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寺田 光輝(DeNA)投手のルーキー回顧へ







寺田 光輝(25歳・BC石川)投手 178/81 右/左 (伊勢-筑波大出身) 
 




                       「寺岡じゃないんかい!」





 ドラフト会議の際に、同じBC石川に所属している 寺岡 寛治(楽天7位)の方じゃないのかと、思わず絶句してしまったのが、この 寺田 光輝 。寺田の方も今年、DeNA戦と巨人戦で目の当たりにしていたが、明らかに先に指名されるのは、寺岡の方だと思い込んでいた。特に寺岡は私のおすすめの一人だったので、寺 のあとに 田 と聞こえた時は、思わず自分の耳を疑ったものだった。


(投球内容)

 その寺田の方は、サイドから小気味の良い投球をして来る実戦派。むしろ指名されるのであれば、今年ではなく昨年だったのではないかという思いが強い。

ストレート 130キロ台後半~140キロ台中盤 
☆☆☆ 3.0

 ボール自体は、スピンの効いた切れのあるボールを投げ込んできます。球速は常時140キロ前後で、空振りを奪える反面、それほど球威・球速に驚くものはありません。コントロールも良さそうなまとまった投手に見えるのですが、意外にバラツキがあり絶妙というほどでもありません。

変化球 スライダー・シンカーなど 
☆☆☆ 3.0

 右打者の外角にスライダー、左打者の外角にはシンカーを落としてきます。特に右サイドハンド特有のスライダーは、思わず打者のタイミングをずらします。しかしその一方で、左打者へのシンカーへの精度はそれほど高くはありません。それだけに、左打者に対する攻めが課題となっています。

その他

 クィックは、1.15~1.25秒 ぐらいと平均的。特に観戦した二試合では牽制やフィールディングはよくわかりませんでした。マウンド度胸・捌きは悪くないと思いますが、それほど繊細なコントロールや微妙な駆け引きをして来るわけではありません。

(投球のまとめ)

 2軍では通用しても、正直一軍ではどうかな?というのが率直な感想。投手としてはすでに出来上がっている投手なので、プロ入り後上積みがどのぐらい残されているのには疑問が残ります。いずれにしても3年以内で、結果は明らかになるタイプだと思います。





(成績から考える)

 短いイニングの投球を二度見ただけなので、BCリーグでの成績を参考にしながら傾向を考えてみたいと思います。BC二年間の成績は

16年 40試合 3勝1敗19S 40回2/3  32安 11四死 38奪三 防 1.11
17年 35試合 0勝3敗10S 41回   38安 18四死 31奪三 防 2.41


1,被安打は70%以下 ✕

 入団1年目の被安打率は、78.8% 。2年目は92.7%となり、いずれもファクターを魅せていない。サイドで左打者には見やすいフォームの上に、スライダーとの単調なコンビネーションのため、打者としては的が絞りやすいということだろう。

2,四死球はイニングの1/3以下 △

 1年目は25.8%、2年目は43.9% となっている。1年目は基準を満たすどころが、イニングに対し1/4程度と優秀。しかし2年目は制球を乱し、基準を満たせていない。実際生で見ていても、まとまっている割に細かいコントロールに欠ける印象を受けた。

3,奪三振は、1イニングあたり0.9個以上 △

 初年度は、0.91個とリリーフの基準を満たしていた。しかし2年目は、0.76個と先発の基準をも満たしていなかった。やはり、三振を奪うような決め手に欠ける印象で、いかにキレの良いストレートを振らせるかにかかっている。

4,防御率は1点台以内 △

 昨年の成績は、1点台でも前半の1.11と優秀。しかし2年目は、2.41 と平凡だった。今年は、それほど絶対的な安定感を、誇っていたわけではなかったということだろう。

(成績からわかること)

 昨年の内容ならば、ある程度評価されても然るべきだった。しかし今年の内容だと、プロでは厳しいと評価されても不思議ではないだろう。まして育成ではなく、本会議で指名された理由がよくわからない。

(最後に)

 正直寺田の方ならば、育成でも獲れたのではないかと思うのだが。指名漏れはしたが、まだ1年目の投球を取り戻せれば、1年目から一軍でも活躍できるかもしれない。しかし現状は、プロの一軍打者を抑え込むほどのものが見えて来ない。

 すでに投手としての形はできあがっている選手だけに、プロに入って大きく伸びるというタイプではないだろう。そのため最初の2年間ぐらいで、ある程度使えるところを示せて欲しい。イメージ的には、昨年のドラフト2位・水野 滉也(東海大北海道-DeNA2位)と似たタイプではないかと思うのだが・・・。残念ながら今年の内容では、指名リストに名前を入れようと思うほどの選手では、正直なかった。まずは入団1年目の状態に取り戻し、キャンプを迎えて欲しいものである。


(2017年 プロアマ交流戦)