17sy-9


 




燿飛(楽天)外野手の藁をも掴むへ







燿飛(楽天)外野手のルーキー回顧へ







田中 燿飛(21歳・兵庫BS)右翼手 181/98 右/右 (英明-芦屋大出身) 
 




                       「まるで助っ人」





 田中 燿飛 は、この夏巨人との交流戦で2打席連続で左中間スタンドに叩き込んだ。秋に行われた楽天との交流戦も、2日連続でアーチを架けた。所属するBFL関西独立リーグでは、リーグ1の打率.410厘・14本塁打(2位が4本塁打)・38打点(並んで1位)と10月6日現在で三冠王と図抜けた存在でもある。恐らくBCリーグ・四国アイランドリーグ含めても、国内の独立リーガーではNO.1の強打者だろう。


(守備・走塁面)

 残念ながら、一塁までの到達タイムはまともに計測できず。105打数で6盗塁を決めており、NPBのレギュラー並の500打数で換算したら、年間29個換算。NPBとのレベル差は顕著とはいえ、全く動けない選手ではないことがわかる。

 ただし右翼の守備を見る限り、打球への反応、判断、キャッチング・打球への入り方などを観ていても、けして上手い外野手には見えない。そのためNPBレベルならば右翼手というよりは、左翼手としてどうだろうか? というレベルでしかない。地肩もそれほど強い返球は観られず(スローイングの形もよろしくない)、右翼手という割には際立つものがない。弱肩というほどではないにしろ、スペック的にはNPBの場合左翼候補ではないのだろうか。





(打撃内容)

 とにかくスイングは助っ人選手のそれであり、日本人離れした前の大きなスイングをしているということ。技術的にもどうなのか? 細かく観てゆきたい。

<構え> 
☆☆☆☆★ 4.5

 春先はオープンスタンス気味だったのですが、7月のジャイアンツ戦では両足を揃えたスクエアスタンスに。グリップを高めに添えている。腰の据わりもよく、全体のバランス、両目で前を見据える姿勢も良い。何より打席での威圧感が凄く、それでていて小さくバットを揺らし固さが感じられないところも良いところ。

<仕掛け> 遅めの仕掛け

 投手の重心が沈みきって、前に移動する段階で動き出す「遅めの仕掛け」を採用。典型的な、長距離打者が採用する仕掛けとなっている。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足を引き上げて、軽くベース側に踏み込んでくる。始動~着地までの「間」は短いので、あらかじめ狙い球を絞り、その球を逃さないことが求められる。ややベース側に踏み込むところをみると、外角寄りに意識があるように思われる。踏み込んだ足元はブレないので、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができる。BFLリーグのレベルがどうであれ、打率4割以上をキープする能力は並ではない。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 あらかじめグリップを捕手側に引いているわけではないのだが、打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れている。バットの振り出しにも癖はなく、外の球に対してはシンプルに無駄なくインパクト。何より素晴らしいのは、スイングの前の大きさが日本人離れしており、スイングのあと捕手に当たりそうになるぐらい。ベイスターズで言えば、グリエルのスイングを観ているようだ。

 ただしボールに角度をつけてフォロースルーを使うとか、そういったスイングではない。それでも105打数で14本塁打なので、これをNPBのレギュラー並の500打数で換算した場合 67本 ペースで打っていたのだから、やはり長距離打者なのだろう。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げも静かなので、目線の上下動も少なめ。そのため、錯覚を起こすことなくボールを追うことができている。体の「開き」も我慢できており、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定している。特に軸足の内モモの筋肉も発達しており、打球が強烈なのも頷ける。

(打撃のまとめ)

 技術的にも非常にシンプルであり、無駄な動作がほとんどない。それでいて、必要なところはしっかり大きく取れている。多少内角が窮屈そうな印象は受けるものの、掲載した動画では内角寄りの球を上手くライトスタンドに叩き込んでいます。スイング軌道も、それほど外回りではないので、甘めの内角球ならばスタンドインできるのではないのでしょうか。

(最後に)

 NPBの若手中心の2.5軍~3軍レベル相手とはいえ、モノの違いを見せつけている。少なくても打つだけならば、一軍の投手相手でもそこそこやれるのではないのだろうか? 何より ソリマン(巨人)という外人投手のストレートに全く力負けすることなく左中間スタンドにぶち込んだこと。このパワーは、完全に日本人離れしている。

 特に脆さもないし、足が極端に遅いということもなさそう。右翼手としては少々厳しそうだが、左翼手ならばNPBでもやって行けるのではないかと守備力でもある。間違いなく歴代独立リーガーの中では、日本人最強の打者ではないのだろうか。能力の把握は難しいのだが、ドラフトでも本会議中に指名されることになるだろう。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2017年 巨人とのプロアマ交流戦)