20dp-28
近藤 廉(札幌学院大4年)投手 180/87 左/左 (豊南出身) | |
札幌学生リーグの2部に所属する選手ながら、ドラフト前には7球団から調査書が届いたという 近藤 廉 。左のスリークォーターから繰り出される、カットボールはなかなか興味深い。 (投球内容) リリーフタイプといった感じのサウスポーで、勢いのある投球を持ち味にしている。ちなみ札幌学生リーグの2部での通算成績は、3勝9敗 防御率 2.72 と平凡な成績に留まっている。 ストレート 130キロ台後半~140キロ台中盤 ☆☆☆ 3.0 最速では148キロを記録したことがあるということだが、試合の模様をみる限り常時130キロ台後半~指にかかった時に140キロ台中盤を記録するといった感じ。もっと荒れ荒れの素材かなと思ってみていたが、意外にストレートも両サイドに散ってきて、思ったほどはノーコンではなかった。むしろフォームも少し腕が下がってくるので、ストレートでもややカットボール気味な感じで来る。球速的にはドラフト指名される左腕としては平均的なレベルにあるが、ストレートだけだと合わされやすいのではないかみている。 変化球 カットボール・スライダー・カーブ・フォークなど ☆☆☆★ 3.5 ストレートとの見分けが難しいカットボールが有効で、特に左打者にとってはタイミング崩される。他にも緩いカーブやカットボールよりも大きく変化するスライダー。さらにシンカー気味に小さくシュート回転して沈むフォークが見られる。そういった一つ一つの変化球の精度やキレは、けして悪くない。特にカットボールに関しては、プロでも大きな武器になりそうだ。 (投球のまとめ) 複数の映像を元に見てみたが、どれもそれほど長いものではなかった。逆にこれだけのボールを持っていながら、なぜ札幌学生の二部リーグにおいて無双できなかったのか? その理由が、イマイチ掴めずに終わってしまった。そこでフォームを分析することで、この選手の全体像を想像してみたい。 (投球フォーム) 足を引き上げる勢いは並だが、比較的高い位置まで引き上げられている。軸足一本で立ったときも、膝には余裕は感じられないものの、高く引き上げた足によってバランス良く立てている。 <広がる可能性> ☆☆★ 2.5 前に屈むような感じで体重を落とすので、お尻は三塁側(左投手の場合は)には落ちないフォームです。したがってカーブやフォークを投げるのには窮屈になりがちで、曲がりや落差を鈍らせる危険性があります。 「着地」までの粘りは早すぎるかなと思ったのですが、そこまで地面を捉えるのが早すぎる感じではありませんでした。ただしステップが狭いことで、体重移動の方に影響が出ています。身体を捻り出す時間は並ぐらいで平凡なので、速球に近い小さな変化で勝負してゆくタイプになるのでしょう。実際の投球も、カットボールを中心にそういった内容になっています。 <ボールの支配> ☆☆★ 2.5 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を抑え込めています。そのため両サイドの投げ訳は、つけやすいフォームではないかと。実際の投球を見ていても、真ん中近辺には入らず、うまくボールが散っている感じはしました。 足の甲の地面の捉えが浮きがちで、力を入れて投げるとボールが上吊る危険性を感じます。球持ちもけして良いという感じではないので、指先の感覚はあまり良くないのでは?短い映像だと良い場面ばかりが目立ちますが、そうではないときも多いということなのでしょう。 <故障のリスク> ☆☆★ 2.5 お尻が落とせないフォームの割には、カーブやフォークも使ってくるので、身体を捻り出すスペースが確保できず窮屈になりがちなのではないかと心配になります。そういった意味では、肘への不安は感じるフォームです。 腕の送り出しには無理は感じませんので、肩への負担という意味ではあまり心配していません。ただし力投派なので疲労を溜めやすく、そこからフォームを崩して故障に繋がらないのかの心配は残ります。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りは早すぎることはないと思うのですが、少し「開き」が早くボールが見やすいのではないかという感じはしています。しかしボールがいち早く見えても、ストレートと見極めの難しい小さな変化で芯を外すことはできているのではないのでしょうか。 また腕の振りやフォームに躍動感があって勢いはあるので、空振りは誘いやすいのではと感じます。ボールにしっかり体重を乗せてからリリースできていないので、上半身や腕を鋭く振ることでキレを生み出しています。空振りを誘える反面、球威に欠けるぶん甘く入ると長打を浴びやすい危険性があります。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、全体的に動作の粘りに欠けるのは気になります。故障のリスクやコントロール、さらに武器になる球を習得できるのか?という不安はよぎります。しかしすでに、カットボールという大きな武器があるので、この球はプロでも通用しそうです。細かいことをいうと欠点が多いフォームなのですが、勢いと速球と見極めがつき難いという長所を全面に出してやってゆくことが求められるのではないのでしょうか。 (最後に) 即戦力云々の選手ではないと思いますが、プロの環境や指導でどう化けるのか?楽しみな素材ではあります。1,2年ファームで育成したあとに、どのような選手になっているのか? 投手育成に定評がある中日だけに、一軍に絡んでくる日を楽しみに待ちたいところ。 しっかり見られた選手ではないので、評価付けができないことはご了承願いたいと思います。 |