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川崎 成晃(24歳・熊本ゴールデンラークス)外野 180/83 右/右 |
「三拍子揃ったアスリートタイプ」 スラッとした体型で、いかにも運動神経が良さそうでバネのありそうな選手です。福岡大時代から、何度ともなく見てきた選手ですが、何かピンと来るものがありませんでした。その理由はなんなのか考えてみたいと思います。ただ調べたところ、今年は一度も観戦していないことが判明。そのため参考にしているのは昨年のもので、今年大きく資質を伸ばしている可能性は否定できない。したがって具体的な評価づけはできないことは、あらかじめご了承ください。 30分27秒ぐらい~30分41秒ぐらいまで (走塁面) 一塁までの到達タイムは、4.25秒強ぐらい。これを左打者に換算すると3.95秒ぐらいに相当し、かなりの俊足選手であることがわかる。通常塁間の目安となるのは、 3.9秒弱 プロで足を売りに出来るレベル 4.0秒前後 足を売りに出来るのかは走塁センスにもよるが、プロでも俊足の部類 4.2秒前後 スカウトが、プロの基準と判断するタイム 4.3秒以下 プロの基準以下となり、割り引いて考える となる。上記の数字は、左打者の目安であり、通常右打者の場合、タイムから、0.3秒を引くと、同等の走力が計測することが出来る。ただし、セーフティバントや左打者が一二塁間に引っ張ったような、最初から一歩目のスタートをきっているような場合は、参考資料とはならない。 彼が社会人1年の成績が、82打席で6盗塁と言う成績が残っている。これをプロの規定打席である446打席に置き換えると、年間32.6盗塁に相当すると言うのだから、かなり盗塁のできる選手であることがわかる。プロの環境に馴れれば、年間20盗塁弱ぐらいは期待できるかもしれない。 (守備面) 俊足を活かした広い守備範囲が自慢です。打球への勘・キャッチングも悪くなさそうで、プロレベルでも中堅を担うだけの能力はありそうです。スローイングに関しては、物凄い強肩ではありませんが、中の上レベルの肩はあると思います。次の動作への移行もまずまずで、この点も大きな問題はありません。 こと守備・走力に関しては、プロの一軍でも起用できるレベルにあり、この点で大きく見劣ることはないかと思います。ただ売りにできる程の絶対的なものかと言われると、プロレベルになると微妙です。 (打撃スタイル) 鋭いヘッドスピードが特徴で、ツボにはまればスタンドインできるパンチ力も秘めます。08年度の成績では、82打席で3本塁打ですから、プロの規定打席で計算すると、年間16.3本ペースで打っている計算になり、イメージしやすいのではないのでしょうか。昨年の都市対抗では、沖縄電力に補強され、一番・中堅手として出場し、2安打を放ちました。内角の球を強引に巻き込む一方、外の球を追っつけることもできる選手です。鋭く野手の間を抜いてゆく打球だけでなく、ボールに食らいつくようなしぶとさも併せ持ちます。 (打撃フォーム) 昨年の都市対抗の時のフォームを参考にしながら、打撃フォームを考えてみたいと思います。上記の動画が、もし今年のものであれば、打撃フォームはそんなに変わっていないものと思われます。 <構え> ☆☆☆ スクエアスタンスで、少しグリップを下げ気味に添えます。腰の据わりはよく、全体のバランス・両目で前を見据える姿勢は並みくらい。ただ構え時に、あまり体を動かさないで構えるので、少し固い印象を受けます。打席でもう少し、リラックスを心がけられると好いと思います。 <仕掛け> 遅めの仕掛け 投手の重心が沈みきった後、前に体重移動をする段階での始動 多くのスラッガーが、この仕掛けを採用している。始動~ボールが到達するまでに時間がないので、狙い球を絞って叩くような打者でないと、上手く扱うことが出来ない。ボールをぎりぎりまで手元まで引きつけて、最大限のインパクトをぶつけるので、それだけ破壊力も大きくなる。