17ky-25


 




園部 佳太(オリックス)内野手のルーキー回顧へ







園部 佳太(22歳・BC福島)遊撃 177/88 右/右 (いわき光洋-専修大中退) 





 「何が変わったのか?」





 いわき光洋時代には、☆☆ (中位指名級) の評価を下したものの、専修大に進学した 園部 佳太 。しかし大学を中退した彼は、昨年地元の BC福島 へと籍を置いたが指名されなかった。昨年と比べ、指名された今年は何が変わったのか検証してみた。


走塁面:☆☆☆★ 3.5

 一塁までの駆け抜けタイムは、右打席から 4.15~4.20秒 ぐらいで到達。これを左打者に換算すると、3.9秒~3.95秒 ぐらいに相当する。このタイムは、プロに混ぜても俊足クラスであり、ドラフト指名される選手としては 中の上~上の下 ぐらいはありそうだ。今シーズンは、58試合で6盗塁という数字だけに、走力を全面に出してくるプレースタイルではない。しかし、隙があれば盗塁も試みてくるし、二塁打・三塁打のベースラニングも悪くない。プロで足を売りにできるかは微妙だが、けして動けない選手ではなかった。高校時代や昨年のプレーをみても、4.5~4.6秒 ぐらいというタイムしか見たことがなかったので、ここまで足が速いとは思っていなかった。

守備面:☆☆☆ 3.0

 物凄く守備範囲が広いとか、キャッチングが上手いといった感じはありません。そのため、NPBで遊撃手として任されるかは微妙であり、むしろセカンドやサード向きなのではないかとみています。高校時代に肩を痛めた経験もあって、昨年もまだ送球が弱々しかった。しかし、今シーズンは、動きはそれほど変わっていなくても、送球自体には地肩の強さが感じられる強い送球が見られるようになってきた。この点は、昨年に比べても大きく違ってきているところではないのだろうか。


(打撃内容)

 今シーズンは、58試合(218打数) 2本 29点 6盗 打率.312厘 。広角に強い打球を打ち返す、中距離やポイントゲッターといったタイプに感じます。実際チームでも、5番などを担っていました。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 前の足を少し引いて、カカトを浮かして立っています。グリップの高さは平均的で少し捕手側に引き、腰の据わりや全体のバランスはまずまず。両眼で前を見据える姿勢もそれなりといった感じで、適度な緊張感があって好い構えなのではないかと。

 ただし昨年も指摘しましたが、あまり構えたときに身体を動かす揺らぎが見られないので、少し固く感じられる部分は残ります。昨年から、あまり変わった感じはしませんdした。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下がり始めるときに動き出す、「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視した、アベレージヒッターに多く見られる始動のタイミングです。昨年は、投手の重心が下る前に動き出す「早すぎる仕掛け」を採用していましたが、その点は少し修正されていました。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げて回し込み、ベース側に踏み込むインステップを採用。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。ベース側に踏み出すように、外角への意識が強そうです。

 昨年も指摘したのですが、踏み込んだステップの幅が狭く、インパクトの際に足元が早く地面から離れがち。そのため、逃げてゆく球や低めの球に対しては、開きを我慢しきれないのではないかという心配はあります。その割にインステップで踏み込んで来る分、内角も窮屈であるということ。こうなると打てる範囲は、真ん中近辺と限られてくる可能性があります。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球に立ち遅れる心配は無さそう。バットの振り出し自体は、インパクトまでロスなく振り下ろされています。ただしこれも昨年指摘しましたが、バットの先端であるヘッドは下がり気味で、バットをボールの下に潜り込ませる感じのインパクトなので、打球には角度はつくものの、打ち損じも多いのではないのでしょうか。

 インパクト後のスイング軌道は大きくとれていますが、フォロースルーなどを使ってボールを運ぶタイムではありません。本塁打は、ある程度キッチリ捉えないとスタンドインできなそうです。

<軸> ☆☆☆ 3.0

 足の上げ下げはそれなりで、目線の上下動も平均的。腰が早く逃げるのを、インステップしてクロスに踏み込むことで抑えようとしています。それでも踏み込んだ足が早く地面から離れてしまうので、元来は引っ張って巻き込む打撃を得意としており、あるいは外角や高めの球を払うように振り払っているのではないのだろうか。軸足も少し前に傾きがちなので、身体が前に突っ込まないように注意したい。

(打撃のまとめ)

 昨年に比べると、微妙に変わっている部分はあるものの、打撃は殆ど変わっていません。そのため残した成績も、一年目と二年目とでは、ほとんど違いはありませんでした。元々ボールを捉える感性などには優れていますが、打撃が明らかに良くなったから指名されたわけでは無さそうです。


