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高橋 礼(専修大4年)投手 187/80 右/右 (専大松戸出身) |
「ゆったり投げられるようになってきた」 春までは、足を勢い良く引き上げてガンガン投げ込んでくるリリーフタイプだった 高橋 礼 。 しかしこの秋には先発に復帰し、引き上げた足をゆっくり降ろすなど、フォームにゆったり感が出てきてタイミングが合わせ難くなってきた。こういった動作が投球に余裕を生み、相手をみて投球できるようになってきたのではないのだろうか。 (投球内容) 私が30年以上ドラフト候補を意識して観てきた中で、純粋な下手投げが140キロ台を記録したのは、この 高橋 礼 しか見たことがない。しかしいたずらに球威・球速がついてしまったせいで、専修松戸時代の丁寧なピッチングが損なわれてしまっていた。 ストレート 常時135キロ前後 ☆☆☆ 3.0 以前ほど力んで、力で押さえ込もうという意識が薄まった印象。ゆったりしたモーションから、ストライクゾーンに投げ込んでくる。あまり細かいコースの投げ分けはできないのだが、今秋は高めのストレートで空振りを誘ったり、詰まらせることができている。この投手サブマリンの割に手元でキレるというよりも、球威で詰まらせるタイプ。下手の最大の特徴である浮き上がってくるような球筋に、あまり良さがない投手なのだ。しかしこの秋は、高めの速球で勝負できる勢いがある。 変化球 スライダー・シンカー・カーブなど ☆☆☆ 3.0 大きく横に曲がるスライダーでカウント稼いだり、小さく沈むシンカーで相手の的を絞らせないのが特徴。両方の球種とも、しっかりカウントを整えることができるが、それほど空振りを誘うほどの変化球ではない。ボールと球種を散らせて、相手の打ち損じを誘うというのが、この投手のピッチングパターン。 その他 以前はランナーを背負うと、いち早く投げることを重視して1.1秒前後のクィックだった。しかし今は、しっかり投げることを重視し、クィックは1.2秒前後とあまり早くない。そのぶん投げミスは、減っているのではないのだろうか。牽制は適度に鋭いものの、腕が下がって出て来るので、一塁手は取り難いのでは? フィールディングも平均的といった感じで、投球以外の部分はさほど優れた投手ではない。 (投球のまとめ) 頭角を現した1年秋のリーグ戦では、二部の最優秀防御率に輝いた。2年春・秋と、東都一部で2点台の防御率だった。しかし3年生になると4点台・5点台、そしてこの春は7点台と3シーズン続けて不調。そういった意味では今シーズンは、二部とは言え幾分復調気味といえるのではないのだろうか。 特にシーズン後半に入って先発を任されるようになってから、リーグ戦でも好投が目立つようになってきた。まだまだ絶対的な内容ではないが、指名を意識できるレベルまで戻ってきたのは間違いない。 (成績から考える) 今秋のリーグ戦の成績から、今後の可能性を模索してみたい。 8試合 4勝2敗 47回 38安 14四死 42奪 防 2.49 1,被安打はイニングの70%以下 ✕ 東都二部ということで、ファクターは厳しめの70%以下に。被安打率は、80.9% であり、これは一部の基準でもある80%でも満たせていないことになる。シーズン序盤のリリーフで打ち込まれるケースも結構あったので、そのへんが影響しているのかも。けして悪い数字ではないが、プロで即戦力となると物足りない。 2,四死球はイニングの1/3以下 ◯ 四死球率は、29.8% と基準である 33.3% 以下を満たしている。今まではどうしてもコントロールに難があったが、この辺は大幅に改善された。今シーズンの安定は、この制球力の向上が大きいのではないのだろうか。 3,奪三振は1イニング 0.8個以上 ◯ 前半戦はリリーフでの起用だったので、リリーフだと0.9個以上は欲しいところ。現在は先発になり、基準は0.8個以上取れると決め手があると言える。特に今シーズンは、高めのストレートで空振りを誘える場面が増えてきたことは評価したい。 4、防御率は1点台以内 ✕ 現在の防御率は、2.49 ということで、今後残り試合を好投すれば1点台に入ってきても不思議ではない。