細かいステップも刻め、球際でのハンドリングの良さに光るものがあります。なにより、フットワーク・キャッチング・スローイングまでの流れが実に美しい。地肩も基準以上なのですが、連携する二塁手への送球が雑だったり、守備に少し浮ついた部分があるのかなと思う部分はあります。その辺は、意外にプロ側の心象が悪かったのかもしれません。ただしこういった部分は、根本的な資質が悪いというよりも、プロの指導者がしっかり教えれば修正可能なレベルではあると思います。いずれにしてもプロでニ遊間を担って行ける、それもかなり魅せることができるショートに育ってゆくのではないのでしょうか。 (打撃内容) ラストシーズンも、.353厘(9位)と、特に打撃の調子が悪かったわけではありません。リーグ通算.356厘の好成績を残し、特にハンドリングの柔らかさには非凡なものを持っています。打撃フォームは、この秋のものです。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 昨年神宮大会で見た時は、ほぼ両足を揃えたスクエアスタンスでした。しかし今年は、前の足をしっかり引いた左オープンスタンスで、グリップを高めに添えています。腰の据わりも適度に良く、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスも好い構えだと思います。構えは、自分がシックリする形ならば、それほど正解などはないと思います。しかし昨秋よりも、個人的にはしっくりした構えになっていたようには見えました。 <仕掛け> 早め 昨秋は「平均的な仕掛け」に見えたのですが、この秋は「早めの仕掛け」のタイミングであり、意図的だったのか偶然立ったのかわかりませんが、若干始動のタイミングが早まっていました。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターに多く見られる仕掛けです。彼のプレースタイルには、合っているのではないのでしょうか。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を上げて回し込み、ベース側にインステップしてきます。始動~着地までの「間」は、始動が早まったぶん余裕ができ、よりスピードの変化には対応しやすくなったのではないのでしょうか。またベース側に踏み込むところは昨秋と同じ、外角への意識が強いことがわかります。 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にブレずに我慢。逃げてゆく球や低めの球にも、開きを我慢してついて行くことができます。気になるのは、左打者がインステップすると最初の一歩目が遅れるので率が残り難いという側面があります。彼のようなヒットメーカーの場合、真っ直ぐ踏み出すぐらいの方が良いのではないかと個人的には考えます。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力み無く柔らかなリストワークを実現できています。気になるのは、「トップ」自体が浅く、あまり強い打球が打てないのかな?といった感じがします。「トップ」を深く取るというのは、弓矢の弓を強く引くのと同じで、それが浅いということは反発力を生み難いことに繋がります。彼の良さは、手元で操作するハンドリングの良さでもあり、そのデメリットの部分が打球の強さ・速さに影響しているかもしれない気がします。このへんが、レベルの高いプロの強くて速い球に、何処まで対応できるのだろう? という不安は抱きます。 バットの振り出し自体は、インパクトまでロスが感じられません。インパクトの際にもバットの先端であるヘッドも下がらないので、広い面でボールを捉えられます。それだけフェアゾーンに、ボールが飛びやすくなります。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げも静かで、目線の上下動は小さめ。身体の「開き」も我慢でき、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定しています。調子の波も、比較的少ないのではないかと考えられます。身体を上手く残し、レフト方向へも上手く流せます。 (打撃のまとめ) 柔らかく合わせるのが上手いハンドリングの良さは非凡な一方、インステップすることでの一歩目の遅れと「トップ」を深く取れないことでの打球の強さ・強く叩けないスイングは気になります。プロで毎年3割以上残せるような特別な才能を感じさせる一方で、プロの球に力負けしないスイングを作るのには、数年かかる可能性もあるのかなと思ってしまいます。その辺プロの世界に混ぜた時に、どのぐらいやれるのかなと見ていないとわからない部分はあります。 (最後に) 攻守に天才的な感覚を持った選手だと思う反面、意外に雑な部分があったり、打撃でも強く叩け無いところがあり、順応には数年かかるかもしれないと思わせるものがあります。とても華があるプレーヤーである一方、プロのスカウトには引っかかる部分があったのではないのでしょうか。 それでも持っている資質、スター性は素晴らしく、彼を4位で獲れたことは大きいと思います。プロでもショートとして勝負できる素材ですし、上手く順応してゆけばダイナミックな守備で、、毎年3割前後を狙えるようなヒットメーカーになっても不思議ではありません。球界を代表する、ショートに育っていって欲しいと願わずにはいられない一人でした。 蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級) (2020年 東北優勝決定戦) |
