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相内 誠(千葉国際)投手 180/75 右/左 |
「う~ん」
夏の大会前には、相内 誠 は、関東NO.1の素材とまで評価されるようになっていた。しかし最後の夏の大会では、僅か2試合での登板で、それも2イニングのみで終戦。またその内容も、春の内容とは打って変わっていた。これをどう評価すべきか、私自身迷うものがある。
(投球内容)
この夏見た試合では、すべてストレートで押し、その球も高めに抜けたりと荒れ荒れの内容。それも球速としては、MAX140キロぐらいで、私が春観戦した時の88マイル(140.8キロ)と大きくは変わっていなかった。その時は、もっと変化球も織り交ぜ、バランスの取れた投球をしていたのだが・・・
春季大会で作成したレポートを読みなおして見ると「球威・球速・ボールの質という意味では、ドラフト候補として際立つものはない。それでもボールの球筋がよく、更にこれからまだまだ良くなって行きそうな予感を実感させる素材ではある。夏場に向けて、更にストレートの球速・質などが上がって来ると非常に面白いのではないのだろうか。」とコメントしている。
ボールの質が向上しているとかしていない以前に、ボールが上手くコントロールされていない。確かにボールに勢いは感じさせたが、ただそれだけの投球。夏までの上積みを期待していた私としては、正直ガックリさせられる内容だった。
ただこれは、正直私だけではないだろう。担当スカウトは良いと思って推薦し、夏にスカウト部長などを呼んで最終チェックをしようとしたら、この内容である。実際にこのリリーフの登板だけで評価を見極めるのは難しいし、ましてこの投球内容では、上のものもGOサインを出しにくい。私自身春季大会では「追跡級」と評価を保留し、夏までの成長を期待しての評価に留めていた。その夏がこれでは・・・
(本当はこんな投手ではない)
春の大会では、カーブで緩急を効かせつつスライダーでカウントを整え、追い込むとフォークなどの縦の変化を使う投球を披露。それほど細かいコントロールはなかったものの、両サイドに適度に散らすタイプの投手だった。
まだ未完成な未成熟さは感じさせたものの、けして荒っぽい投球する投手ではなかったのだが・・・
(野球への姿勢)
何事も一生懸命やる選手に見えました。彼が疲労性の腰痛だと訊いたので、頑張り過ぎたのかなぁという印象は受けています。ただ自分のことは一生懸命も、周囲をよく観察する習慣がなく、相手の洞察や駆け引きとか、そういった他者への意識が欠ける選手ではあるなという感じは春から受けていました。
夏の大会が終わったあと、彼のツィッターなどを見たのですが、本当に今時の高校生っていう感じを受けます。そう思うとプロでも技術や体力だけでなく、精神的な部分でも少し時間はかかるのではないかと思います。けして彼の野球への姿勢が悪いとは思いません。ただ何処までプロという世界を理解し、野球で飯を食うんだという意味を理解しているのかについては疑問が残ります。
(今後の可能性)
春見た時は、まだまだだなと思いました。しかし今後の伸びしろを非常に感じさせる素材で、見違えるような選手になるかもという予感めいたものがありました。
成長する選手は、春の大会~夏の大会の3ヶ月ぐらいでも目に見えて成長を遂げます。そこに賭けていたのですが、どうもその期待程の成長は遂げていませんでした。恐らくドラフトでは、何処かしらに指名されるとは思います。ただ個人的には、心技体すべての部分で未完成であり、大人の世界へ入るのは早いかなと思います。もう少し厳しい環境・シッカリ基礎的な部分を固めてからでも、プロ入りは遅くないかなと。そうすれば4年後ぐらいには「上位指名も期待できる存在」そんな風に思います。果たしてこの決断が、将来的に吉と出るのか凶と出るのか、個人的には注目しています。
(2012年夏)
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相内 誠(千葉国際)投手 180/75 右/左 |
「今年の千葉ではピカ一」 今年の千葉の高校球界では、その素材・実力共にNO.1の投手だと言われる 相内 誠 。均整の取れた体格、まだまだ発展途上の肉体などを見ていると、高い将来性を感じさせる奥行きのある素材だと実感する。そんな千葉屈指の素材を、今回は取り上げてみたい。 (投球内容) 正統派の本格派といった感じですが、まだまだ身体は成長途上といった感じです。それでも一冬越えて、だいぶボールが力強くなったと評判です。私が観戦した試合では、腰を痛めて登板はないのではないかと言われた中での登板であり、何処まで本調子だったのかはわかりません。 ストレート 135~MAX88マイル(140.8キロ) まだまだストレートの球威・球速・ボールの質という意味では、ドラフト候補として際立つものはない。それでもボールの球筋がよく、更にこれからまだまだ良くなって行きそうな予感を実感させる素材ではある。夏場に向けて、更にストレートの球速・質などが上がって来ると非常に面白いのではないのだろうか。 