17ky-31
高松 渡(滝川ニ3年)遊撃 176/65 右/左 |
「とにかく速い」 ここ10年みた選手の中でも、1番速い、そんな噂がスカウトから囁かれた 高松 渡 の快速ぶり。彼が素晴らしいのは、その足を活かすために、徹底的に打球を三遊間方向に転がす意識を徹底させていることにある。 走塁面: ☆☆☆☆★ 4.5 走塁偏差値 63 一塁までの到達タイムは、3.85~3.9秒強ぐらいで安定するなど極めて速い。これをプロ野球にドラフト指名された左打者のタイムで偏差値化すると、上位10%以内に入ってくるタイムとなる。ただし気になったのは、この夏の兵庫大会の6試合で、盗塁は僅かに1個。内野安打などは期待できるものの、盗塁する技術もあるのか?と言われると、この辺は不安材料かと。 守備面:☆☆★ 2.5 試合の模様をみた明石商業戦では、打球が飛んでくる場面が数えるほどしかありませんでした。そういった意味では正確に能力は計り難いのですが、ドラフト候補としては平均的。地肩も並ぐらいという感じで、プロで遊撃を守るような選手になれるかと言われると疑問が残ります。チームには京田や堂上などの名手もおり、将来的には二塁や野あたりを視野に入れることになりそうです。 (打撃内容) スイング自体はそれなりにシャープですし、当て勘自体も悪くはないように思います。それでもプロレベルに混ぜたらひ弱さですし、一年目のファームの成績が2割以上残せるかどうかといったレベルではないのでしょうか。ちなみに夏の兵庫大会では、打率.333厘と、可も不可もなしといった感じでしょうか。 <構え> ☆☆☆ 3.0 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わりは浅く、全体のバランスとしてもそれほどでもないのですが、両目で前を見据えられているところは良いところ。両目で前を見られると、錯覚を起こすことなく的確にボールを追うことができるからです。 <仕掛け> 早め 早めに動き出して来る、典型的なアベレージヒッターの始動です。彼のプレースタイルからも、完全に合致しています。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を軽くあげて、ベース側に踏み込んできます。始動~着地までの「間」はとれているので、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。ベース側にインステップして来るので、外角の球を強く意識していることがわかります。インパクトの際にも足元がブレないので、外へ逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができます。 しいて気になる点をあげれば、左の好打者タイプが踏み込むと内角を厳しく突かれたて率が残し難いという点があること。外角を転がすのが持ち味とはいえ、将来的にはオーソドックスな真っ直ぐ踏み出すスタイルに変えてゆくことになるかもしれません。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 早めに打撃の準備である「トップ」の形が作れており、速い球に立ち遅れる心配がないのは良いところ。バットの振り出しもインサイド・アウトで、無駄なくミートポイントまで振り下ろされています。またインパクトの瞬間にはバットのヘッドが下がらないので、広い面でボールを捉えており、フェアゾーンにボールが飛びやすい形で打てています。 今のスイングでプロの球を打ち返せるのかという不安は確かにあるのですが、彼のように外角の球を転がすことに特化しているので、この形でも全然問題はありません。かのイチローのように、わざと三遊間方向への打球はボテボテでも内野安打でもというこだわりを持ってスイングしています。鋭い強いライナー性を追求する打者とは違い、確実に当てることを重視した方が良いでしょう。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げは静かで、目線の上下動は少なめ。これも錯覚を起こすことなく、ボールを追うためには大事な要素。身体の開きも我慢できていますが、軸足である内モモの筋肉が弱そうなのが若干気になります。しかし転がすことに特化している打者なので、大きく形が崩れていなければ良いのではないかとも思えます。 (打撃のまとめ) 上半身の使い方も下半身の使い方にも癖がなく、技術的にも悪い選手ではありません。当然プロレベルに混ぜると打撃の非力さは出るでしょうが、この辺も何年かかけて鍛えれば解消できるポイントです。自分の打撃にこだわりを持って行えているので、この個性を大事にして欲しいですね。打撃も、箸にも棒にもかからないという感じではありませんでした。 (最後に) 球界でもトップクラスであろう足を、すでに持っている点は高く評価できます。あとは実戦において、どのぐらい盗塁できるのか?この辺が気になる材料でしょうか。 打撃は数年かかるでしょうが、何より特徴があるということがプロでは起用の大きなアピールになるはず。3位で誰にも負けない個性を持った選手を獲得できたのですから、球団としては確実に育てたい1人だと思います。将来球界に、どんなインパクトを与えてくれるのか、今から期待してやみません。 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) (2017年夏 兵庫大会) |