20dy-26
保科 広一(創価大4年)外野 187/89 左/左 (遊学館出身) | |
アメリカ人を父に持つハーフ選手で、高い肉体的資質を持つ 保科 広一 。技術的には粗い部分はあるが、非常にポテンシャルを秘めた素材型野手といった感じがする。 (守備・走塁面) 試合ではDHでの出場だったので、試合前練習の映像を確認。肩は凄く強いといったほどではなく、また打球勘もあまり良くないからこそ、これだけの資質がありながらDHを務めていると考えられる。遊学館時代は、投手兼中堅手。創価大に進んでからは、レフト兼DHという感じの起用が多かったと記憶する。 一塁までの到達タイムは、左打席から4.2秒前後とタイム的には速くない。しかしストライドの大きな走り方で、二塁打・三塁打などの長打が出ると加速して速い。三塁打の到達タイムが11.5秒前後とかなり速いので、秘めたる走力はかなり高いのだろう。ただしそれが、盗塁に繋がるかと言われると現状未知数としか言いようがない。 守備・走塁に関しては、資質は高くても上手くはないというのが現状ではないのだろうか。そのへんは、プロに入ってからどのぐらい高めることができるかに懸かっている。 (打撃内容) オーバー・フェンスをする長打力というよりは、外野手の間や頭を抜けてゆく二塁打・三塁打が多いタイプの強打者。2年秋と3年春のシーズンでは、リーグ2位となる打率を残すなど、対応力が極端に低いわけでは無さそうだ。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を引いて、グリップを高めに添えます。腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスとまずまずで、恵まれた体格も含めて雰囲気のする構えです。 <仕掛け> 遅すぎ 投手の重心が下る時にベース側につま先立ちして、リリースを迎えるあたりで動き出す「遅すぎる仕掛け」を採用。通常日本人の筋力やヘッドスピードを考えると、このタイミングでプロの球を打ち返すのは厳しくなる。しかしそのへんは、ハーフの血筋で肉体の資質が日本人離れしており、このタイミングでの始動でも打撃が成立してしまう可能性はあると思う。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 足を小さく引き上げ、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」が取れず、狙い球を絞りその球を逃さず叩く「鋭さ」が求められます。またアウトステップするということは、内角を強く意識したスタイル。 踏み込んだ前の足は、しっかり止まってブレません。しかし実際には引っ張り込める打球は強いのですが、外角の際どい球はファールで粘ったり、腰の入らないで手打ちになっています。現状は、外角に逃げる球を投げていれば大丈夫といったスイングです。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」に近い位置にグリップを添えているので、速い球に立ち遅れる心配はありません。ただし、打撃の準備である「トップ」をしっかり作れないまま振り出すので、タイミングが上手く図れていないように感じます。 バットの振り出しは、けしてインサイドアウトではないのでバットの出が好いとは言えないでしょう。それでも外角の球をさばくときには、大きくはバットの先端であるヘッド下がっているという感じもしませんし、インパクトまでも大きなロスは感じません。 インパクト後も大きな弧を描きつつ、思いっきり振り抜きます。それだけ強烈な打球が、野手の間を抜けてゆくことになります。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は少なめ。また身体の開きも我慢できており、軸足の内モモの筋肉も発達しており、強烈な打球を生み出す原動力にはなっている。 (打撃のまとめ) 上半身の動きも・下半身の受け止めにも、大きな欠点は見当たりません。ただし始動が遅すぎたり、「トップ」を作れなかったりとタイミングを図るのが下手だというのが気になります。このへんが脆いために、極めて打てる球は限られて出会い頭で打っているようなバッティングです。また足元はブレていないものの、外角の球に対し腰の入ったスイングができないのも確実性を損なう要因になっているのではないのでしょうか。 (最後に) 肉体的な資質は確かに魅力なのですが、走力・守備力・打撃力と技術的には非常に未熟といった印象を受けます。だからこその育成11位なのだと思いますが、そのへんがプロの指導や環境で改善されるかに懸かっているのではないのでしょうか。巨人の育成では珍しいポテンシャル型であり、こういった選手をモノにして行けると巨人もまた違ったチームになってゆくかもしれません。 (2020年秋 横浜市長杯) |