12ky-6
森本 龍弥(高岡第一)遊撃 183/84 右/右 |
「北陸では抜けた存在」
ある北信越担当のスカウトが、北陸では抜けた存在だと教えてくれていた 森本 龍弥 。そのため以前からぜひ観てみたいと思っていたが、結局その夢も叶わぬまま敗退してしまった。そこで今回は、幾つかの動画や知り得た情報を元に、寸評を作成したいと思う。あくまでも動画でのみの確認であったり、私自身の評価だけでなく、聞き得た情報から推察している部分も多いので、個人的な評価づけはしないことにする。
(プレースタイル)
恵まれた体格を活かした選手で、三拍子高い身体能力が売りの選手だと訊いている。しかしそのプレーぶりを観ていると、やはり光るのは引き手の強さを活かしたパワフルな打撃。特にこの打撃に関しては、評判どおり北陸では抜けた存在だと言われるのも、頷けるものがある。
(守備・走塁面)
残念ながら、一塁までの塁間は計測できず。ただ三塁までの到達タイムは、12.0前後とそれなりの速さはあるようだ。また打ってからトップスピードに乗るまでは、これだけの大型選手にしてはかなり速く、野球に適した脚力の持ち主という気がする。確かに走力に関しては、プロの基準を上回るだけのものは充分ありそう。しかし盗塁をバシバシ決められるような、足を売りにするようなな絶対的なものがあるのかまでは疑問が残る。ただこの夏も、チームで1番・遊撃手として出場している。
一番気になったのは、腰高の遊撃守備だ。大型故に動作も緩慢で、動きにキレが感じられない。知り合いのスカウトによれば、プロで遊撃手をというよりは、三塁や外野でというタイプらしい。実際強肩だと言うことだったが、返球を観る限り地肩が強いようには見えなかった。こと守備に関しては、かなりプロで鍛えないと苦しいのではないのだろうか。個人的には、プロでは三塁も微妙で、外野か一塁になるのではないかと考えている。
走力に関しては、中の上レベルはありそう。しかし守備に関しては、中の下以下かもしれない。少なくても、三拍子揃っているという選手ではないと評価する。
(打撃内容)
打撃の映像を見ている限り、どの方向にも強い打球を飛ばせる強打者だという印象を受ける。ただボールを遠くに運ぶと言うよりは、引き手の強さを活かし、球足速く野手の間を抜けて行くタイプ。木製バットを握れば、その傾向はよりハッキリして来るのではないのだろうか。そう考えると、身体の強さはあるのでツボにはまればスタンドインの可能性はあっても、プロで長距離打者になれるのかと言われると疑問が残る。
<構え> ☆☆☆☆
前足引いて、グリップを高めに添える強打者スタイル。腰の据わり具合もよく、両目でもシッカリ前を見据えられており、バランスの取れた好い構えだと言えそうです。打席でも高い集中力を感じるのですが、少し力が入り過ぎて構えに力みを感じます。
<仕掛け> 遅めの仕掛け
投手の重心が下がりきって、重心が前に移動する段階で始動する「遅めの仕掛け」を採用。そのためボールを手元まで引きつけて叩くタイプの打者であり、ギリギリまでボールを見定めてから打ちに行きます。通常こういった打ち方は、長距離打者が採用する仕掛けです。仕掛けの観点から言えば、彼は長距離打者としての資質を持っていることになります。
<足の運び> ☆☆☆
始動~着地までの「間」が短いので、いろいろな球に対応できる打ち方ではありません。あらかじめ狙い球を絞り、その球を逃さず叩く「鋭さ」が求められます。ただこの選手、高い集中力を活かし甘い球を逃さないタイプの強打者。こういった打ち方は、むしろ合っているのではないのでしょうか。
真っ直ぐ踏み出すことからも、内角でも外角でも捌きたいという、幅広い打撃を意識しています。踏み込んだ足元も、インパクトの際にブレません。そのため外の球でも、右方向にシッカリ打ち返すことができます。この辺は、広角打者の片鱗を伺わせます。
<リストワーク> ☆☆☆
打撃の準備である「トップ」の形を作るのは、平均的な選手だと言えそうです。バットの振り出し自体も平均的で、上からミートポイントまで振り下ろして来る感じが致します。そういった意味では、スイング軌道に大きなロスは感じられません。
ただボールを捉える時に、バットの先端であるヘッドが下がるので、打ち損じは結構多いのではないかと。スイングの弧もそれほどは大きくなく、フォロースルーを効かして遠くに運ぶタイプの打者のスイングではありません。甘い球を思いっきり引っぱたくという、かなりシンプルな打ち方。
<軸> ☆☆☆☆
足の上げ下げは大きくないので、目線はそれほど動きません。身体の開きも我慢出来ていますし、軸足も地面から真っ直ぐ力強く伸びています。好不調の波は、比較的小さいのではないかと予想されます。
(打撃フォームのまとめ)
基本的には、広角に打ち返す中距離打者との印象は受けます。ただ仕掛けの遅さや軸足の強さなどの観点から見ると長距離打者であり、中長距離打者への可能性も感じられます。もう少しスイングの仕方が改善されれば、ボールをコンスタントにあげることができるかもしれません。
(最後に)
ボールの見逃し方などを観ていると、最後まで目線は切らさず高い集中力が感じられます。またボールの見極めもよく、選球眼の良さが目を惹きました。僅かな動画からの判断になりますが、打撃に関してはプロの器だと言う印象を受けます。
ただ走力はあるものの、守備位置は限定されそうで、それをどう評価するのかがポイントになりそう。ちょっと観た感じでは、中位~下位で面白い素材といった感じですが、欠点に目をつむっても指名してみたいと思わせる打力はあるので、ドラフト会議での指名は充分現実味を帯びて来るのではないのでしょうか。プロでは、どういった役割を果たすのか、個人的にも気になる1人。恐らくしっかり試合を観ていたら、☆ をつけていた1人ではないのでしょうか。高校から、プロに入る素材だと思います。
(2012年夏 富山大会)
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