(最後に)

 たまたま今まで見た試合が悪かったのかもしれないが、昨年に比べると走力や肩 という部分では大いに良くなっていた。打撃に関しては、大きな変化は感じられず。それでも、元々持っていた打撃の感性は素晴らしいので、プロでの指導で輝きを取り戻せるかもしれません。今の内容だと育成での指名が妥当だったと思いますが、高校時代の良さも知っているので、個人的には  を記してみたいと思います。


蔵の評価: (下位指名級)


(2021年 BCリーグ公式戦)



 








園部 佳太(21歳・BC福島)遊撃 177/82 右/右 (いわき光洋-専修大中退) 





 「BCで一番期待する野手」





 いわき光洋時代から、打撃に感性を感じさせる選手として ☆☆(中位級) の評価をした 園部 佳太 。高校からプロ入りすることなく、専修大に進学。しかし学校を中退して、故郷の福島に戻ってきた。ルーキーながらチームでは、3番・遊撃手として出場を果たしている。


(守備・走塁面)

 一塁までの到達タイムは、右打席から4.5秒強。これを左打者に換算すると、4.25秒ぐらいに相当する。ドラフト指名される選手の走力に比べると、中の下 レベル。けして動けない選手ではないが、走力でアピールするタイプには見えなかった。

 遊撃手としても、ニ遊間としては重苦しい感じはする。高校時代に肩を痛めた経験もあるということで、送球も軽く処理しているようには見え際どいプレーでどうなのか?という不安は残る。けして守れない選手だとは思わないが、NPBでは二塁もしくは三塁の人材ということになるのではないのだろうか。


(打撃内容)

 ボールを呼び込んで、広角に打ちかえす中距離・ポイントゲッターといったタイプではないのだろうか。右方向に長打を飛ばせるタイプで、BCでも打点の多さが目立っている。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは高めに幾分捕手側に引いて構えている。腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスとまずまずだが、あまり身体を動かし揺らがない構えなので、全体に少し硬く見えてしまう。

<仕掛け> 早すぎ

 投手の重心が下りはじめる前に、足を引き上げて動き出してしまう「早すぎる仕掛け」を採用。。この段階から動き出すと、投手によっては投げるタイミングを変えて崩されてしまう恐れがある。ただし足を長く時間引き上げて回し込む中でボールを捉えにゆく独特の感性がある打撃なので、あまりこれをいじってしまうと持ち味が損なわれてしまうのかもしれない。現在は、確実性を重視したスタイルのようだ。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げて大きく回し込み、軽くベース側にインステップして踏み込んできます。始動~着地までは充分な「間」が取れているので、速球でも変化球でも幅広く対応しやすい打ち方です。またインステップ気味に振り出して来るので、外角への意識がやや強いように感じます。高校時代から腰が早く開く傾向があり、それを防ぐ意味でもインステップして踏み込んでいました。

 気になるのは、踏み込んだ足元がインパクトの際に少し動いてしまうところ。身体の開きが我慢できないというよりも、力が微妙にロスしてボールに伝えきれていない危険性を感じます。その最大の要因は、せっかく早く始動しているのにステップが狭めで地面を捉えるのが早いからではないかと。内角をさばく時などは腰の回転を促すのにステップが狭いのは良いのですが、外角をさばく時はもう少し広めに取らないと、上半身の強い振りに対し下半身が負けてしまったり、ボールを充分呼び込んで打てない恐れがあります。せっかくボールを捉える独特の感性があるのに、打ち損じが多くなって結果に上手く結果に結びつけないことが多いのではないかと。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で力みがないのは良いのですが、バットを引くのが遅れないように注意したいところ。振り出し自体は非常に癖がなく、ロスなくインパクトまで振り下ろしてきます。インパクトの際に、バットの先端のヘッドは下がっていないのですが、若干先端を上げる感覚でスイングできると、打ち損じが少なくなりフェアゾーンにボールが落ちる確率が高まるのではという印象は受けました。

 インパクト後も、大きな弧を描いてしっかり振り切れています。けしてオーバー・フェンス連発という生粋のスラッガーではありませんが、しっかり捉えられた打球はスタンドインできるのではないのでしょうか。

<軸> 
☆☆☆ 3.0

 足の上げ下げ静かな流れの中で行われており、目線の上下動は少なめ。インパクトの際に足元が少し動いてしまうので、若干開きが充分に我慢できているとは言えません。またインパクトの際に軸足が地面から真っ直ぐ伸びて捉えられているのですが、インパクト後に前に傾くようにスイングがややバランスに欠けているのも伺うことができます。

(打撃のまとめ)

 高校時代も絶賛したボールを捉える感性は健在ですが、打ち損じを減らすなど技術的には改善して行かないと確実性がイマイチ上がって来ないのではないかと感じます。そういった部分を自分で感じ取り、改善して行けるセンスと努力できる才能があるかどうかが今後は求められそうです。


(最後に)

 けして守備や走力でアピールするタイプではないので、いかに打撃で結果を残したり、スカウトに可能性を感じさせる打撃を魅せられるかではないのでしょうか。良いものは持っていると思うので、あとはそれを活かすも殺すも本人次第だと思います。この一年、どのような成長が観られるのか追いかけてみたいと思わせてくれる選手です。


蔵の評価:
追跡級!


