13kp-25
高橋 遥人(亜大4年)投手 179/80 左/左 (常葉橘出身) |
「一皮むけない」 けして力を入れて投げなくても145キロ前後を連発できる球速の持ち主で、ボール1つ1つは素晴らしい 高橋 遥人。 しかし最終学年を迎えても、なかなかリーグ戦での成績がともなって来ない。ライトシーズンとなったこの秋でも、リリーフでの登板に甘んじている。 (投球内容) 非常にオーソドックスなフォームから投げ込む正統派のサウスポー。 ストレート 140キロ台~140キロ台後半 ☆☆☆☆ 適度にキレと勢いのある速球を、両サイドに投げ分けてくる。キレ型の球質なので打者の空振りを誘える反面、まとももに捉えられると長打を食らいやすい。特に細かい制球力はなく、左打者には高めに浮きやすい。またカウントが悪い時には、ストライクを取りに力のない球を打たれることも少なくない。そのボールだけをみていると上位指名級だが、成績が伴って来ない。 変化球 スライダー・チェンジアップなど ☆☆☆ 3.0 空振りを誘うような絶対的なキレはないものの、スライダーは両サイドに散らすことができている。また右打者の外角にも、チェンジアップを集めることができる。しかしカウントが悪くなって変化球でカウントを取りにゆくと、この球を打たれるケースは相変わらず。 その他 クィックは、1.15~1.25秒ぐらいと平均的。以前はもっと早かったと記憶するが、もう少しゆったり投げて、制球を重視しているのかもしれない。牽制もそれほど多くは見られないが、まずまず鋭く送球。フィールディングの動きもよく、投球以外の部分に大きな欠点は見当たらない。 (投球のまとめ) 投球の力の入れ加減抜き加減がなく、同じリズム、同じ力加減で投げていてメリハリに欠ける。フォームにも粘りが足りず、合わせやすく淡白。昨年から指摘した欠点が、依然改善されていない。そのため投球内容も成績にも、現れて来ないのだ。今は、ただ速い球を淡々と投げ込むだけの素材型の域を脱していない。 (成績から考える) 亜細亜大のHPに、今年の公式戦の通算成績が記載されているので参考にさせて頂きたい。特にこの秋は、先発ではなくリリーフとして起用。試合途中からの登板も、以後ロングリリーフすることも少なくない。 79回2/3 68安 42四死 59三 防 3.39 1,被安打はイニングの80%以下 △ 被安打率は、85.4% であり、基準である80%を満たすことはできず。けして際立って悪いわけではないが、詰めの甘さ、コントロールミスがあり、それを改善していないことを裏付ける。しかしこの辺は、何か良い変化球も身につけられればといった感じで、それほど悲観することはないだろう。 2,四死球はイニングの1/3以下 ✕ むしろ問題は、四死球率が 52.8% に昇り、このコントロールの不安定さが、信頼・実績をあげられない最大の要因ではないかと考えられる。さらに打者のレベルも上がり、ストライクゾーンも厳しくなるプロの世界で制球に苦しむリスクは高まる。 3,奪三振は1イニングあたり0.9個以上 ✕ 1イニングあたりの奪三振率は、0.74個。平均が0.65個前後なので、少し三振でアウトを奪っていることが多いというぐらい。しかし最終学年ではリリーフでの登板が多く基準を0.9個以上にしたが、先発の基準である0.8個でもファクターを満たすには至っていない。この辺は、変化球に決め手がないからだろう。 4、防御率は、1点台以内 ✕ 防御率は3.39と並であり、プロを目指すならば1点台。上位指名を目指すならば、何処かで0点台の数字も残しておきたい。元々この投手、リーグ戦でも先発多く任されたのは、4年春の 2.38(4位)ぐらいの実績しかない。リーグ戦での実績は、非常にリリーフ含めても乏しい (成績からわかること) 4年生になるまでの実績が通算2勝だったように、実績的な裏付けに乏しい選手だった。最終学年での成績をみても、それを改善できている感じはなく、残した成績から判断すると即戦力を期待するのは難しい。