19kp-16
藤本 竜輝(立命館大3年)投手 181/76 右/右 (社出身) | |
社高校時代にプロ志望届けを提出していたら、上位指名も狙えたかもしれない 藤本 竜輝 。そう考えると、彼の現在地には物足りなさが残る。別の言い方をすれば、最終学年で一気に才能が爆発してきても不思議ではない大器なのだ。 (投球内容) ここまでの三年間では、リーグ通算21試合に登板。主にリリーフで登板してくるので、目立った成績は残せていない。3年秋も10試合に投げ、防御率 1.53 。成績は悪くないが、彼ほどの才能の持ち主であれば、先発でバリバリに投げていて欲しいところはある。 ストレート 145キロ前後~後半 ☆☆☆★ 3.5 ボール自体はかなりズシッとしており、高校時代よりも球威が増しているように思える。ただ全体的に、真っ直ぐのコマンドは、高校時代の方が良かったのではないかといった感じ。そのため指にかかり過ぎてワンバウンドしたり、欲しいところでカウントが取れなかったという収まりの悪さを感じてしまう。 変化球 カーブ・スライダー・チェンジアップなど ☆☆☆ 3.0 投球の中で、ブレーキの効いたカーブを多く使ってくる。ただ決まった時には良いが、この球が決まらないことも多い。スライダーも使って来るが、あまりスライダーの精度やキレは良くないように思える。むしろ、チェンジアップを多く混ぜ、この球の方が効果的で自信を持っているのではないのだろうか。ただこの秋も、17回2/3イニングで14三振。三振比率は 0.79個 と、リリーフとしては決め手があるといったほどではない。 (投球のまとめ) 入学後に肘を痛めて、投げられなかった時期もあったようだ。そういった意味では、こちらが思い描いていたほどの成長曲線は描いてはおらず、順調さを欠いていたのかもしれない。現状はまだ総合力で、指名確実といえるほどのものはなく、同期の 谷脇 弘起 に遅れをとっている形。スケールでは上をゆくだけに、最終学年では切磋琢磨して互いにプロを目指して頂きたい。 (投球フォーム) 今度は、フォームの観点から考えてみたい。ノーワインドアップからゆったりした入りで、足は比較的高く引き上げて来る。軸足一本で立った時には、膝がピンと伸び切ることなく余裕が持て、全体にはバランス良く立てていた。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 引き上げた足を地面に伸ばしがちなので、お尻の落としは甘くなる。カーブやフォークなどを投げられないことはないが、充分な変化が期待できるかは微妙だろう。ただし、カーブのブレーキ自体は良いので、その点はあまり気にしなくても良いのかもしれない。 足を前にステップさせる意識はあるようだが、体を捻り出す時間としては並ぐらい。こうなると大きな曲がりの変化球をというよりも、球速のある小さな変化を中心に投球の幅を広げてゆくタイプなのかもしれない。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めていることはできている。したがって軸はブレ難く、両コーナーへの制球は安定しやすい。また、足の甲での地面の捉えもできており、浮き上がろうする力も抑え込めている。「球持ち」も並ぐらいには見えるものの、センター方向からみると、リリース時の頭と腕との角度が開きが大きい。こうなると腕が外旋しやすく、ブンと遠回りに腕が振られがちで、制球を乱す要因になりかねない。このへんが、制球の不安定さを呼んでいるようにも思える。指先の感覚としては、やや悪いのかもしれない。 <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻の落としに甘さはあるが、カーブは結構使ってくるものの、そこまで気にしなくても良さそう。肘などを傷めないためにも、ケアには充分気をつけて欲しい。そのへんは、入学後肘を痛めた経験もあるので、充分に注意しているものと思われる。 腕の角度には無理は感じられないものの、前で述べたように腕が外旋してブンと振ってくるので、それなりに負担はあるかもしれない。またリリーフで登場してくるので、それなりに力を入れて投げており、疲労も溜まりやすい恐れはある。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りは平均で、ボールの出どころは少し早く見えている。そのため打者からすれば、苦になるほど嫌らしさは感じられないのではないのだろうか。それでも、17回2/3イニングで9安打と、被安打率が 51.0% は優秀ではあるのだが。 腕は強く振れているので悪くないのだが、ボールが見やすいぶん空振りを誘えるかは微妙。ただし、秋は真っ直ぐを意識させての変化球は有効に見えた。ボールにしっかり体重を乗せてからリリースできているかと言われると、力をロスしてしまっているようにも見える。球威は確かに感じるのだが、もっと打者に迫ってくる迫力が途中で損なわれ、指先まで力が伝えきれていないのではないのだろうか。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「開き」や「体重移動」に関しては改善の余地があるように思える。制球を司る動作は、腕がもう少し内旋できるようになれば改善されるのではと思う部分も。故障のリスクは平均的だが、将来的に武器になるほどの変化球を習得できるかは微妙。高校時代からやや伸び悩んでいる感があるのは、制球力の粗さと実戦的なフォームとはいえない部分が影響しているのかもしれない。 (最後に) スペック的には、最終学年で一気に上位候補へといった可能性は秘めている。その一方で、今のままならば大学からのプロ入りするほどのインパクトには欠けるのではないかとも思える。全ては、最終学年での内容次第といったことになりそうだ。 (2022年秋 リーグ戦) |
