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永野 将司(ロッテ)投手のルーキー回顧へ







永野 将司(23歳・HONDA)投手 181/82 左/左 (九州国際大出身) 
 




                      「左では1番速い」





 今年の社会人の中でも、1番確認したかったのが、この 永野 将司 (HONDA)。ようやくその勇姿を確認できたのは、4月も終わりの頃だった。動画などでは見たことがあったが、生で見る迫力は想像以上だった。


(投球内容)

それほど体は大きくはなく、フォームもオーソドックスで癖がない。

ストレート 145キロ~MAX152キロ 
☆☆☆☆ 4.0

 特に打者の空振りを誘うような、手元までのグ~ンと来る伸びやピュッと来る感じのキレのある球ではない。ボールにドーンと突き刺さるような勢いと、適度な球威を感じさせる球質。これだけの球速を誇りながらも、打者の空振りを誘うというよりは詰まらせることが多い。

 細かいコースの投げ分けなどはなく、ストライクゾーンの枠の中に集めて来るといったタイプ。また球筋全体が、胸元中心に集まりやすい傾向にある。この辺が、結構安打を浴びてしまう要因かもしれない。しかし純粋に速く感じられるという意味では、今年のサウスポーの中でも図抜けている。

変化球 カーブ・カットボール・チェンジアップなど 
☆☆★ 2.5

 曲がりながら沈む、カーブのような球ではしっかりカウントを整えられる。また、この球のブレーキ自体悪くない。この他カウントを整えるために、カットボールのような少し球速を殺した球も織り交ぜてくる。更にチェンジアップ系のボールもあるようだが、そのブレーキ・精度は高いとは言えない。

 このカーブのような球は面白いと思うが、あとはストレート在りきのの投球。そのため苦しくなったら、ストレートで勝負するしかなくなる。この投球から脱しられないと、いつまでも力任せで汲々とした投球からは抜け出せないだろう。

その他

 クィックは、1.13秒と平均的。特に観戦した試合では、鋭い牽制やフィールディングの力量はよくわからなかった。野球センスがあるタイプか、ないタイプかでいえば、完全にないタイプということになるだろう。

(投球のまとめ)

 元々故障などもあり、非凡な速球を持ちながらも活かせないできた。またチームにおいても、大事な試合を任されることは少ない。そのため昨秋でも関東選抜リーグとか、今春のスポニチ大会でも最後の最後で登場するなど、なかなか狙って観戦できる選手ではない。





(投球フォーム)

そんな未完成な素材も、プロの指導で修正が可能なのか考えてみたい。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 地面に向けて引き上げた足を伸ばして来るので、お尻は三塁側(左投手場合)に落とせません。すなわち体を捻り出すスペースは確保できず、カーブやフォークを投げようとすると窮屈になってしまい適さない。

 しかし「着地」までの粘りは平均的で、けして上体だけで投げているフォームでもありません。そういった意味では、体を捻り出す時間はある程度確保できていて、カーブやフォークといった球種以外ならばピッチングの幅を広げて行ける可能性はあります。しかし将来的に、武器になるようなキレや曲がりの大きな変化球を身につけられるかには疑問が残ります。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 グラブは内にしっかり抱えられているというほどではないが、最後まで体の近くにはある。そのため両サイドの投げ分けは、つけやすいはず。しかし実際には、コースの投げ分けは見られない。足の甲でも地面を押し付けることはできているので、ボールはそれほど高めに抜けて来ないはず。しかし球筋は、胸元中心で全体に高い。その原因は「球持ち」が浅く、ボールを充分押し込めていない。そのためボールが押し込めず、上吊りやすいのではないのだろうか。

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻が落とせない割に、カーブのような球を使う。体を捻り出すスペースが足りないので窮屈になり、肘への負担が不安にはなる。過去痛めていたのも、肩ではなく肘だと訊いている。

 腕の送り出しには無理はなく、肩への負担はそれほど大きくないのでは? また物凄い力投派かというと、それほどでもないため消耗が激しくはなさそう。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りは並で、合わせやすいフォームでも苦になるほどのフォームでもない。それでも「開き」は抑えられており、コースを突いていれば痛手は食らい難いはず。

 腕は強く振られるので、速球と変化球の見極めは困難。ボールへの体重の乗せ具合は並ぐらいで、もっと下半身の使い方が上手くなれば、さらなる球威・球速を増す可能性を秘めている。

(フォームのまとめ)

 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「開き」が抑えられて良いのだが「球持ち」に甘さを残している。実際の投球よりは制球を司る動作はよく、故障のリスクも平均的だと言えるのではないのだろうか。


(最後に)

 ボールの勢いだけ見ていれば、今年のドラフト候補でNO.1のストレートを投げ込む左腕。しかしその反面コマンドの低い投球を見ていると、あくまでも観賞用の域を脱しられてはいない。

 ただし粗っぽい素材型に魅せながらも、プロでの育成・指導次第では、ある程度モノになるかもと思わせるものは持っている。即戦力になりえるかは微妙だが、大きな故障さえしなければ指名されるのは間違いないのではないのだろうか。そう思わせるだけの、素材としての魅力がたまらない。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2017年 関東選抜リーグ)