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原 大輝(24歳・BC信濃)捕手 174/76 右/右 (北海道東海大出身) 
 



                    「打撃型捕手かな」



北海道東海大時代は、6番・捕手として三年生の時に大学選手権に出場。2年秋・4年春にベストナインに輝いている。しかしながら、それほど当時のプレーを見直しても、打撃でアピールするタイプという印象は残らない。むしろ、打力でアピールするようになったのは、BCリーグに進んでからではないのだろうか。

BCリーグでの成績

11年 71試合 1本 35打点 6盗塁 打率.309厘
12年 72試合 3本 33打点 7盗塁 打率.297厘

と捕手としては、かなり打力があることがわかる。チームでも捕手を務めない時は、一塁や外野手をこなし、中軸を担っていたという選手。



(ディフェンス面)

 捕手らしいガッチリした体格で、ミットをゆっくり示しグラブは特に下げない。ボールを捕球する時に、けして投手の球に力負けしない安定したキャッチングの持ち主。リードは、適度に内角を織り交ぜるなど、強気の一面も覗かせる。

 課題はフットワークと言われるように、やや手だけで捕球しに行くので、コースを外れた球への対応が遅れ気味。遠投110メートルの強肩が売りだということだが、BCでの映像を見る限り、なんだか山なりで地肩が凄く強いというよりも、コントロールでアウトにしている感じ。タイムとしては、2.1秒前後かかっていた。これがたまたまなのか? それともいつもこうなのかは、この一回の送球しか観ていないのでよくわからない。

こうやってみてみると、プロの捕手としては総合力では物足りなく、大成するとすれば野手に本格コンバートした場合ではないのだろうか。あるいは、捕手の人数合わせの指名なのか、その辺の事情はよくわからない。

(それならば走力は)

 いずれは野手にという意味では、BCでの2シーズンでも中軸を任されている捕手らしからぬ、6盗塁・7盗塁 と決めている。2年間の通算13盗塁は、499打席での数字であり、プロレベルでも年間10盗塁ぐらいは狙える脚力があるかもしれない。特に野手に専念すれば、もっと走力を重視するだろうし。

 興味深いのは、大学選手権に出場した時の映像に、送りバントを決めた場面があった。その時のタイムが、4.26と、多少走りだしが速いとはいえ右打席からのタイムだけに、これを左打者に換算すると4.0秒前後に相当する。通常塁間の目安となるのは、

3.9秒弱  プロで足を売りに出来るレベル

4.0秒前後 足を売りに出来るのかは走塁センスにもよるが、プロでも俊足の部類

4.2秒前後 スカウトが、プロの基準と判断するタイム

4.3秒以下 プロの基準以下となり、割り引いて考える

と足を売りにできるのかは微妙だが、プロでも俊足レベルの脚力があることは覚えておきたい。
(打撃内容)

 少なくても、BCリーグレベルならば中軸が任される信頼感ある打力の持ち主。打撃フォームも、大学時代から比べると少し変わってきたことがわかる。

<構え> ☆☆☆

 大学時代は、スクエアスタンスでつま先を浮かして構えていたのを、今は軽く前足を開いて、カカトは浮かさないで構えている。グリップを高めに添えるのは変わりないが、腰の据わり・両目で前を見据える姿勢・全体のバランスなどは、以前よりも良くなっている。

<仕掛け> 遅すぎる仕掛け

 大学時代も遅かったが、今は一度ベース側につま先立ちしてチョンとステップし直すので、どうしても始動が遅れ過ぎ。ここまで遅いと、瞬時にいろいろな球に対応するのは厳しいだろう。

<足の運び> ☆☆

 始動~着地までの「間」が短いので、あらかじめ狙い球を絞って打席に入る必要がある。この仕掛けでも結果を残すには、狙い球を絞り・逃さない「鋭さ」が求められる。ただ彼の打撃を見ていると、追い込まれるまでは引っ張りにかかっているが、追い込まれてからは右方向に打ち返す意識に変わり、状況に応じて打撃を変えているフシがある。

 ただ真っ直ぐ踏み出した足が、どうしても地面から離れるのが速かったり、ブレてしまうので、外角の厳しい球や逃げてゆく球への対処するのは上手くないはず。この辺は、大学時代から充分に改善出来ていない。

<リストワーク> ☆☆☆

 大学時代よりも、早くからトップを作ることで始動の遅さを補っている。最大の成長は、バットの振り出しが良くなり、スイング軌道に癖がなくなったこと。大学時代はドアスイングだったのが、今は普通にボールを捉えられるようになった。ボールを捉えた後も、強引なグリップの引き上げていたものが、オーソドックスなものに変えている。

<軸> ☆☆☆

 足の上げ下げが殆どないので、目線は安定。まだ身体の開きが完全に抑え込めていないが、軸足は地面から真っ直ぐ伸びて綺麗な回転で振れている。

(打撃のまとめ)

 以前は癖のあるフォームをしていたのを、かなりオーソドックスなものに変えてきました。特にスイング軌道の改善が顕著で、この辺が素直に打力の成長につながったと考えられます。

 しかしながらNPBでの活躍を考えると、始動の遅すぎや足元の盤石さに欠けるところは、不安要素として残ります。

(最後に)

 やはり打力型捕手の側面が強く、俊足の脚力も考えると、数年後には野手にコンバートされるか、そのまま解雇されるのかのいずれかではないかと考えられます。

 独立リーグでも上位の打力のある捕手ですので、まずはファームレベルでの活躍が期待されます。数年後、チームでどんな位置づけになるのか、個人的には興味があります。ちゃんと今年のプレーを確認できたわけではないのですが、もし観ていても、指名リストに名前を載せることはしなかったのではないかという気はしているのですが・・・