このひと皮むけない部分を、プロの指導者や環境が変えることができるのかがポイントとなってくる。 (最後に) 左から140キロ台中盤級のボールを連発できる素材は一級品も、本当のコントロールがなく、これといった変化球がなく決め手に欠ける欠点は変わっていない。さらに投球にメリハリをつけたり、動作に粘りみたいなものに欠けてしまうので、ただ速い球を淡々と投げ込み、同じような投球を繰り返している印象は否めない。 ここから何かを変えてゆこうという意欲や、それを変え得るための発想力、それを可能にするだけの器用さが必要なのだが、そういったところにも疑問が残る選手なのだ。投球にムラはあったが、濱口遥大(神奈川大-DeNA)の場合は速球だけでなく頼れるチェンジアップという武器があった。しかし高橋には、速球しかないのも大きな違いとしてあげられる。 ドラフトとしては左腕ということで2位~3位ぐらいには指名されると思うが、それでは使える投手かというと今のままでは疑問が残る。ここをこうすれば良くなるという確かな確信がある球団でなければ、手をだすのは危険ではないのだろうか。あくまでも大学の間では、素材型の域を脱することはできなかったと判断する。そのため評価は、春までと据え置きにしたい。 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) (2017年 秋季リーグ戦) |
高橋 遥人(亜大4年)投手 180/80 左/左 (常葉橘出身) |
「ついに先発からもハズレてしまった」 ドラフト上位候補と期待された 高橋 遥人 は、春のリーグ戦において、最近は先発からハズレてしまっている。これでは、ドラフト上位指名もままならない状況だが、その原因何なのか考えてみたい。 (投球内容) 考えてみれば、これまでの3年間で通算2勝しかしていなかった投手。ボールは一級品でも、勝てる投手かと言われれば疑問が残る素材型だった。結局最終学年になって期待されたものの、今までの投球から脱却できていないことが露呈する形となった。 常時140キロ台~MAX146キロ ☆☆☆☆ 4.0 開幕週で観戦した時も、ボールのキレ・勢いには見るべきものがあった。相変わらず細かいコントロールはないものの、大雑把には両サイドに投げ分けることはできる。ただし本当の制球力がないので、苦しくなって甘くカウントを取りにゆく球を痛打されるという悪循環は変わっていない。ストレートで空振りを誘えるだけに、実に惜しい気がする。 変化球 スライダー・チェンジアップなど ☆☆★ 2.5 残念なのは、ストレートに対し変化球のレベルがイマイチなところ。スライダーでもチェンジアップでもカウントは取れるものの、空振りを誘うようなキレがない。特にカウントが苦しくなると、甘くストライクを取りにいった変化球を打たれるケースも少なくない。制球力と共に武器になる変化球の習得、今ある変化球製の精度・キレを増すことが求められる。 その他 牽制もまずまずですし、フィールディングも基準レベル以上。クィックも1.05秒前後で、投球以外の部分のレベルは悪くはない。 微妙な駆け引きができるだけの投球術や「間」をうまく使うとかそういったセンスはないが、極端にピッチングができないという印象もない。 (投球のまとめ) 課題はコントロールのアバウトさから来る失投と、変化球のレベルの低さにあると考えられる。この2つは以前からつきまとっている欠点であり、ここを改善できないまま最終学年を迎えてしまった。そしてリーグ戦でも、期待ほどの結果を残せていないというのが現状ではないのだろうか。 (この春の成績は) 18回1/3 21安打 16四死球 14三振 防御率 5.40 この数字を見るだけで、プロで1年目から期待するのは厳しい。被安打はイニング数を越えているし、四死球はイニングに迫る勢い。奪三振こそ1イニングあたり0.77個と、先発の基準である0.8個に近い数字は出しているが。しかも左腕でボールの威力を自慢の投手にしては、あまり三振が取れていないという見方もできる。 (技術的な改善点) 1,制球力の改善 グラブは最後まで内に抱えられており、足の甲での地面への押しつけもできている。それでも制球が乱れる要素は、やはり腕の回旋とリリースに大きな原因があると考えられる。 1つは、けして腕が体から遠くに回旋しているわけではないものの、「球持ち」がもう一つでボールを押し込めていないこと。もう少しボールを長く持って、前で放す意識を持ちたい。これによって指先の感覚が養われるだけでなく、打者としてもタイミングが計り難くなる。現在は、腕が遠回りにまわっているわけではないものの、ブンと大雑把に腕が振られているように見える。 2,武器になる変化球と精度の低さ 引き上げた足を地面に向けて、突っ立ったようなフォームから投げ込んでくる。そのためお尻が落とせないので、体を捻り出す充分なスペースが確保できない。こういった投手は、カーブで緩急をつけたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種の習得は厳しくなる。 しかしフォームの構造を変えるのはリスクが高いので、少しでも「着地」までのタイミングを遅らせる下半身の粘りを意識することが大事だ。「イチ・ニ~のサン」の「ニ~の」の粘りこそ、投球フォームの核となる部分。これにより体を捻り出す時間を確保することで、変化球のキレや球種の幅を広げられる可能性が高まる。カーブやフォークといった球種は難しくても、その他の球で緩急や決め手のある球を習得する可能性が広がる。当然「ニ~の」の粘りが出ることで、打者のタイミングを狂わせる可能性も高まる。下半身の強化・股関節の柔軟性を養いつつ、下半身の使い方を見直すべきではないのだろうか? (良い投手に共通するものは) 一流投手に共通するものは、投球動作の中でもメリハリがあるということ。ゆったり入っていってもリリース時には最大限の力が集約できているとか、腕を鋭く強く振るなどのギャップを生み出すことができている。そして角度動作に、粘りがあるということ。動作のメリハリと粘りこそ、投球の動作の本質だと言えよう。 (最後に) これからは、相手に嫌がられるにはどうしたら良いのか?ということを強く意識して投球に取り組むことではないのだろうか?どうしも自分が良い球を投げれば抑えられるという、自己満足の部分で投球をしてしまっている印象を受ける。そういった考え方を根本的に変えて行かないと、同じことの繰り返しになるのだろう。 口で言うのは優しいが、この取り組みは一朝一夕で身につくものではない。方向性さえ間違わないで地道に取り組めば、いつか大きな実を結ぶと信じている。ドラフトという観点で言えば、即戦力としては計算できないものの、素材としての魅力を買われて高い順位で指名されるのではないかと考えている。彼の場合、リリーフにしたから通用するというタイプでも無さそうなので、総合力を引き上げ、プロでもローテーションを目指すべきではないのだろうか。現在の位置付けは、2位から3位ぐらいまでには指名されるのではないかとみている。 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) (2017年 春季リーグ戦) |
高橋 遥人(亜大3年)投手 179/74 左/左 (常葉橘出身) |
「速球のキレ・勢いは今永昇太(DeNA)より上」 試合をまとめる能力や制球力では、駒大時代の 今永 昇太 に遠く及ばないものの、ストレートに関しては大学時代の今永以上のものがある 高橋 遥人 。 今年の大学球界を代表する左腕として、大いに注目してゆきたい一人なのだ。 (ここに注目!) ここまでの3年間は、通算で僅か2勝。本格的に先発するようになったのは、3年秋になってから。それでもコンスタントに145キロ前後を刻み、好調時には150キロを越えるサウスポー、それがこの 高橋 遥人 なのだ。 (投球内容) ランナーがいなくても、セットポジションから投げ込んできます。 ストレート 常時140キロ台~MAX148キロ ☆☆☆☆ 4.0 それほど力を入れなくても、コンスタントに145キロ前後を刻んで来るスピード能力はA級。