最優秀防御率に輝いた1年秋の 1.10を除けば、この基準を満たしたことがない。 (成績からわかること) 被安打の多さ・防御率の物足りなさは残るものの、コントロールの改善・ボールの威力の回復などを裏付ける成績となっている。一年目から一軍で戦力になるかと言われると微妙だが、ドラフトで指名を意識できるところまで戻ってきているのは間違いないだろう。 (最後に) 春の内容では、指名は正直厳しいだろうと思っていました。しかしこの秋は、ゆったりと相手を見ながら投球できるようになってきたことに成長を感じます。それでも先発となると厳しいと思いますが、この気持ちを忘れずにリリーフに専念すれば、プロも苦労するかもしれません。そういった打者一巡ぐらいまでのリリーフで起用すれば、意外にハマるかもという期待も抱けます。 ただしまだ絶対的な内容ではないので、過大評価はできないだろうなということ。ドラフトで指名されるとすれば、5位以降の下位指名になるのではないのでしょうか。こういった変則が少ないチームにおいては、アクセントとして欲しいタイプかもしれません。ここ数シーズンの不調からは、脱しつつあると判断できます。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2017年 秋季リーグ戦) |
高橋 礼(専修大4年)投手 187/80 右/右 (専大松戸出身) |
「ドラフト指名も怪しくなってきた」 かつて下手から140キロを記録した選手を、未だかつて見たことがないと評した 高橋 礼 。大学2年で全日本合宿で観て以来、この男の存在は常に気にかけてきた。しかし期待のかかった今春のリーグ戦では、先発でもリリーフでも打ち込まれるというドン底を味わっている。今回は、その原因について考えてみた。 (投球内容) 足を勢い良く引き上げて来るなど、先発投手のようなゆったりと「間」をというよりも、リリーフ投手のようなガンガン攻めてゆく勢いを感じさせるフォーム。 ストレート 常時135キロ前後 ☆☆★ 2.5 今春は先発だということもあり、球速は135キロ前後と抑え気味。好調時には、下手からでも140キロを越えて来る。またランナーがいないときにはボールも両サイドに散っており、それほど制球は乱れない。しかしセットポジションになると乱れやすいのか? 打ち込まれることが多い。そういったことを考えると、必ずしもリリーフ向きだとは言い切れない。 この選手で一番気になるのは、アンダーハンダー特有の下から浮き上がって来るような独特の球が見られないこと。そして球速がなくてもキレ型の投手が多い下手において、ボールがあまりキレて来ない点も疑問が残る。確かに球速は破格だが、ボール自体に嫌らしさがあるわけではないのだ。 変化球 カーブ・スライダー・シンカーなど ☆☆☆ 3.0 時々緩いカーブを使って、相手の目先を変えようという意図は感じられますが、それほど効果はありません。基本は、スライダーとシンカーとのコンビネーションで組み立てます。スライダーは大きく横滑りするものの、あまりコマンドは高くない。シンカーは小さく沈みカウントを稼げますが、空振りを誘うほどの威力がないのも確かです。そのため奪三振率は低く、コースを突いて打ち損じを誘う、詰まらせるというのが、この選手のピッチングになります。 その他 アンダーですが、クィックは1.1秒前後と遅くありません。牽制もそれなりに鋭いですし、フィールディングも上手い部類かと。特にベースカバーへの入りも早く、投球以外の部分に大きな欠点は感じられません。 (投球内容) 大学の下級生の頃から頭角を現し、全日本入り。しかしリーグ戦での内容は、年々悪くなってきています。ようは、東都の主力選手たちは彼の球筋に馴れてしまい苦にならなくなっているのではないかということ。それに対し対処できるほどの工夫や器用さがないのが、現時点での成績に現れています。 (投球フォーム) では一体何処に問題があるのか? フォームを分析をして考えてみましょう。ただしアンダーハンドの場合、いつものようなチェック項目は無意味なため、今回は気になった部分だけを上げることにする。 