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赤堀 大智(25歳・セガサミー)中堅 188/90 右/右 (立正大出身) 




                     「規格外のポテンシャル」



 190センチ近い体格ながら、動ける身体能力と抜群の強肩。更に捉えた時の打球の速さは、社会人にはいないスケールの大きな野手。ただこれまでは、この高いポテンシャルを活かすことができなかった。しかし社会人3年目の今年は、その粗さも徐々に解消されつつある。

(経歴)

 掛川西時代は、この恵まれた体格を生かし140キロ台のストレートで活躍。そのかたわら、高校通算20本以上の本塁打を放つ強打者としても注目されていた。立正大に進んでからは、野手に専念。4年間で通算5本の本塁打を放つも、まだまだこの恵まれた身体能力はを活かすには至らなかった。

(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、早い時で4.25秒ぐらいで走り抜ける。これを左打者に換算すると、4.0秒ぐらいに相当。通常塁間の目安となるのは、

3.9秒弱  プロで足を売りに出来るレベル

4.0秒前後 足を売りに出来るのかは走塁センスにもよるが、プロでも俊足の部類

4.2秒前後 スカウトが、プロの基準と判断するタイム

4.3秒以下 プロの基準以下となり、割り引いて考える

となる。通常ここまで大型の選手が、このタイムで走り抜けるケースは珍しい。ただ彼の場合、動ける走力はあるものの、盗塁の技術には欠け盗塁を仕掛けことは少ない。ただ相手の隙をついて次の塁を陥れるなど、そういった意識は持っている。そのためプロでの指導により、盗塁もできるようになるのかは今のところわからない。ただ緊迫した場面での盗塁は期待できないが、押せ押せの時にはダイナミックな盗塁を魅せることもある。ちなみに2012年度にドラフト指名された右打者のタイムを偏差値化すると、彼の走塁偏差値は 53 。平均より、やや速いことがわかる。

 打球への反応がいいかは微妙だが、自慢の走力を生かし守備範囲の広さを誇ります。特に球際でのプレーに強く、再三のファインプレーを魅せるなどキャッチングには定評があります。また最大の魅力は、プロでもトップクラスの強肩。これはまさにバカ肩と言えるレベルですが、中継に正確に返球したり、コントロールに関しては、まだまだ不安定なものがあります。ハマった時の返球は素晴らしいのですが、送球が逸れることも少なくありません。

 現状は、足は速いが走れない。肩は強いが、送球が安定しない。そういった課題は残りますが、走塁への意欲は感じますし、キャッチング自体は上手いので、上手くプロで粗さを解消していって欲しいと思います。守備・走力に関してのポテンシャルは、プロでもトップクラス。





(打撃内容)

 手足が長いので、普通の人が届かないようなボールでも届く反面、腕が上手く畳めずに窮屈なスイングをすることも少なくありません。打球の多くは、センターからレフト方向へ引っ張る打球が多いのが特徴。この身体ですから、まともに当たれば飛んで行きますが、基本的にあまり打球は上がりません。ただ身体のパワーは半端ではないので、球足が非常に速いものがあります。

<構え> ☆☆☆

 スクエアスタンスで足を揃え、グリップの高さは平均的。腰の据わり自体悪くありませんし、両目で前を見据える姿勢も悪くありません。ただ大きな身体を小さく屈め、身体も動かず揺らがないので、何処か固く脆い印象を受けます。大学時代はカカトをトントンしたりと動かす意識があったようですが、自分には合わなかったのかもしれません。

<仕掛け> 早めの仕掛け

 この身体でこのパワーですから、長打を期待してしまいます。しかし実際は、早めに始動して来るアベレージヒッターの仕掛けであり、打球も上にあまり上がりません。長打を期待して彼を獲ったとしたら、それは間違いだと思います。

<足の運び> ☆☆☆

 足を上げてから降ろすまでの「間」は取れており、速球でも変化球でも合わせやすい打ち方。すなわちスピードの変化・緩急にはついて行けるタイプだと考えられます。

 足は、ベースから離れた方向に踏み出すアウトステップ。そのため真ん中~内角の球を強く意識しています。踏み込んだ足元がインパクトの際にブレてしまうので、外に逃げて行くスライダーや外角低めの厳しいコースを捌くのは苦手です。それでも通常より長い手足のため、そのコースが届いてしまう。

 しかし強引に引っ張りにかかるので、引っ掛けてサードゴロそういった打球が非常に多い。現状のスイングでは、自分が引っ張りきれるコースの球には強いですが、そうではない球には脆い。基本右方向への打撃はできないので、コースへの対応というのが課題になります。

<リストワーク> ☆☆☆

 打撃の準備である「トップ」の形を無理なく作れています。そのため、速い球に差し込まれるという可能性は低いはず。ただバットの振り出しが身体から離れて遠回りに出てくるので、確実性の乏しいスイングになってしまいます。これでも右方向へ打ち返そうという意識があれば良いのですが、強引に引っ張りに持って来るので引っ掛ける打球が多くなります。更にバットがボールの下に潜り込み、内野フライなども結構あります。