そして何より、打者の空振りを誘えるボールのキレと勢いが感じられる。ただしストレートのコマンド自体はけして高くなく、大雑把に両サイドを投げ分ける程度。 変化球 スライダー・ツーシーム? チェンジアップ(フォーク) ☆☆☆ 3.0 130キロ台の小さく曲がるスライダーで、カウントを整えてくる。その他に、左打者のインハイを小さく食い込ませるツーシーム的な球種があるように感じる。更に意図的に落とす球もあるようだが、この球の精度・落差も不十分なのか? まだ充分に操れていないように見える。特に打者の空振りを誘う変化球はなく、微妙に芯をズラすような小さな変化が多い。 その他 高校時代から、ランナーを背負っても鋭い牽制は観られません。クィックは、1.05秒前後であり、高校時代が1.25秒前後だったのに比べると格段に進化。フィールディングの動きも良い選手で、こういったセンスは持っています。 (投球のまとめ) ボールがバラついて細かいコントロールがなく、大雑把に投げ込んでくるイメージ。そのため細かい投球術や「間」の使い方などは感じませんが、淡々と投げ込んできます。 それでもボール自体に非常に威力があるので、リリーフだとかなり厄介な存在だと言えるでしょう。最終学年では恐らく先発を任されると思うので、その中でどんな投球を魅せてくれるのか注目されます。ちなみに3年秋は、8試合に登板し 1勝4敗 防御率 2.38(リーグ4位) と平凡な成績に終わっている。 (投球フォーム) では今後の可能性として、フォームを分析してみたい。 <広がる可能性> ☆☆★ 2.5 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻がバッテリーライン上に残ってしまいます。そのため身体を捻り出すスペースは確保できず、カーブで緩急をつけたり、フォークのような縦に鋭く落ちる球種には適しません。 「着地」までは軽く前にステップしているものの、身体をに捻り出す時間が充分というほどではありません。したがってキレがあったり、曲がりの大きな変化球を習得できるのかは将来的に不安です。そのため球速のある、小さな変化で芯をズラすタイプの投手になる可能性が高くなります。まさに現在でも、そんな感じの投球です。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ 4.0 グラブは最後まで内で抱えられており、両サイドの投げ分けは安定しやすい。足の甲でも地面を捉えており、引っ掛かり過ぎることはあっても、高めに抜けることは少ない。「球持ち」も悪くなく、指先まで力を伝えることができている。もっとノーコンのイメージがあったのだが、動作的には大きな欠点は見当たらない。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻は落とせないものの、カーブやフォークをほとんど投げないので肘への負担は少なめ。腕の送り出しにも無理は感じられず、肩への負担も少ないのでは? 力投派でもないので疲れも溜まり難く、故障のリスクは少ないのではないのだろうか。 <実戦的な術> ☆☆★ 2.5 「着地」までの粘りはそれほどなく、打者としては合わせ難いフォームではないだろう。しかし身体の「開き」は抑えられており、見えないところからピュッと勢いのあるボールが投げ込まれるので、差し込まれやすいのかもしれない。 気になるのは、振り下ろした腕が身体に絡んで来ない。それだけ腕が振れておらず、打者の空振りを誘い難い。またボールへの体重移動も不十分で、投げ終わった後に重心が前に移ってこない。こうなると腕や上体の振りでキレを生み出せても、打者の手元まで球威のある球が投げられない。空振りは誘えるが、キレが鈍ったり甘く入ると長打を浴びやすくなる。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」と「体重移動」に課題があることがわかる。お尻が落とせない部分はあるが、それほど故障のリスクは高くないこと。