1、どうしてボールが浮き上がって来ないのか? この選手のリリースポイントは、極めて地面に近い位置から出てきます。しかしですね、この選手のリリースを見てみると、地面ギリギリのところからサイドのような横ぶりで腕が振られていることがわかります。そのためアンダー特有の、下から浮き上がって来る球筋は作れないということになります。厳密に言いますと、極めて重心の低いサイドハンド そういう位置付けで考えた方が適当なのかもしれません。 2,どうしてボールがキレて来ないのか? アンダーというフォームの構造上、ウエートを乗っけてボールを投げることができません。すなわち球威のある球を、生み出し難い構造なわけです。そういった選手が球質を向上させるには、腕や上体の振りを鋭くし、キレを生み出してゆくしかないわけです。しかしこの選手は元々187センチの大型投手ということで、動作が緩い傾向にあります。そのためボールのキレを生み出せないまま、ここまで来てしまったと考えられます。いたずらに球速が出てしまったがばっかりに、キレを追求して来なかったことが今日の状況を生み出しているのではないかと。 手元でグ~ンと伸びるのある球を生み出すのは、下半身の体重移動とリリース時にバックスピンをかけることに要因があります。しかし手元でピュッとキレる球を投げるのには、上体と腕の振りのシャープさと、フォームのギャップによるところが大きいわけです。 3,ボールが早く見えているのではないのか? このギャップとは何かというと、ボールが見え始めてから到達する時間が、通常のフォームよりも早くタイミングを取り難いことを指します。通常ボールが見え始めるというのは、打者に向かう前の肩が開き出すとボールが見えてきて、リリースのタイミングを図りやすくなるわけです。しかし彼のフォームを見ていると、けして肩の開きが早いわけではないのです。では何が行けないのか?と考えると、テイクバックした時にボールの握りが早くから打者に見えてしまっているということ。これでは肩が開かなくても、打者からは球筋がイメージしやすく、タイミングを図りやすくなっています。この辺を工夫しないと、簡単に合わせられてしまうだろうと考えられます。 (フォームのまとめ) 彼のフォームの構造上、浮き上がる球筋はこれからも期待できないと割り切るべきでしょう。しかしキレを作ることは、取り組み次第で充分可能なはずです。あとは、テイクバックからリリースまでの動きを見直し、打者の陰にできるだけ隠れたところでコレを行うことを意識しないと行けないだろうということ。どの位置でトップを作りリリースに持ってゆくのかが打者からわかり難いのか? チームメイトなどに訊いて、嫌らしさを追求すべきではないのでしょうか。 (最後に) いたずらに大学に入って球速が出てしまったかばっかりに、相手に嫌がられる投球という観点で取り組めなかったことが痛かったように思います。今のままではプロでは厳しいでしょうから、社会人でフォームを作り直す時間が必要ではないかと思います。もちろん、それが秋までに実現すれば評価も変わってくるでしょうが。 アンダーという特殊なフォームだけに、それを熟知している指導者にいる環境に進まれることが望ましいかと。現状の内容では、指名リストに入れることはできないと判断しました。 (2017年 春季リーグ戦) |
高橋 礼(専修大3年)投手 187/80 右/右 (専大松戸出身) |
「アンダーで140を見たことがない」 1999年から「迷スカウト」を開設し、本格的にこの活動をしてきたが、純粋なアンダーハンドから140キロを記録した投手は 高橋 礼 しか見たことがない。下手の付加価値を図る時に、プラス15キロすると位置づけがわかるとよく書くのだが、この選手の球速は破格だということがわかる。 (ここに注目!) 専大松戸時代は、何やら大きなサブマリンがいるなと思った程度で、気に留めて見たことがありませんでした。彼のことを気にしたのは、大学2年生の全日本代表を決める・平塚合宿に彼が招集されていた時。アンダーから135キロ級のボールを投げていて、驚かされたのを思い出します。