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山口 祥吾(立花学園)投手 177/72 左/左 |
「地元でも知らなかった投手。」 正直ロッテに育成枠で指名されるまで、地元神奈川の私でも、この選手を知らなかったほど、ドラフト戦線で名前のあがることのなかった選手、それがこの 山口 祥吾 。育成枠を活かした、全く無名の左腕が、今プロの門を叩こうとしている 私が確認できたのは、この夏の鎌倉学園戦。この日の彼は、非常に調子が悪かったそうで、コールド負けで高校生活最後の試合となった。 (投球内容) 足の歩幅は狭めにとり、ノーワインドアップから、ゆっくりジワー~と足を引き上げて来る感じの、オーソドックスなフォーム。ただセットポジションになると、身体が突っ込んでバランスを崩すことが多い。ただピンチでも、顔色は変えることなく、冷静に投げ込んで来る。 ストレート 目測だと常時125~130キロ強ぐらいで、MAXで135キロ出るか出ないかぐらいの投手だと言う感じがする。これと言って球が切れるとか伸びがあるとか、球威や勢いを感じさせるストレートではない。左腕から投げ込む、普通の高校生の球と言った印象は否めない。 変化球 カーブ・スライダー・カットボール 左腕らしい大きなカーブ・ストレートが微妙にスライド回転するカットボール・それに両球種の中間に位置するが、あまり大きな意味を持たないスライダーで投球を組み立てられている。格別変化球のキレ・ブレーキにも特徴はなく、高校生のそれと言った感じは否めない。 その他 牽制は、それなり鋭い。フィールディングの動きも基準以上。ただクィックは上手くなく、1.3秒台前後。ただ左腕だけに、一塁走者の動きは目線に入りやすいので、それほど悲観することはなさそうだ。 制球は、大まかに両サイドに投げ別けて来ると言った程度。時々甘く入って来る球を痛打されていた。マウンド捌きは淡々としてよどみないが、試合をまとめるセンス・制球に特に光るものは感じられない。 <右打者に対して> ☆☆ 両サイドにストレートとカーブを投げ別けつつ、カットボールやスライダーを織り交ぜると言う投球スタイル。特にストライクゾーンの枠の中に投げ込むといった感じの投球で、時々真ん中近辺に甘く入ってくる。特に打者の空振りを誘うような、際だつ球種は見当たらない。 <左打者に対して> ☆☆ 右打者同様に、両サイドに速球と変化球を投げ別ける投球スタイル。オーソドックスなフォームのため、それほど左対左の有利さはないようで、左打者からも苦になく振り抜かれる場面が目立った。 (投球のまとめ) 現状、球威・球速もドラフト候補としては並以下で、特に優れた球種・フォーム・制球力・投球術も感じられない普通の左腕との印象。特別素材としての奥行きや柔軟さを感じさせる素材でもなく、打者に思いっきり振り抜かれていたのは気になった。これでは、高校生としては悪くない投手と言った印象しか残らない。あえてこの選手を育成枠で選んだ理由が、この試合を見る限り私にはよくわからなかった。 (投球フォーム) 実際の投球からだけでは、この選手の良さがわからなかったので、今度は投球フォームの観点から考えてみたい。 お尻を三塁側(左投手の場合)に落とせるタイプではないので、将来的に見分けの難しいカーブや縦の変化球を武器にするのは難しいかもしれません。 腕の角度の割には、無理に引き上げている感じはしないので、身体への負担は少なそうです。グラブも最後まで身体の近くにはありますので、両サイドへの投げ別けはそれなり。足の甲での押しつけも悪くなく、低めに球が押し込める可能性も充分あります。身体ができたときに、どの程度制球が安定するのか楽しみです。 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」の観点でも、どれかに秀でているところはないのですが、逆にどの部分にも大きな欠点はありません。特徴に欠けるきらいはありますが、素直に肉付けできそうな投手です。 腕の振り方に大きな問題はありませんが、まだ強く振るだけの筋力が足りません。またけして「体重移動」が悪いフォームではないのですが、もっと体重を前に乗せることができると、ボールにも勢いが出てきそうです。 (投球フォームのまとめ) 特にこれと言った特徴はありませんが、その変わりに大きな欠点もありません。これから筋力が伴い伸びて来ると、素直にそれが結果となって現れてきそうです。 楽天 (最後に) 実際細かく見てみても、何に将来性を見出して指名することになったのかは残念ながらわかりませんでした。ただ大きな特徴がない変わりに、大きな欠点も見当たりません。現状まだまだではありますが、素直に肉体の成長が結果となって現れるタイプだと思います。 野球への姿勢は良い選手ですし、投手としての破綻もありません。そういった意味では、貴重な左腕でもありますし、何処かで化けてくれると嬉しいのですが・・・。ただ育成枠とはいえ、まだまだ旬ではありません。プロとの圧倒的なレベル差に、自信を失うことなく、野球に取り組んで頂きたいと思います。ただ個人的には、大学に進んでからプロ入りを目指して欲しいと思いました。 この記事が参考になったという方は、ぜひ! (2010年・夏) |