そして実際の投球から観る印象ほど、フォームを司る動作は悪くない感じ。投球の幅を今後広げられるのか?という不安はあるものの、すでに彼のフォームに即した投球を作り上げつつあると言う点では評価できる。 (最後に) これまでこれだけのボールを投げながらも、実績的には3年秋がはじめてのシーズンといった感じ。速さはA級も、本当にプロで通用する技術を持っているかと言われると疑問が残る。そしてそれが、最終学年でどう出るのか? また課題を克服して来られるのか注目したい。現時点では 嘉陽宗一郎 と共に、あくまでも素材的に魅力があるという期待感だけが優先している。果たしてどんな最終学年を魅せてくれるのか、期待半分不安半分で見守りたいと思う。一つだけ言えるのは、今年の大学生左腕の中ではトップクラスの素材であるということは間違いないだろう。 (2016年 大学選手権) |
高橋 遙人(静岡・常葉橘)投手 181/65 左/左 |
「変わっていなかった・・・」 春季静岡大会で見た時も、冴えない投球で3回で降板。この夏の東海大翔洋高校戦でも、試合の途中で交代させられてしまった。プロ注目の左腕ということで春先から期待されたが、最後までピリッとした投球を見られないで終わってしまった。 (投球内容) オーソドックスなフォームの左腕で、マウンド捌きも洗練され、まとまった実戦派といった印象を受けます。しかし春の観戦時も、夏の大会でも四球を出し苦しいピッチングを間のあたりにしました。体が突っ込んで、抑えが効かない印象です。 ストレート 常時130~86マイル(137.6キロ) 春観戦した時の球速は、130キロ台前半の球が中心で、MAXで86マイル(137.6キロ)ぐらい。この夏も目測で、135キロ前後ぐらいかなぁといった印象。ボール自体にキレは感じますが、あまり球威がないのと、打者からは苦になく合わせやすい印象を受けます。低めやコースを狙うがばっかりに、カウントを悪くしてしまっている感じがします。元来は、コースや低めに決まるのが持ち味なのでしょうが。 変化球 カーブ・スライダー 左腕らしい大きなカーブと、低めのボールゾーンに切れ込むスライダーを織り交ぜてきます。カーブでカウントが取れるのと、恐らく調子の好い時は低めのスライダーを、上手く振らせることができるのではないのでしょうか。 現状速球も含めて、相手を抑え込める球はありません。ただ変化球は、比較的低めに集まるのは好いところ。むしろ打たれているのは、高めに浮いたストレートであるように思います。 その他 左腕投手ですが、それほど鋭い牽制は見られません。クィックも1.25秒前後と、少し遅い部類。フィールディングは上手く、その辺は野球センスの片鱗を感じます。 (投球のまとめ) 実戦派の割りには、制球が不安定だったり、変化球に絶対的なものがないのは気になります。マウンドさばきが優れていそうに見えて、先頭打者をフォアボールで出塁させてしまったり、常にストライク先行で有利な状況を作るとかそういったこともありません。好い時はテンポよく、コーナーに決まったりするので、イニングによっての波が激しいタイプではないのでしょうか。 経験は豊富なのかもしれませんが、課題はまだまだ相当あるように思います。では、どのへんに問題があるのか?投球フォームの観点から考えてゆきましょう。 (投球フォーム) ノーワインドアップから、勢い良く足を引き上げて入って行きます。ゆったりとした先発タイプと思いきや、投球フォームは、むしろリリーフの力投派みたいな激しい入り方をします。 <広がる可能性> ☆☆☆ 引き上げた足も地面に向けて伸びており、お尻はそれほど三塁側(左投手の場合は)に落ちません。したがってカーブで緩急をつけたり、フォークのような縦に鋭く落ちるボールは適しません。それでもカーブを多く投げるので、この点は気になります。 「着地」に関しては、地面に着きそうなところから、前への一伸びがあり遅らせることは出来ています。そのため体を捻り出す時間はある程度確保できているので、カーブやフォークといった球種以外ならば、今後も投球の幅を広げて行けるのではないのでしょうか。 <ボールの支配> ☆☆ 抱えていたグラブが、最後後ろに抜けてしまったりして、しっかり抱えられていません。足の甲では地面を捉えており、元来はボールを低めに集められるタイプなのかもしれません。「球持ち」は悪いようには見えませんでしたが、実際には四球を連発するように、指先の感覚がもうひとつ。 フォームの入りを静かにして、ブレを小さくしたいところ。そしてグラブを最後までしっかり抱え、フォームの暴れを内に抑えこむことができるようになると、球筋も安定してきそうです。 <故障のリスク> ☆☆☆ お尻を落とせない割にカーブを多く投げるので、肘への負担は気になります。しかしカーブが生命線みたいなタイプなので、これを今すぐ止めてゆくわけには行かないでしょう。もう少し他の球種を磨き、使う頻度を減らしたところ。 振り下ろす腕の角度には無理がなく、肩への負担は少なそう。いずれにしても、故障には充分注意して取り組んで欲しいと思います。 <実戦的な術> ☆☆☆ 「着地」までの粘りは悪くはないのですが、体の「開き」の早いフォーム。そのため打者からはいち早く球筋が読まれ、コースを突いた球でも苦になく打たれてしまいます。 振り下ろした腕は体に絡むように、速球と変化球の見極めはつきにくいはず。「着地」の際にステップが狭いのか? 前に体が突っこんだりして、上手く体重移動が出来ていません。そのため打者の手元まで、生きた球が行かないのです。 (フォームのまとめ) 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」「球持ち」は悪くありませんが、「開き」「体重移動」に課題を残すことがわかりました。 制球を司る動作にも不安が残り、肘への負担も心配されます。実戦派にみせかけて、それほど実戦的なタイプではないことがわかりました。 (今後は) 現状、ボールの威力・制球・変化球・投球フォームなどにも、それほど特筆すべきものはありませんでした。それどころか課題も多く抱えており、これらを今後いかに改善して行けるのかは微妙です。 少なくてもこれだけの課題を抱えていることを考えると、しっかり技術的な観点から指導できる人がいる環境に進んだり、志しを高く持って取り組んで行かないと、大学などでも埋もれてしまう可能性も否定できません。春・夏の観戦した試合が悪かったからかもしれませんが、ドラフト候補といった投球には見えませんでした。今後の立て直しに、期待しております。 (2013年夏・静岡大会) |
高橋 遙人(静岡・常葉橘)投手 181/65 左/左 |
175センチぐらいの中背の投手のイメージがあったのですが、181/65 と意外に体格に恵まれていたのに驚かされます。 球速は、130キロ~MAX86マイル(137.6キロ)ぐらいで、殆どの球速は135キロ弱と物足りない内容。ボール自体にキレはあるので、コーナーにビシバシ決まってくれば好投手ぶりが際立つのだとは思いますが。左腕らしい緩いカーブとのコンビネーションで、試合を組み立ててきます。初回は制球に苦しんだものの、二回からはテンポ・コントロールなどもよくその片鱗を伺わせます。特に内角を厳しく突いたり、低めにボールを集めたりと、好調時は中々相手につけいる隙を与えないのでは。 しかし3イニング目に、再び投球が乱れる事態に。マウンド捌きが洗練している割に、制球を乱すことが少なくありません。特に体が前に突っ込む傾向が強く、その辺が制球の不安定さにつながっているのでしょう。結局、僅か3イニングで降板するなど、調子が悪く監督さんの信頼が薄れていることが伺えます。勝てば東海大会出場を決める大事な試合にしては、決断が早いのに驚かされました。 彼も東海地区で、プロのスカウトを集めている一人。ただ現状の球威・球速、投球の不安定さを考えると、大学に進むことになるのではないのでしょうか。フォームのバランスを立て直すことができれば、昨夏のような素晴らしい投球が期待できそうなのですが・・・。 (2013年 春季静岡大会) |