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寺岡 寛治(楽天)投手のルーキー回顧へ



寺岡 寛治(BC石川・25歳)投手 180/85 右/右 
 




                  「又吉克樹(中日)以来の大物」





 独立リーグ出身の選手としては、あの 又吉克樹(中日)以来の上位指名を意識できる選手。それがこの、寺岡 寛治 。九州共立大時代は野手として活躍し、九州三菱自動車に入ってから投手に再転向。しかし社会人2年間では大舞台での登板がなく、今年から独立リーグに進み頭角を現す。先日行われたDeNAとの交流戦では、1イニングを3者連続三振で仕留める圧巻のピッチングを魅せた。


(投球内容)

大きなテイクバックを取って投げるフォームで、やや背中を後ろに傾けて投げ下ろして来る。

ストレート 常時145キロ前後~MAX151キロ 
☆☆☆☆ 4.0

 真上から腕を振り押して来るので、ボールに角度が感じられるということ。常時145キロ前後~MAXで151キロを記録するストレートにはボールに厚みを感じさせる球威がある。公式戦の59回1/3イニングで、28四死球。四死球率47.2%が示すとおり、コントロールがアバウトなのが唯一の懸念材料だろうか?

変化球 フォーク・スライダー・カーブ・カットボールなど 
☆☆☆★ 3.5

 変化球は、フォークだかスプリットのような縦の変化球を武器にしている。その他にもスライダー、緩いカーブ、カットボール等球種自体は多い。ただし現在は、速球とフォークが中心で、それ以外の変化球は時々織り交ぜるような程度になっている。そのため、縦の変化球で空振りを奪うケースが多い。変化球の精度がという部分でも粗っぽさを残すのだが、投げっぷりの良さと投球の勢いで抑えこんでゆく。

(投球のまとめ)

 微妙な出し入れや、奥深い配球、間を意識した投球術などは見られず、現在は球の力で押すピッチングスタイル。現状は先発で投球を組み立てるというよりも、リリーフでこそ持ち味がでるタイプとなっている。甘い球も多そうに見えるが、被安打率は64.1%(基準は70%以下)と基準以内。1イニングあたりの奪三振は、1.38個(基準は0.9個以上)と右投手としては破格の数字を残している。何より防御率1.52 は、リーグでも3位の安定感でまっきりの素材型ではない。





(投球フォーム)

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 引き上げた足を高い位置でピンと伸ばされており、お尻は一塁側に落ちている。そのため体を捻り出すスペースは確保できており、カーブで緩急をつけたりフォークのような縦の変化球をを投げるのにも無理はない。

 「着地」までの粘りは平均的で、けして粘り強いわけではない。そのため体を捻り出す時間は並であり、いろいろな球種は投げられるものの、武器になるほどのキレや曲がりの大きさを身につけられるかは微妙だろう。

<ボールの支配> 
☆☆★ 2.5

 グラブは最後まで体の近くにあり、両サイドの投げ分けはつけやすい。しかし足の甲の押し付けは浅く、力を入れると上吊りやすいのかもしれない。「球持ち」も良くはないので、細かいコントロールはつけ難いのではないのだろうか。

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻は落とせており、窮屈になることは少なく肘への負担は少なそう。腕の送り出しはかなり角度をつけているので、肩への負担は感じなくはない。それだけにより疲れを貯めないように、日頃から体のケアには充分注意した。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りは並で、体の「開き」も平均的。多少角度があることで打ち損じを誘うことはあっても、それほど合わせ難いフォームではない。

 それでも腕は強く振れており、速球でも変化球でも見分けはつけ難い。ボールにも適度に体重を乗せてから、、力のある球を打者の手元まで投げ込むことができている。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」においては、特に良いところも悪いところも無いフォーム。足の甲の押し付けや球持ちの浅さから制球を乱すことがあり、無理な腕の送り出しから肩を傷めないかの不安は残る。


(最後に)

 三者連続三振で締めくくったDeNA戦でのデキは良すぎたかもしれないが、リーグ戦での成績も一級品。ボールの威力は本物で、一年目から一軍のリリーフとしてならば活躍する可能性は充分秘めている。ドラフト会議においては、3位前後ぐらいでの指名があるのではないかと評価している。育成や下位指名では、まず残っていない選手ではないのだろうか。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2017年 DeNAとの交流戦)