これには、強靱なヘッドスピードや筋力が求められるので、大概は長距離打者が多い。 ただ状況に応じて、瞬時に判断することが求められる二番打者タイプにも、この段階での仕掛けを採用する選手が多いことも覚えておきたい。ただそういった打者は、非常にヘッドスピードが鋭いはずだ。 <下半身> ☆☆☆ 足を軽く上げまわしこんで、ベース側にインステップして踏み込んできます。足をあげてから地面を捉えるまでの「間」が短いことからも、様々な変化に対応できるタイプと言うよりは、あらかじめ狙い球を絞って、ボールよ~く手元まで引きつけて叩くタイプです。 ベース側にインステップして来るように、外の球を強く叩こうと言う意識が感じられます。ただ腰の逃げ自体は早いので、内角の球をクルッと腰の回転を活かして捌くのも得意なはずです。踏み込んだ足元もブレずにスイングできるので、しっかり捉えられれば打ち損じは少ないタイプかと思います。問題は、ボールを捉えるまでの技術だと言えそうです。 <上半身> ☆☆☆ 少しバットを引くのが遅れ気味で、打撃の準備段階である「トップ」を作るのが遅れます。と言うかトップをあまりしっかり作れないまま振り出すタイプです。またバットの振り出しからボールを捉えるまでのスイング軌道にもロスがあり、最短距離でスパンと振り下ろすタイプではありません。ボールを捉えるまでのスイングに課題を残します。 少し体からバットが離れて振り出されるのですが、バットの先端が下がらないようにヘッドを立てることで、ドアスイングになるのを防ぎます。ボールを捉える時に広い面でボールを捉えられており、フェアゾーンにボールを落とす確率は悪くないと思います。スイング後半は、ヘッドを立てながらのスイング軌道とインステップしながら足元がブレずに捌く下半身で、体の開を抑えこみます。このスイング軌道を見る限り、ボールを遠くに運ぶタイプではないように思えます。それでも長打を生むのは、内角の球を強引に巻き込む打撃であったり、彼自身の身体が強いからかもしれません。 <軸> ☆☆☆☆ 頭の動きはそれほど大きくなく、目線のブレが比較的少ないフォームだと思います。身体の開きも我慢でき、軸足も安定しているなど、比較的波の少ない安定した打撃が期待できるタイプではないのでしょうか。 (打撃のまとめ) ヘッドスピードが鋭く、スイングにひ弱さはありません。そういった鋭さ・強さと言う意味では、プロの基準を満たしていると言えそうです。またボールに食らいつく姿勢・野球への意識は高そうな選手であり、そういったこだわりは感じられる選手です。その点でも評価に値するプレーヤーだと思います。 ただボールを捉えるまでの技術に課題があり、素材としても少し脆いというか固い部分が感じられ、この辺が今年改善されたのかが気になります。昨年指名されずに3年目の今年指名されたことからも、その部分での成長が見られたのかもしれません。ただ昨年までの印象だと、打撃では少々プロの打者としては物足りないかなと言う気は致しました。 楽天 (最後に) 少々脆い打撃が、どこまで改善できているのかがポイントです。ただ野球への意識、プレーへのこだわりは感じられる選手であり、その辺の技術で劣る部分を補って行けそうな+αは期待できそうです。 また守備・走力のレベルもある選手なので、打撃が多少悪くても、潰しの効く部分はあります。ただプロの一軍を想定すると、打撃に物足りなさがあることは否めません。年齢は若くはありませんが、1,2年ファームで鍛えてからと言うことになるのではないのでしょうか。 昨年までのプレーを観ている限りは、指名されるほどの選手と言うインパクトには欠けておりました。この一年でどの程度成長したのか気になるところです。カベにぶち当たっても、それを乗り越えて行ける精神的な強さはある選手だけに、更なる成長を期待せずにはいられないナイスガイです。 この記事が参考になったという方は、ぜひ! (2009年・都市対抗) |