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岸田 行倫(21歳・大阪ガス)捕手 176/80 右/右 (報徳学園出身) |
「結局まともに見られず」 今年スポニチ大会に出場していた大阪ガスだが、いつでも 岸田 行倫 は観られるだろうと無理してチェックしなかった。しかし都市対抗ではNTT西日本に補強されるも出場せず、日本選手権でも序盤で敗退してしまいそのプレーを確認できずに終わっている。よくよく振り返ってみると、私は今年岸田のプレーをまともに観ないで1年間過ぎてしまったのではないかと気がついた。部分的ではあるが、今年の試合の動画を観て最終のレポートを作成してみたい。ただしサンプル不足なので、評価づけを行わないことをご了承願いたい。 (ディフェンス面) 相変わらず先輩に遠慮しているのか? 性格なのか? わからないが、チームをガンガン引っ張ってゆくような感じでもなければ、きめ細やかさを感じさせる選手でもない。単純に捕る投げるということはできるものの、捕手としてのセンスや適正を個人的には感じません。 確かにチームでは正捕手ですが、日本代表のメンバーに選出されなかったり、都市対抗ではNTT西日本に補強されるも出場なく終わってしまいました。現状それが、彼をよく知る関係者からの彼のディフェンス評価なのかもしれません。 それでもカバーリングなどはしっかり行いますし、ワンバウンド処理などにも素早く反応するなど、フットワーク、身のこなしは良い捕手だと思います。捕手としても圧倒的な地肩がありながらも、急いで投げようとせずにランナーの滑り込んでゆくところに安定して投げられる刺せる肩を持っています。元々高校2年生の時に捕手に転向した選手でもあるので、経験は浅い選手。プロの指導のもと、もっと捕手としての奥深さを学んで欲しいかと感じます。きっと器用な選手で言われたことはできてしまう選手なのかもしれませんが、これからは自分でいろいろ考えて広げて行けるかに懸かっているのではないのでしょうか。 (打撃内容) 今年の打撃フォームも観ましたが、オフに作成した寸評で書いたものと大方変わっていません。幾分構えた時に少し前の足を開き気味に構えていること。また踏み出す際に、真っ直ぐ踏み出していたところを、少しアウトステップ気味にしていたぐらいでしょうか。 元々インサイド・アウトのスイング軌道なので、真ん中~内角寄りの球を巻き込むのに優れたスイングをしていました。そこを、より活かすようなスイングにしていたのかもしれません。その辺の微妙な変化は、本質的な部分ではないので評価云々には大きく影響しません。 特にこの選手、目にみえてパワーがあるとか、当てるのが上手いとか、甘い球を逃さないとか凄いところがあるわけではありません。それでも自チームで6番あたりを任されるように、そこそこ打てる捕手であるのは確かでしょう。特に前回の寸評にも書いたように、打撃フォームはお手本にしたいような基本に忠実なスイングができています。 (最後に) 肩・スローイングに関しては、入団してすぐにチームでも指折りに存在になるのではないのでしょうか。また打撃も、正捕手の 小林 誠司 より将来的には打てる捕手になるように思えます。そのため1、2年ファームでしっかり基礎を積めば、将来的には宇佐見より守れるようになるし、小林より打てるようになるという、両者の中間的位置づけの第ニ・第三捕手になれる可能性はあると思っています。 年齢も若い上、そうなるまでの余裕がチーム構成上的にもあると思います。ただし上記で記したように、捕手としての気遣い・細やかさ・自分で考えてゆく力を養ってゆかないと、正捕手をいずれはというのは難しいように感じます。そこをプロ入り後、いかに伸ばして行けるかにかかっているのではないのでしょうか。一部の映像を見る限り、昨年からそれほど変わった印象はありませんが、もし評価づけするとするならば、☆☆(中位指名級)ぐらいの評価になっていたのではないのでしょうか。今年の高校・大学の有力候補が軒並み志望届けを出さなかった中では、大学・社会人・独立では屈指の存在だったわけで、このぐらいの順位になったのは妥当だったのかもしれません。 |
岸田 行倫(20歳・大阪ガス)捕手 176/80 右/右 (報徳学園出身) |
「捕手としてはピンと来ないが」 報徳学園時代は、捕手をしながら状況によってマウンドに上っていた 岸田 行倫 。大阪ガスに進むと、1年目から正捕手として起用された。何が悪いというわけではないのだが、捕手としてはあまりインパクトの残らない選手。個人的には、どうしても高校時代の投手としての方の印象が強い。 (ディフェンス面) ベースカバーに、しっかり入る捕手との印象を受けます。そういった、フットワークの良さがある選手ではないかと。ただしあまり明確にミットを示す選手ではありませんし、年上の投手の多い環境だったせいか? 明確に指示を出すとかガンガン引っ張ってゆこうという感じはしません。 キャッチングも押し込み、ミットの出し方など全般的に目を惹くものがありません。それだからといって何か細かいところまで察しようとかいう、きめ細やかさもなく何か惰性というか持っている能力だけでプレーをしている印象が否めないのは気になります。 スローイングに関しては、1.9秒前後と際目立つタイムではないものの、ランナーが滑り混んでくるところにしっかり送球。高校時代も130キロ台後半の球をコントロールしていたように、地肩の強さと制球の良さは感じます。何か捕手として、これは! というものは私自身感じたことがありません。 (打撃内容) 秋の日本選手権では、4試合で13打数4安打(打率.308厘)を残し、チームでも6番打者あたりを担っています。そのため、打力も適度にある捕手という位置づけです。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰の据わり、両眼で前を見据え得る姿勢、全体のバランスと適度に揃った理に適った構えです。 <仕掛け> 平均的 投手の重心が下がりきった時に動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力をバランスよく兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く観られる始動です。 <足の運び> ☆☆☆☆ 4.0 足を引き上げ回しこんで、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも捌きたい万能型。踏み込んだ足元もブレないので、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができます。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 打撃の準備である、「トップ」の形を作るのも自然体。それでいて、けして遅れないで作れているところも好いところ。バットの振り出しも、インサイド・アウトでロス無く降り下ろされています。ボールを捉える時も、それほどヘッドは下がっておらず打ち損じも少ないのでは? 外の球をきっちり叩くというよりも、真ん中~内角寄りの球を引っ張る打撃の方が得意なのかもしれません。 スイングの弧の大きさは並ですが、最後までしっかり振り切れています。無駄のない、キレイなスイング軌道を描けています。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げはあるフォームですが、目線の上下動は少なめ。身体の開きは我慢できており、軸足も大きく崩れることなく軸回転で打てています。 (打撃のまとめ) 特に当て勘が好いとか、リストワークが柔らかいとか、スイングが凄いとか何か非凡な資質を感じる選手ではありません。しかしながら、技術的には教科書にしたいぐらい基本に忠実なスイングをしています。良く言えば悪いところがない、悪く言えば完成されていて、あまり面白味がないともいえます。 (最後に) 高卒3年目にしては、攻守にまとまりがあり完成度の高さを感じます。その反面、何か凄いとか惹きつける絶対的なものや、ギラギラした精神的な凄みは伝わってきません。その辺のプロにゆきたいんだという、明確なものが伝わって来るようだと面白いと思います。そういった内面の変化に注意して、今年は追いかけてゆきたいと思いました。 (2016年 日本選手権) |