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大蔵 彰人(中日)投手のルーキー回顧へ







 大蔵 彰人(23歳・徳島ID)投手 191/88 右/右 (大垣西-愛知学院大出身)
 




                         「結構動く」





 一見見ると、何の変哲もない投手という感じの 大蔵 彰人 。しかしこの投手のボールをよく見ていると、キレイな真っ直ぐという感じではなく常に微妙に動いている印象がある。そういったクセ球こそ、この投手の最大の持ち味ではないのだろうか。


(投球内容)

 ポンポンとテンポよく投げ込んで、自分のリズムに相手を引き込むのがうまい。愛知学院大時代は、大学選手権の舞台でも何度か登板していました。

ストレート 常時130~140キロぐらい 
☆☆★ 2.5 

 キレイな真っ直ぐというよりも、なんだか微妙に動いているようなクセ球です。ドラフト指名されるような投手の中で、かなり見劣る球速なのですが、ストレートのコマンドは結構高いのが特徴。角度のあるボールを、両サイドに散らしたり低めを突いて打たせて取るのが持ち味です。

変化球 スライダー・ツーシーム・カーブなど 
☆☆ 2.0

 結構スライダーを使って来るのですが、この球のコマンドが低いのが気になります。むしろ左打者外角に沈む、ツーシームが武器。この球は130キロ前後出ており、速球との見分けが難しく厄介です。他に緩いカーブも時々混ぜますが、それほどまだ投球においてアクセントになりえていない。

その他

 クィックは、1.15~1.20秒ぐらいと平均的。フィールディングも並で、特に野球センス・運動神経の良さは感じません。自分のペースに引き込んで、ゴロの山を築きます。

(投球のまとめ)

 バットの芯をズラシて、相手の打ち損じを誘うといったタイプ。ツーシームを除くと、特にこれはという球はありません。しいて言えば、それなりにストレートのコマンドが好いことでしょうか。

 191/88 という体格の割にボディーバランスが良いので、プロの指導や環境で何かを掴んだときを期待しての指名ではないのでしょうか。結構完成度は高いものの、現時点での投球ではまだ一軍は見えて来ません。





(成績から考える)

今年のアイランドリーグでの成績は、

10試合 3勝3敗 57回 58安 14四死 48奪三 防 3.00 (9位)

1,被安打はイニングの70%以下 ✕

 57回を投げて被安打は58本、被安打率は101.8%とイニングを上回ります。独立リーグの目安だとイニングの70以下が基準であり、悪くても80%台ぐらいにはおさめておきたい。彼の場合は、ボールの勢い・球威が、独立リーグでも抜けた存在ではないことを意味しています。

2,四死球はイニングの1/3以下 ◎

 四死球率は24.6%であり、イニングの1/3以下どころか1/4以下と安定。プロ入りすると、この四死球率が極端に変わる選手が多いのだが、元々打たせて取る投球が持ち味だけに、それほどコースを突いてやろうとかそういうことはなく、自分の投球に徹することはできそう。

3,奪三振は1イニングあたり0.8個以上 ◯

 1イニングあたりの奪三振は、0.84個。 先発投手の基準である0.8個は越えており、打たせて取る投球が持ち味に見えるものの、結構三振を奪っているのに驚く。しかしこの部分もプロ入り後大きく変化しやすいので、果たして三振の取れるほどの決め手があるのかは微妙。

防御率は1点台 ✕

 NPBでの活躍を考えると、防御率1点台が望ましい。しかし防御率は、3.00 と物足りない。この辺の数字を見ていると、即戦力というよりも、段階を踏んでの成長が求められる。

(成績からわかること)

 安定した制球力があることが改めてわかったことと、見た目以上に三振が奪えていることが驚き。このへんは、ストレートがズバッと良いところに決まったり、ツーシームに落差がありこの球で三振を奪えたりするからではないのでしょうか。

(最後に)

 残念ながら現時点での投球を見る限り、一軍で通用する投手には見えません。しかし23歳とまだ若いだけに、プロの指導者に恵まれたり、野球に集中できる環境で、191/88 という恵まれたスペックを活かせるようになると面白い。そういったところに期待しての、指名なのではないのでしょうか。そのため今が「旬」かは微妙なので、個人的には ☆ を付けるまでの魅力は感じられませんでした。


(2017年 独立リーググランドチャンピオンシップ)