変化球 カーブ・スライダー・フォークなど カーブで緩急を効かせつつ、横滑りするスライダーでカウントを整え、追い込むとフォークだかチェンジアップのような縦の変化球で空振りを誘う。一つ一つの変化球レベルに際立つものはないが、これは投球の根本であるストレートのレベルアップで活きてくるだろうし、フォームなどが固まることで変化球のキレも増すことも期待できる。 その他 ランナーを刺すような、鋭い牽制は魅せない。ただクィックは球種によってバラツキはあるものの、1.1秒前後で投げ込むことができ、投球以外の部分も悪くない。 特に「間」を強く意識したり、微妙な駆け引きをするような、高いマウンド捌きは感じないが、投手らしい投手なので、そのへんは経験と共に吸収して行けそう。 (投球のまとめ) ピンポイントという精度の高さは感じないものの、おおよそ両サイドにボールを散らすことができている。そのため、四死球で自滅するような荒々しさはない。 また緩急を使ったり、縦の変化も交えるので、投球の引き出しは少なくない。見ていて単調だとか、奥行きの無さを感じることはなく、このままパワーアップしたら、非常に面白い存在になるだろうなという期待感は抱ける。 (投球フォーム) 今度は、投球フォームの観点から、彼の将来性を考えてみたい。 <広がる可能性> 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻を一塁側に落とせるフォームではありません。したがって腕の振りが緩まないカーブや縦に鋭く落ちるフォークのような球種は望み難いタイプ。それでもこういった球を結構使うので、将来的に見分けられないようなカーブが投げられるのか、しっかり狙って落とせるフォークまで修得できるのかは疑問が残ります。 ただ「着地」までの粘りはあるので、そういった球種よりもスライダーやチェンジアップ系の球を中心に、投球の幅を広げて行くことは期待できます。大きな変化よりも小さいな球速のある変化球で、勝負して行くタイプではないのでしょうか。 <ボールの支配> グラブは最後まで内に抱えられているので、両サイドへの投げ分けはまずまず。足の甲での押し付けは、まだ浅い気は致します。しかしボール自体上吊ることはないので、それほど悲観しなくても良いのでは。「球持ち」は、まだ現状並ですので、この辺が改善されてくると、もっと高い精度の制球力も期待できそうです。 <故障のリスク> お尻が落とせない割に、カーブやフォーク系の球を投げてくるので負担は少ないないでしょう。更に腕の角度にも無理な部分があり、テイクバックした時にも少し肩が後ろに入るなど、故障のリスクは低くありません。せっかくの高い資質を、故障で潰してしまう可能性も否定できず、故障には充分注意して取り組んで欲しいとおもいます。 <実戦的な術> 「着地」までの粘りも悪くないので、打者からタイミングが合わせやすいということはありません。体の「開き」も大きく胸を張って、ボールの出処もわかり難いはず。 角度をつけて振り下ろした腕は、体にしっかり絡んできます。まだ「体重移動」が充分ではないので、ボールに充分体重が乗せられているとはいえません。この辺が上手くできるようになると、ボールに球威が出てくるでしょうし、打者の手元まで活きた球が行くようになると思います。 (投球フォームのまとめ) 「着地」「開き」はまずまずで、「球持ち」「体重移動」は、発展途上です。しかしこの辺は、何かもっと良くなりそうな予感はさせてくれます。ただ無理のある投げ方故に、せっかくの才能を怪我で潰す可能性は否定できません。この辺は、本人も強く認識して、常日頃から体の手入れには充分注意を払って欲しいとおもいます。 (野球への姿勢) 野手としてもヒット連発で、とにかく一所懸命プレーする選手です。登板していた背番号2の選手にも、しきりに声をかけるなど、投げない時も試合に出来るだけ参加しようという意欲が感じられます。 ただ素振りも、そんな一所懸命バット振って腰大丈夫なの?と思うぐらいです。ただ投手が投球をしていても、自分の素振りに夢中になって、相手投手のモーションにタイミングをあわせるとか、相手を観察するという意識はないようです。また打席に入るときも、ラインを踏むように、所作に投手らしいきめ細やかさは感じません。性格的には、かなり大雑把なタイプなのではないのでしょうか。 (最後に) まだ現状、驚くようなボールを投げないこと。投手としては、少し大雑把な性格こと。更に故障で、せっかくの才能を潰しかねないことなどを考えると、夏までもう少しジックリ見てみたいかなと思います。 ただ、これからまだまだ伸びそうな奥行きのある素材。何事にも一所懸命な姿勢などを見ていると、春~夏までの更なる成長も期待できます。現状は、指名ボーダーレベルの力量ではありますが、6月ぐらいにグ~ンと伸びて来ると、高校からの指名も期待できますね。昨年の上沢 直之(専大松戸-日ハム6位)投手のような、高い将来性を期待したい、ナイスな素材でした。 蔵の評価:追跡級 (2012年 春季千葉大会) |