12dy-6
宮崎 駿(三重中京大)中堅 176/70 右/左 (福井工大福井出身) |
「強打が自慢の2番打者」
大学選手権では、8番打者。神宮大会では、2番打者として出場。一見俊足を生かした巧打者のイメージを持つが、大きな弧を描きながら、思いっきり振りぬく強打者。この選手の持ち味は、強くバットを振るスイングにある。
(守備・走塁面)
一塁までの塁間は、4.1秒前後と、俊足でも際立って速いわけではない。そのため盗塁などもできるが、けしてプロで足を売りにするような絶対的なスピード感は感じられない。ただシッカリ振り切ってからスタートを切るので、このタイムよりも早い走力がある可能性は高い。
通常塁間の目安となるのは、
3.9秒弱 プロで足を売りに出来るレベル
4.0秒前後 足を売りに出来るのかは走塁センスにもよるが、プロでも俊足の部類
4.2秒前後 スカウトが、プロの基準と判断するタイム
4.3秒以下 プロの基準以下となり、割り引いて考える
となる。ちなみに彼の走破タイムを、2012年度のドラフト指名された左打者のタイムで偏差値化すると、彼の走塁偏差値は 53 となる。平均より、やや速いといった程度となる。
むしろ彼の一番の武器は、中堅守備にあるのではないのだろうか。この俊足を生かし、広い守備範囲を誇ります。神宮大会でも前に落ちる球を滑り込んで好捕するなど、球際で強いキャッチングでアピール。プロのスカウトが指名しようと決断したのは、守備では充分やって行けると判断したからだと考えられます。
地肩に関しては、中~中の上レベルの強さはありそう。けして際立って強肩という印象はありませんが、肩が弱いという感じは致しません。
走力に関しては売りに出来るほどのものは感じませんでしたが、守備に関してはプロでも売りにできる領域まで到達できる可能性は感じます。一芸に秀でたものが何なのかと言えば、彼は間違いなく守備でしょう。
(打撃内容)
打撃は8番とか2番とか、けして打力の信頼が高い選手ではないことがわかります。しかし大学選手権では、松葉 貴大(大体大-オリックス1位)左腕から先制の本塁打を放ったり、思いっきりの良さが目立ちます。ツボに入れば、豪快な一発を叩き込みます。
<構え> ☆☆☆
前足を軽く引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合、両目で前を見据える姿勢・全体のバランスなどはまずまず。ただもう少し、構えに柔らかさみたいなものが出てくると好いかと思います。
<仕掛け> 早めの仕掛け
投手の重心が、下がり始める時に始動します。これは、典型的なアベレージヒッターが採用する仕掛けになります。
<足の運び> ☆☆☆
足を上げてから降ろすまでの「間」は取れているので、速球でも変化球でも幅広く合わせられます。ただ少し残念なのは、足を上げた時に膝を内に入れてしまうので、せっかくタイミングを合わせてもズレてしまうことがあります。
踏み込みは、真っ直ぐからベース側にインステップします。インステップするということは、外の球を意識しているということ。この選手の打球は、殆どセンターからライト方向に集中しており、外の球でも引っ張りにかかります。もう少し左方向への意識があると、打撃の幅も広がるのではないのでしょうか。また左打者の場合、右投手のクロスに食い込んで来る内角よりの球に対し、インステップすると窮屈になることが多く率が残しにくいこともあげられます。
踏み込んだ足元は、インパクトの際にブレません。外角の球を引っ張る傾向にありますが、これにより低めの球には上手く開きを我慢して合わせることができます。神宮大会の京都学園戦でも、低めの難しい球に上手く合わせてセンター前に打ち返したように、低めの球への対処は上手いはず。
<リストワーク> ☆☆☆
バットを早めに打撃の準備である「トップ」に近い位置に持ってきているのですが、そこから更に引くので少し遅れがち。振り出しは、上からミートポイントまで振り降ろして来るので、ボールを捉えるまでに大きなロスは感じられません。
ただボールを捉えるまでに大きな振り出しなので、懐にある程度余裕がないとボールが捌けません。そのため外角の厳しいところも引っ張り専門で引っ掛けることが多いだけでなく、内角の厳しい球を捌くのも窮屈なスイングだと言えるでしょう。
それでも大きな弧を描き、最後まで思い切って振りぬくので、ツボにハマれば文句なしにスタンドインできる爽快感があります。この選手のスイングは、プロで力負けするとか、そういったことは少ないのではないのでしょうか。
<軸> ☆☆☆☆
足の上げ下ろしも静かで、目線は大きくはブレません。身体の開きも我慢出来ていますし、軸足にも強さを感じます。イチローではないのですが、細身でもボールを遠くに飛ばせます。
(打撃のまとめ)
この選手の打撃は、緩急などのスピードへの変化には弱くありません。しかし外角の厳しい球に対しては、打球の方向が限られ捌き切れないこと。内角には、ある程度のスペースがないと窮屈だというコースによる対応に問題が。この課題を克服できるのかが、今後の大きなポイントです。
(最後に)
今年三重中京大の試合を、大学選手権・夏のオープン戦・神宮大会と生で三試合見ましたが、この選手を見てピンと来るものは感じられませんでした。
ネクストに入る時は、ラインをまたぐ意識があり細かい部分まで意識が行くタイプ。ただ足場の馴らしなどは平均的で、特別こだわりみたいなものは感じられません。実際試合を観ていても、もの凄く嫌らしいとか、甘い球を逃さない「鋭さ」があるとか、そういった特別なものも感じられません。
ただ守備という武器がありますし、スイングも思いっきりの良さがある。そういった意味では、ひょっとしてという可能性は感じれなくはありません。ただ個人的には、指名されるまで気に留めたことがない選手なので、指名リストに名前を載せる、そういった評価にはなりませんでした。
(2012年 神宮大会)
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