 また無理にバットの先端であるヘッドは立てようとするので、スイングが波打つことも少なくありません。けしてヘッドスピードが鋭いのではなく、圧倒的な肉体のパワーのため打球が強烈になると考えられます。スイングの弧自体は小さくありませんが、フォロースルーを上手く使えるわけではないので、打球を遠くに運べるタイプでもありません。強烈な打球が野手の間を抜けて行く、そんなタイプです。ただ稀に芯で捉えた時の打球は、凄まじい打球が飛んで行きます。

<軸> ☆☆☆

 以前ほど足の上げ下げのアクションが小さくなったので、目線の動きは小さくなりました。ただ足元が盤石ではないので、開きが我慢できないこと。軸足も前に傾くことが多く、身体が突っみやすく安定した打撃をするタイプではないように思えます。

(打撃のまとめ)

 現状は、捌けるコースが限定されているのでここが最大の課題。ただボールの絞込みに成長が見られ、自分の打てる球を逃さず叩く。そんな打撃に、今年は徹しられるようになってきました。

 190センチ近い体格と当たった時の抜群の飛距離がありながら、実はアベレージヒッターだった 駒田徳広(巨人-横浜)一塁手のように、その見た目の割に打撃が上がらない。ただ駒田のように、柔らかいリストワークがあるわけではなく、いかに自分の打てる球を逃さず叩くか、まさにそこにかかっている打者だと言えるでしょう。

 プロの世界でも、足元を盤石しに右方向への打撃が覚えられると随分と違って来るはず。ただそれをして返ってどっちともつかずにもなる可能性もあるので、これだけはやらせてみないとわかりません。そういった意味では、この大型故の独特の脆さを、いかに克服して行けるのかが鍵ではないのでしょうか。

(最後に)

 ただこの選手の場合、ある程度守れて走れるので、多少打てなくても我慢して起用してもらえる強味はあります。恐らく地肩に関しては、入団したチームでも一、二を争う存在になるでしょう。こういったスケールの大きな選手をモノにできたら、横浜も大いに変われるのではないのでしょうか。ただ残念ながらこういったタイプは「未完の大器」で終わることが多いのも否定できません。右方向への打撃が見られた時が「旬」だと思っていたので、その意味ではまだプロでも時間がかかりそうです。


(2012年 関東選手権)


 








 赤堀 大智(立正大)中堅  188/83 右/右(掛川西出身)
 
(どんな選手?)

 巨体を活かしたスケール溢れる打撃が魅力の選手です。この春のオープン戦あたりから、個人的には大いに気になる存在になりました。また地肩もバカ肩で、アマ球界でも指折りの強肩外野手です。ただ、今秋のリーグ戦でも打率.205厘と、粗さは最後まで解消できませんでした。卒業後は、社会人のセガサミーに進んで野球を続けるそうです。

(守備・走塁面)

 ちょっと手元に、正確なタイムを記したものがないのですが、大型ですが動ける選手です。そのため今秋のリーグ戦でも2盗塁を記録しているように、ただのでかい選手ではありません。ただ上のレベルでも、足を売りにできるような絶対的な走力がある選手ではないように思えます。

 高い身体能力があるので、守備の動きも悪くはありません。ただ安定感に欠ける一面があるのも確かです。ただ地肩に関しては特筆もので、プロでも売りにできるレベルです。今年見た候補の中でも、指折りの強肩外野手であります。この点でアピールできる部分であり、もう少し今後は、安定感のあるプレーが望まれます。

(打撃内容)

 巨体ながら、前足をトントンとしてリズムを刻み、背筋を伸ばしながらグリップを高い位置に添える強打者スタイルで、非常に打席に入ると威圧感のある選手です。

 ただ投手の重心が引き上がる時に、すでに自分の足も引き上げるような「早すぎる仕掛け」を採用し、足を引き上げてから降ろすまでの時間が異常に長すぎます。またここまで早いと、投手の足の上げ下ろしでもタイミングを狂わせることができ、始動が早い割に逆効果になります。

 せっかく足を空中で長く引き上げて、降ろすタイミングを計っているのですが、足の上げ下げのアクションが大きすぎて、非常にロスのあるのが残念です。もう少し動作を小さくして、これができると好いのですが・・・。せっかく踏み出した足元も、アウトステップで、おまけに足元がブレるなど、外角への対応に課題を残すスイングです。

 スイング軌道も、バットが下から潜りこむなど、粗い印象が否めません。ただヘッドスピードは尋常ではないので、しっかりと捉えた打球は、火の出るような勢いがあり、この点では素晴らしいです。スイングの弧も大きく、フォロースルーも効かせられ、将来的に長距離打者の片鱗は伺われます。

 大きく足を上げ下ろすスタイルからも、目線のブレが大きく正確にボールを捉えることができません。また足元のブレからも、体の開きが我慢出来ないなど、課題の多い選手です。そのため、どうしても粗い印象は否めません。

(今後は)

 大学時代は、超一級品のポテンシャルを、充分に生かしきるまでには至りませんでした。地肩は一級品ですし、何よりその体の強さ・パワーは、凄いものがあります。ただ打撃のメカニズムの関係もあり、癖のあるフォームが対応力に大きな影響を及ぼしております。

 今後、この打撃を改善出来るのかは微妙なのですが、好い指導者に恵まれ改善されることを期待致します。ただ、よほど本人の意識も変わらないようだと、このまま素材は凄いが・・・と言うことで、未完の大器のまま終わる可能性が高そうです。

(2009年・神宮大会)