藤本 竜輝(社2年)投手 181/74 右/右 | |
けしてスケール溢れる素材というよりも、投手らしい投手といったセンス溢れるタイプ。すでに2年生のの時点で、ピッチングというものを心得ている印象を受ける。一冬越えて凄みが出てきたら、一気に上位候補にまで昇りつめるのではないのだろうか。 (投球内容) 均整の取れた体格で、ノーワインドアップから投げ込んでくる。秋の兵庫大会では、36イニング連続無失点を記録。大会終盤に疲れが出たのか? 破れた明石商戦や3位決定戦の報徳学園戦では短い回数の登板に留まった。 ストレート 常時135~140キロ台前半ぐらい? ☆☆☆ 3.0 現状驚くような球威・球速はないが、適度な球速と勢いは感じさせる。それ以上にストレートのコントロールに優れていることを評価したい。内外角に投げ分けるコントロールがあり、結構低めにもボールが集まる。勝負どころで、ズバッと良いところに決めて見逃しを誘う。 変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップなど ☆☆☆★ 3.5 右打者の外角に、小さく逃げるスライダーを振らせて三振を奪う。他にもカーブにもブレーキがあり、チェンジアップのような沈む球もたまに織り交ぜてくる。基本は、変化球を織り交ぜコンビネーションで打ち取るタイプ。 その他 クィックは、1.1秒前後とそれなり。パッとマウンドを外したり、危険回避能力に優れ「間」の入れ方がうまい。こういったことが何気なくできるのは、天性の投手といった感じがする。 (投球のまとめ) 現状はまだボールに、凄みみたいなものは感じられない。あくまでも適度な速球と、変化球をうまく織り交ぜられる有望株といった範疇からは脱しられていない。一冬越えても大幅な成長が見込めていないようだと、兵庫の好投手に多く見られるような大学経由といった進路になるかもしれない。しかしハッキリした成長が見られれば、一気に上位候補へ躍り出れる素材だろう。 (投球フォーム) 投げ終わったあとに帽子を落とすように、意外に力投派でスリークォーター気味な腕の振り。 <広がる可能性> ☆☆☆ 3.0 お尻はバッテリーライン上に残りがちで、それほど一塁側に落とせていない。したがってカーブで緩急をつけたり、フォークのような縦の変化球にはあまり適した投げ方ではない。 「着地」までの粘りも平均的で、体を捻り出す時間も並ぐらい、そういった意味では、キレや曲がりの大きな変化球を習得できるのかは微妙。現状のスライダー・チェンジアップに加え、球速のあるカットボール・ツーシーム・スプリットなどの小さな変化で勝負してゆくタイプなのではないのだろうか。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ 4.0 グラブは最後まで内に抱えられ、両サイドの投げ分けは安定しやすい。足の甲でも地面を捉えており、ボールも低めに集まりやすい。「球持ち」は並ぐらいだが、指先の感覚には優れている印象を受ける。 <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻は一塁側に落とせているわけではないので、カーブやフォークなどを投げると窮屈になりがち。それでも、さほどそういったボールへの依存度は高くないので、気にするほどではない。 腕の送り出しにも無理は感じられず、肩への負担もそれほどでは。結構力投派で消耗が激しい部分があるので、そこからフォームを崩して怪我に繋がらなければよいのだが。あとテイクバックしたときに、背中をラインより肩が後ろに入り込んでいるので、その点で肩への負担が大きいのではという危惧は残る。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りは平均的で打者が苦になるフォームではないが、球のでどころは隠せている。したがってコースを突いていれば、それほど痛手は喰らわないのでは? 腕はしっかり振れているので、フォームに勢いはあり空振りは誘いやすいはず ボールにはそれほどまだ体重は乗せられておらず、打者の手元まで球威のある球が投げられているというほどではない。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、特に悪いところはないものの、全体的にまだ粘りが足りない印象はある。それだけ、まだ伸び代を残しているとも言えるのだ。 制球を司る動作には優れており、実際コントロールも良い。故障のリスクは平均的で、今後武器になるような変化球を習得は微妙だろう。投球自体は実戦的ではあるが、フォーム自体はまだ発展途上との印象を受けた。 (最後に) 高校生では貴重な、しっかりピッチングのできる先発タイプ。要所で良い球がゆくなど、典型的な良い投手。一見完成度が高そうな投手に見えるが、肉体的に技術的にもまだ発展途上の投手。それだけに、一冬越えてグッと伸びてくる可能性を秘めている。現時点では、近畿では指折りの素材であるのは間違いないだろう。期待して、春の訪れを待ちたいと思う。 (2018年秋 兵庫大会) |