10dy-4
柳田 悠岐(広島経済大)中堅 187/85 右/左 (広島商出身) |
「何か大事なものが・・・」 5季節連続ベストナインにも輝き、昨秋は首位打者を獲得。180センチ台後半の体格ながら、三拍子揃った圧倒的なポテンシャルを秘めた大型野手・それがこの 柳田 悠岐 だ! (どんな選手?) けして長距離砲ではないが、恵まれた体格を活かして強い打球で野手の間を抜けて行く。隙あらば盗塁を試み、守っては強肩。まさに三拍子揃った、プロ垂涎の素材だと言えよう。 (守備・走塁面) 一塁までの塁間は、4.1秒強ぐらい。しかし実際には、ベースまで勢いを緩めていることも多く、もっと速く走り抜けられる能力はあるのかもしれない。通常塁間の目安となるのは、 3.9秒弱 プロで足を売りに出来るレベル 4.0秒前後 足を売りに出来るのかは走塁センスにもよるが、プロでも俊足の部類 4.2秒前後 スカウトが、プロの基準と判断するタイム 4.3秒以下 プロの基準以下となり、割り引いて考える となる。彼の場合、塁に出ればすかさず盗塁を試みる積極性はある。プロでも俊足の部類だとは思うが、売りにできるほどかは微妙。本人に、投手の癖を盗むセンスなどがあるかなどにかかって来るが、彼の場合そういった洞察力には欠ける気がする。 中堅手として守備力は、可も不可もなしと言った感じ。ただ外野からの返球は一級品で、ランナーの進塁を完全に封じるだけの地肩・スローイングができるのは確か。プロでも肩を売りにできるレベルにはありそうだ。打球への勘・キャッチングなどにはそれほど関心しなかったが、ことスローイングに関してはA級の素材だろう。これだけは、プロでも教えられない天性の才能だ。 (打撃内容) スイングに関しては、思いっきりバットが振れるし、ヘッドスピード・打球の速さも充分にプロの基準を満たしている。ただ何処か脆いと言うか、硬い印象は否めない。ただそうかと言って、長打を売りにするタイプではなく、あくまでも野手の間を抜けて行くタイプの好打者なのだ。 (打撃フォーム) <構え> ☆☆☆ スクエアスタンスで両足を揃え、グリップの高さは平均的。腰の据わり・全体のバランスも並で、両目で前をしっかり見据えられているのは良い。ただ身体を揺らぐなどして、自分のリズムを刻めない選手なので、何処か脆い・硬いと言う印象は否めない。 <仕掛け> 平均的な仕掛け 投手の重心が下がってきて底に到達したときに始動 これが、最も平均的なタイミングでの始動となる。このスタイルは、ある程度の対応力と長打力をバランス良く兼ね備える万能型。主に中距離打者や打点を多く稼ぎたいポイントゲッターが多く採用するスタイルだ。ただ一見完璧そうに見えるこのスタイルも、実はアベレージ打者なのか、長距離打者なのか、どっちともつかずの特徴の見えにくいタイプ。個性のない打者の多くが、このスタイルを採用しているケースが多い。 <下半身> ☆☆ 足をしっかり引き上げ、降ろして来る。この選手の場合、足を引き上げてから降ろすまでの時間はあるのだが、「間」を稼いでタイミングを図ると言うよりは、強く踏み込むことを重視したスタイル。そのため対応力は、それほど高くない。 足をしっかり踏み込んだ上に、ベース側にインステップして踏み込むなど、外の球でも強く叩こうと言う意識は感じられる。その分内角が窮屈になる弊害もあるが、左中間方向に流すことは苦にしない。ただ少し残念なのは、踏み込んだ足下がブレてしまうことが多く、打ち損じが多いこと。この辺も脆い要因の一つではないのだろうか?いずれにしても、どんな球でも対応しようと言うよりは、打てる球を強く叩くと言うタイプの打者なのだろう。 <上半身> ☆☆☆ 打撃の準備段階である「トップ」を作るのは遅くない。ボールを上から叩く意識もあるので、ボールを捉えるまでにも大きなロスは感じられない。ただ大型野手なのだが、スイングの弧は小さく、ボールを運ぶと言うよりは、コンパクトに身体の強さを活かして鋭い打球を生み出すタイプなのだろう。 <軸> ☆☆☆ 頭の動きは小さく、目線はブレ難い。ただ踏み込んだ足下が我慢できないので、開きを充分を抑えられない。軸足には、強い打球を放つだけの強さは感じられるのだが・・・。 (打撃のまとめ) 強い打球を放つだけの、身体の「強さ」は持っている。ただボールを捉えるセンス・ボールを見極める選球眼などは、さほど優れているようには見えない。技術的にも、可も不可もなしと言った感じで特別なものは感じられなかった。プロでは、その対応力がネックになって、大成できないかもしれない。ただその時に、守備・走力で補うだけの身体能力を秘めているところは、この選手の救いとなるだろう。 楽天 (最後に) 確かにこの体格で、これだけ動けて守れる身体能力は、まさにプロの素材だと言えよう。ただ私が気になったのは、ツーアウト三塁と言う場面において、大きなリードを取り、牽制でアウトになった場面だ。試合も緊迫していた上に、ツーアウトで三塁にいるランナーが、牽制で刺されると言うのはどういうことか?ホームスチールでも狙っていたのだろうか?いずれにしても、このプレーが、彼のすべてを物語っている気がしてならないのだ。 確かに非凡な肉体のポテンシャルは秘めているものの、そういった野球頭脳・プレーへの姿勢や意欲、野球センスなどが、この選手は欠如している気がしてならない。また打撃の脆さも、将来的に大きなネックになりそう。ただ打撃以外でも、それを補って行ける守備・走力のポテンシャルはあるので、その点を考慮して指名リストには、名前を記してみたい。 蔵の評価:☆ (下位指名級) この記事が参考になったという方は、ぜひ! (2010年 大学選手権) |