しかしその後は注目されることにはなりましたが、リーグ戦の成績はパッとしないというのが率直なところでしょうか。最終学年で、どんな投球を見せてくれるのか気になります。 (投球内容) ストレート 常時135キロ前後~140キロ強 ☆☆☆★ 3.5 下手の割にボールが浮き上がって来るとか、手元で切れるいう感じはしません。コースを突いて詰まらせるという、パワーピッチャーです。先程の下手はプラス15キロの感覚で見ると良いと言いましたが、そうすると彼の球速は150~155キロ級の球速を連発していることになります。しかし150キロ台でも合わされやすい選手もいるように、彼も不思議と苦にならないサブマリンなのです。 更にこの平塚の試合ではそうでもなかったのですが、かなりボールが荒れ球傾向で収まりが悪い。通算でも134回1/3イニングで70四死球を出しており、四死球率は52.1%(基準は33.3%以下)と、かなりコントロールが悪いことがわかります。特に3年時の成績が悪いのは、四死球の比率が高まっていることにも原因がありそうです。 変化球 スライダー・シンカー・カーブなど ☆☆☆ 3.0 この平塚の試合では、横に曲がるスライダーぐらいしか投げていませんでした。その他普段だと、左打者に対し、外角で小さく沈むシンカー系の球を投げたり、もっと緩いカーブもたまに投げます。シンカーのコントロールは悪くないのですが、スライダー思ったほど上手く操れていない印象があります。どうしても仕留めるほどの変化球がないので、ストレートで押すというピッチングにならざるえないのかもしれません。 (投球のまとめ) 下手投げですが、右打者よりも左打者を得意としている感じがします。ボールもしっかりコントロールでき、外角にはシンカー・インハイには速球で詰まらせるという投球パターンができています。むしろコントロールが乱れたりするのは、右打者のときが多いような。ストレートだけでなく、スライダーの精度があまり高くないからではないのでしょうか。 今回は計測したデータを持っていないので細かく記せませんが、クィックは1.1秒台ぐらいで遅くないはずです。ベースカバーへの入りも早く、大型だったり下手ということで動作も大きくなりそうですが、そういった部分に不安はありません。 (成績から考える) 今度は、今まで残した成績から考えてみましょう。通算成績は、 33試合 134回1/3 86安打 70四死球 55三振 防御率 3.69 1、被安打は、イニングの70%以下 ◯ 被安打率は、64.0%であり、やはり特殊な球筋故に各打者苦労していることがわかります。中央のリーグでこの成績ですから、ボールの威力は際立っています。 2、四死球はイニングの1/3以下 ☓ 先程も触れましたが、四死球率は 52.1% 。この数字はかなり高く、アマレベルでこれだけ悪いとプロの打者のプレッシャー、狭いストライクゾーン、選球眼の良さを感じると、かなり苦しむことが予想されます。 3、奪三振は1イニングあたり0.8個以上 ☓ 1イニングあたりの奪三振率は、0.41個(平均は0.65個)と大変少ない。これは上記にも記載したとおり、アンダーなのに空振りを誘えない球質だということ。また仕留めきるだけの変化球もないので、極めて少ない数字になっています。 4、防御率は1点台以内 ☓ 通算の防御率は3点台であり、かけ離れていることがわかります。この選手は、ゲームメイクする先発よりも、明らかにリリーフ型だと考えます。 (成績からわかること) 特殊な球筋を活かし、極めて打たれていないことがわかりました。その一方で、コントロール・決め手の無さを露呈し、この部分では厳しいことがわかってきました。この辺の数字を前提に、最終学年はどのような成績を残すのか注目されます。 (最後に) 希少価値から考えても、よほど醜いシーズンを過ごさない限りは、大学からプロへ進むことになると考えます。しかし即戦力として見られるのかと言われると、現時点ではNO.と言わざるえないでしょう。しかし短いイニングなどで、限定した使い方をした場合はどうでしょうか? その辺も意識しながら、最終学年のプレーに注視してみたいと思います。 (2016年 リーグ戦) |