12ky-8



 
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真砂 勇介(襾城陽)中堅 183/78 右/右 





                    「稀哲みたいな雰囲気だな」





なんだか打席に入るその姿は、日ハムで活躍し現在ベイスターズに在籍する 森本 稀哲 外野手を彷彿とさせる。この選手は高校通算50本塁以上を放っていると訊いているが、どちらかというとスラッガーという感じはして来ないアスリートタイプ。

(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、4.6秒弱ぐらいと、走力は思ったほどではない。これを左打者に換算すると4.35秒ぐらい。実際もう少し速く走れるのかもしれないが、プロで足を売りにするという絶対的なスピードは感じない。ただ外野手の返球がもたつくと、積極的に次の塁を狙う意識は持てている。

 中堅としては、落下点までの入りは悪くない。ただ観戦した福知山成美戦では、球際でポロポロするなど弱さを露呈。あと一歩の貪欲さとプレーの集中力に不安が残る。ただ地肩はまずまず強く、プロに混ぜてもその辺は問題ないだろう。

 現状、守備・走力共に、それほど際立つものは感じない。特に身体能力はあるのかもしれないが、技術的にはまだまだでかなり時間はかかるだろう。



(打撃内容)

 この夏の大会は、不調だったようだ。最後の試合となった福知山成美戦の前の試合で、ようやく二安打が出たと話していたぐらい。この試合でも、相手バッテリーの内角攻めにあい、窮屈なバッティングを余儀なくされ三塁線を抜けるヒット一本に抑えられている。

<構え> ☆☆☆

 スクエアスタンスで、前の足のカカト浮かして構えます。グリップは高めに添えていて、懐を深く構えるのが特徴。ただ腰の据わり具合・両目で前を見据える姿勢・全体のバランスなども平均的で、構えとしては特質すべき点はない。

<仕掛け> 早めの仕掛け

 投手の重心が下る時に始動する、「早めの仕掛け」を採用。仕掛けとしては、アベレージ打者の傾向が強く、上のレベルで長打を売りにできるのかは疑問。

<足の運び> ☆☆

 始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でも対応しやすいタイプ。足を軽く浮かし回し込み、真っ直ぐ踏み出して来る。内角でも外角でも捌きたいタイプだが、踏み込んだ足のつま先は開いており、典型的な巻き込み型。足元がインパクトの際にブレることからも、外角の逃げて行く球や低めの球に対してついて行くのは厳しいだろう。そのため打てるコースは限定されており、内角も厳しいことを考えると、かなり幅は狭い。

<リストワーク> ☆☆

 打撃の準備である「トップ」を作るも、構えからバットを引くのが遅いので差し込まれやすい。またバットの振り出しも肘が下がって、ボールを捉えるまでに身体から離れて大回りに軌道する。ボールを捉えてからは、大きな弧と強引なまでのフォロースルーでボールを運ぼうとする。

 実際その打撃を見ていても、ヘッドスピードが図抜けて早いとか、ボールを捉える嗅覚が素晴らしいという特別なものは感じられなかった。

<軸> ☆☆

 結構ボールを捉えまでに、頭が動き目線が安定しません。また身体の開きは我慢できておらず、ただ軸足は地面から真っ直ぐ伸びて安定しています。綺麗な軸回転で上手く巻き込めた時が、彼の持ち味なのだと思います。

(打撃のまとめ)

 足元が踏ん張れないので外角や低めも厳しく、バットの出が遠回りなので内角の捌きも窮屈。そうなると打てるコースは、かなり限定されます。

 それもヘッドスピードや打球の鋭さ、ボールを捉えるセンスなども図抜けたものはありません。あくまでも身体能力に頼った素材型。しいて言えば、ボール球に手を出さないなど、選球眼の良さには目を見張るものがありました。そういった動体視力の良さには、天性のものを感じます。



(最後に)

 現状、守備・走力・打撃共に粗く、身体能力に頼ったプレーヤーだという気が致します。それだけでなくプレーの集中力にも欠け、かなり時間はかかるでしょう。同じ京都の逸材である 高橋 大樹(龍谷大平安)に比べても、遥かに粗い素材型。

 スケールがありそうには見えますが、スラッガーでもないことを考えると特徴を見出だせないで伸び悩む可能性が高そう。残念ながら私なら、獲らない選手だろうなという判断になります。ただプロ側の評判は高いようなので、ドラフト会議では何処かしらの球団に指名されるのではないのでしょうか。

(2012年 夏)