元山 飛優(東北福祉大3年)遊撃 180/78 右/左 (佐久長聖出身) | |
180センチ台の大型内野手で、実にその所作を見ているとグランド映えして格好いい 元山 飛優 。攻守に、高い野球センスを感じさせる大型遊撃手なのだ。 走塁面:☆☆☆ 3.0 一塁までの到達タイムは、左打席から 4.25~4.15秒 ぐらいと、けしてプロの選手としては速いわけではない。リーグ戦でもだいたい盗塁は1、2個ぐらいで、3年春のシーズンだけ4個を記録している。動けない選手ではないが、走力でガンガンアピールする選手ではないのだろう。 守備面:☆☆☆☆ 4.0 最大の売りは、守備にある。一歩目の反応が鋭く、フットワーク・キャッチング・スローイングまでの流れが実に美しい。佐久長聖時代から、その守備力には定評があった。肩も水準以上であり、守備に関してはプロに混ぜてもショートで勝負して行けるものがある。 打球を正面で処理しようという基本に忠実といったタイプではないが、キャッチングに丁寧さがあるところは好感が持てる。これだけの身体能力とプレーができる選手ならば雑になりそうなところだが、そういった粗っぽさは一切感じられない。 (打撃内容) リーグ戦では、2年春に首位打者、3年春に2位となる.438厘を記録。2年春と3年春には、打点王にも輝いている。ここまでの3年間の通算打率は、.356厘とハイアベレージ。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 前の足のカカトを浮かして構えますが、ほぼスクエアスタンスと言えます。グリップの高さは平均的で、腰の据わり具合は並ぐらい。両眼で前を見据える姿勢がよく、全体のバランスもまずまずといった形になっている。 <仕掛け> 平均 投手の重心が沈みきった底のあたりから動き出す、平均的な仕掛けを採用。ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く見られる仕掛けです。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を軽く上げて回し込み、ややベース側に踏み込むインステップ。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応できる。ベース側に踏み出すように、外角への意識が強いタイプ。 踏み出した前の足はしっかり止まってブレないので、逃げて行く球や低めの球にも食らいつくことができる。強いていば左の好打者タイプだけに、インステップしてしまうと一塁への走り出しが遅れて率が残り難い傾向にある。できれば真っ直ぐ踏み出すぐらいにして、一歩目のスタートと内角へのスペースにも余裕をもたせたい。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形をつくるまでは自然体で、ボールを力みなく呼び込めている。バットは寝せて出すスタイルで、肘をたたんでキレイに振り抜けている。逆に肘を伸ばして強く叩くのはあまり得意ではないようで、左方向には合わせられるがあまり強く叩けていないようには見える。 振り出しからインパクトまでのスイング軌道にロスは少なく、インパクトの際にもヘッドが下がらずに広い面でボールを捉えられる。そのためフェアゾーンにボールが飛びやすく、ミート力は自体はかなり高い。あとは、プロレベルの強い球に力負けしないだけの、強さ・鋭さのあるスイングを身につけられるかではないのだろうか。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げは静かで、目線の上下動は小さめ。身体の開きもしっかり我慢できており、軸足にも粘りと安定感を感じる。調子の波も、比較的少ないのではないのだろうか。 (打撃のまとめ) 広角に打ち返す好打者といった感じで、けして長打で魅了するタイプではありません。ボールを捉えるのは上手いのですが、少々まだプロレベルの球威・球速のある球に対しては力負けしそうなスイングの弱さが感じられます。やはりドラフト上位を担うならば、スイングに強さ、打席でも甘い球を逃さない隙き無しの鋭さみたいなものが感じられるようになれば、上位指名は揺らがないのではないのでしょうか。3年生までの打撃を見る限りは、センスは感じますがプロで対応できるようになるには少し時間がかかりそうな印象は持っています。 (最後に) 守備に関しては、一軍に混ざっても遜色ないレベルにあると思います。打撃センス・ミート力はあると思いますが、一軍で打撃が通用するのには少し時間がかかりそう。そういった意味では、純粋な即戦力かと言われる現時点では疑問です。しかし最終学年での成長次第では、充分に上位指名の可能性があります。あとは、打撃でいかに突き抜けたものを全国大会で示せるかではないのでしょうか。イメージ的には、早稲田から日ハムに指名された 石井 一成 に似ている感じがします。 (2019年秋 神宮大会) |