12dy-1+
高田 知季(亜細亜大)遊撃 175/65 右/左 (岡山理大附出身) |
「あんまり変わった感じはしないんだよな。」
今シーズンも 0本 2打点 5盗塁 打率.270厘 の数字の上でも、実際のプレーを観ても、それほど大きく変わったようには見えなかった 高田 知季 。東都リーグ屈指の守備力を持つと言われる、好守・巧打の遊撃手である。ただ数字が図抜けていないだけでなく、何処かボールを撫でるようなスイングを観ていると、ドラフト候補としてはどうかなぁという印象は、今春のリーグ戦を観ても変わらなかった。
(守備・走塁面)
物凄く最初の一歩目が鋭いとか、スピード感のある遊撃手ではありません。柔らかいボールへの入りとグラブ捌きを魅せるのですが、意外にエラーも多いタイプでした。しかし今シーズンは、11試合で失策0。遊撃手という難しいポジションで、この数字は高く評価できます。地肩も基準以上のものがありますし、守備に関しては上の下ぐらいにはプロのに混ぜても評価できます。少なくてもどのレベルの野球に混ぜても、二遊間を守らせられるタイプ。この守備こそが、彼の最大のアピールポイント。
一塁までの塁間は、4.1秒前後。この脚力も中の上レベルであり、今シーズンは5盗塁と走塁でアピールしようという意欲は感じられます。プロで足を売りにするほどの絶対的な脚力はありませんが、必要に応じて走る能力はあります。彼の走破タイムを、2012年度のドラフト指名された左打者のタイムで偏差値化すると、彼の走塁偏差値は 53 。プロでも、平均より少し早いことがわかります。
こうやってみると守備は上の下、走力は中の上はあります。ただ指名の有無を決定づけるのは、打撃になることがわかります。
(打撃内容)
冒頭に記した成績の通り、実際観ていても打撃に関しては、大きな変化は感じられません。昨年のフォームと比較して考えてみたいと思います。
<構え> ☆☆☆
前足を軽く引いて構えますが、昨秋に比べると少しグリップを高く添えられているように見えます。両目で前を見据える姿勢は良くなったのですが、腰の据わり具合や全体のバランスは、昨秋の構えの方が個人的には良かったと評価します。
<仕掛け> 平均的な仕掛け
それまで「遅すぎる仕掛け」を採用していたのを、投手の重心が下がりきったところで始動する「平均的な仕掛け」へと変えてきました。これは、ある程度の対応力と長打力を兼ね備えた中距離打者の始動です。実際の打撃スタイルを見る限りは、アベレージヒッターだと思いますが。
<足の運び> ☆☆☆☆
足を上げてから降ろすまでの「間」が取れるようになり、速球でも変化球でも合わせられる打ち方に変わってきました。ベース側にしっかりインステップし、踏み込んだ足もともブレないので、外の球でもきっちり捌ける打ち方です。ただインステップする分、やや内角が窮屈になります。左打者インステップすると、率は残し難くなります。
<リストワーク> ☆☆☆
打撃の準備である「トップ」を作るのは平均的で、上からロスなくボールを捉えられます。またボールを捉える時も、バットの先端であるヘッドを立てるように振れており、ボールを上手くフェアゾーンに落とします。
ただ合わせるのに終始したスイングであり、何かボールを撫でるような弱々しいスイングです。当てるのは上手いのですが、強く叩けない。ここが、彼があまり変わって見えなかった最大の要因だと考えられます。
<軸> ☆☆☆☆
足の上げ下げが静かで、目線が動かずに安定しています。身体の開きを我慢できていますし、軸足にも粘りが感じられます。軸の安定は、以前同様に良いものがあります。
(打撃フォームのまとめ)
始動のタイミングを変えたりと、何とか今の自分の打撃を変えようと、努力をした跡は感じられます。しかしそれが、まだ充分結果となって現れていない。また最大の課題であった弱々しいスイングは、未だ改善できておらず。そのへんがプロと考えると厳しい気がします。
(最後に)
元々定評のあった遊撃守備に、安定感が備わってきた。走塁でも、足をアピールしようと5盗塁を記録。打撃でも、現状打破に挑んだ姿勢は評価したい。
しかし、まだ打撃でその成果は現れておらず、課題であるボールを撫でてしまうようなスイングでは、プロは厳しいのではないのだろうか。更に志しを高く持って、社会人を経た2年後に期待してみたい。現状に満足せず向上心を持ち続けて行けば、いつか華開く時が来るであろう。
(2012年 大学選手権)
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