10kp-31
星野 大地(岡山・岡山東商)投手 179/78 右/右 |
鋭く振り下ろされる腕の振りの速さ・ズシリとミットに突き刺さるボールの勢いと球威は、明らかに今年見た高校生では、NO.1の馬力の持ち主。それが、今回ご紹介する 星野 大地 だ。 星野は、元々捕手だったと記憶するが、この日は7回から登板する。代わった初回こそ135~後半程度だったが、明らかにミット音が他の選手とは違う。肩が温まってきた2イニング目からは、コンスタントに140~MAX91マイル(145.6キロ)まで記録。圧倒的な馬力を、我々に見せつけた。 (投球内容) 如何にも元捕手だったと言う感じの、荒っぽい投げ方。そこからズシリと重い速球に加え、カーブ・スライダー・フォークなど、一通りの球種がある。変化球の精度・曲がりはそれほどでもなくても、腕の振りが好いので、その効果は大きい。ストレートで押しながら、勝負どころで変化球で三振が奪える投手なのだ。 ポンポンとストライクを先行できる時は良いが、本当の制球力がある投手ではなさそうだったので、その辺が不安かなと思って帰宅した。その不安が的中したのは、彼の投打の活躍して勝利した次の試合。今度は、その脆さを露呈して敗れたと言う。素材の持つポテンシャルの高さを持つ一方で、その裏には、まだまだ不安定がつきまとう危うい素材といった印象は否めない。 (投球フォーム) 実際投球フォームを見て、この選手の今後の可能性を考えてみたい。少々軸足一本で立ったときに、膝に力みが感じられ、少し前に突っ込みぎみに立っているのが気になる。ただお尻は、一塁側に落とせるフォームなので、将来的に見分けの難しいカーブや、縦に鋭く落ちるフォークなどに磨きをかけることは期待できそう。 グラブをしっかり内に抱えることで、両サイドへの制球は安定。「球持ち」も想像以上によく、投げ終わったあとのバランスも悪くないので、一見力任せのフォームと思いきや、制球力に破綻はない。 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」のすべての観点において、基準~それ以上のものを持っており、土台となる投球フォームに加え、力強さ・躍動感を持っている。 少々投球フォーム全体に力が入りすぎている感は否めないが、ジワ~と足を引き上げて行くフォームからも、単調に力任せで抑え込む、単なる力投派とは違うようだ。投球フォームの観点からみれば、かなりレベルの高い土台があり、その上で高校生離れした、馬力を兼ね備えた逸材だと見て好いだろう。 (今後に向けて) この夏のアピール次第ではあるが、破格の球威・球速からも、高校からプロに入って不思議ではない投手だろう。個人的には、多少ラフな投球スタイルに、かなり時間のかかる素材かなと思いきや、その不安を土台の好いフォームが払拭してくれている。 上位指名でプロとは言わないが、中位~下位指名ならば、ぜひ指名してみたい。そういった破格のパワーをこの投手は秘めている。それほどここまで高校生を見られてはいないが、馬力・爆発力と言う意味では、今年見た中では、NO.1ではないのだろうか。 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) (2010年・春季中国大会) |