(2020年 シーズン) 









園部 佳太(いわき光洋3年)遊撃 177/78 右/右 





 「この春ホームラン量産」





 この春だけで20本のホーム欄を量産し、一躍プロからも注目されるようになった 園部 佳太 。 私自身この夏見た野手の中では、最も好感の持てる選手だった。


(守備・走塁面)

 一塁までの到達タイムは、右打席から4.6秒(左打者換算で4.35秒に相当)。しかし、実際にはもう少し早いタイムで駆け抜けられるのではないかとみている。それは出塁すると、すかさず盗塁を試みるなど積極的な走塁が目立つこと。この夏の福島予選6試合でも4盗塁を決めたように、プロで足を売りにできるかは微妙なものの、動ける身体能力はあるとみて良さそう。

 守備機会が少なく、実際どの程度の守備力の持ち主かは掴みきれず。フライが上がったときは、一塁早く捕りにゆくなど周りも彼に任せることが多く信頼は厚い。また難しい打球を追いつくも送球できなかったり、転がってきたゴロも慎重に扱っていたのが印象的。

 プロの遊撃手としてはどうか?という疑問の声があるのと、肩を痛めた経験があるとの話しもあり、不安があるとすればやはり守備面であるように思われる。ただし打球への反応、動きを見ていると、けして動けない選手ではないとの印象は持った。将来的に遊撃は無理でも、二塁あたりをできると判断されれば評価されるだろう。三塁ならば、大丈夫なのでは?というイメージは受けたのだが・・。





(打撃内容)

 ボールを呼び込むまでに感性を感じられる選手であり、右方向にも強い打球を飛ばせるのが特徴。どちらかというとスラッガーというよりも、宮﨑敏郎(DeNA)のような広角に打てる中距離打者とのイメージが。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 ほぼ両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを高めに添える強打者スタイル。腰の据わり、両目で前を見据える姿勢、全体のバランスとしてはまずまずで、何より打席で、高い集中力が感じられるところは良いところ。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下がるときには動き出す、「早めの仕掛け」を採用。速球でも変化球でも、スピードの変化に幅広く対応しようとする意志が感じられる。これは、アベレージヒッターに多く観られる仕掛けであり、長打よりも確実性を重視していたことが伺われる。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足を大きく引き上げ回し込み、ベース側に踏み込んで来る。始動~着地までの「間」は充分取れており、いろいろな球に合わせやすい。またベース側に踏み込むことで、外角を強く意識しているのがわかる。踏み込んだ足元はブレないので、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくができるし、右方向への打球も伸びる。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 早めに「トップ」に近い位置までグリップを引いて、深く「トップ」を作って来る。腰が早く開く傾向があるのを、クロスに踏み込むことで開きを抑えようとして開きをある程度のところで抑えている。

 そのためバットの先端であるヘッドは下がらないものの、ややインパクトまで遠回り。ヘッドスピードは早く、真ん中~内角の球はきっちり叩けている。スイングの弧も大きく、ヘッドスピードも強烈。フォロースルーも使えることで、ボールを遠く運ぶことができている。

<軸> 
☆☆★ 2.5

 足の上げ下げが激しいので、目線は結構動いている。また身体の開きは我慢できているものの、軸足もスイングのあとに不安定になる。そういった意味では軸が不安定な部分があり、安定感という意味ではどうだろうか?

(打撃のまとめ)

 まだまだ短所と長所が入り混じっているスイングではあるが、ボールを呼び込んで叩ける感性を持った選手。この辺の個性をうまく伸ばしてあげると、将来かなり面白い打者になっても不思議ではない。


(最後に)

 プロでニ遊間が担えるかは微妙だが、今年のニ遊間を担っていた高校生では、最も好感が持てる選手だった。特に打力はしっかりしており、走力も悪くない。プレーに集中力があり、甘い球を逃さない「鋭さ」も兼備している。打てる右打ちの内野手を探している球団には、オススメしたい選手となりそうだ。志望届けを提出した場合、ドラフトでは中位~下位指名ぐらいでの指名があるのではないのだろうか。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2017年夏 福島大会)