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岩見 優輝(23歳・大阪ガス)投手 176/76 左/左 (熊本工-亜大出身) |
「復調気味ではあるのが・・・」 指名確実だった大学時代を経て、社会人・大阪ガスに進んだ 岩見 優輝 。昨年は、制球を乱すなど、大学時代よりも劣化した印象だったが、ここに来て少し復調気味な感じがする。大学時代、大学・社会人NO.1左腕として、ドラフト上位候補だった評価を、今少しずつ取り戻しつつあるようだ。 (投球スタイル) 熊本工業時代は、サイドハンド。亜大時代ぐらいから、肘をテイクバックの時にしっかり上げて投げるスリークオーターに変更。そして球速が上がり、一躍ドラフト候補として注目されるようになる。そして社会人では、打ちにくさを追求した変則左腕への変貌。今は、打者に正対することを極力遅らせ、小さなテイクバックで投げ込む独特のフォームを作り出すに至った。昨年の不調は、まさにその進化の過程だったとは言えないだろうか。 ストレート 130キロ台後半~MAX144キロ 驚くような球威・球速はないものの、独特のテイクバックから繰り出されるキレと勢いのある速球を投げ込んで来る。まさにこのストレート中心で押して来るのが、今の岩見の投球スタイル。 変化球 スライダー・フォーク・チェンジアップ 今は、圧倒的にストレート中心で、たまにスライダーなどを織り交ぜて来る感じ。フォークやチェンジアップと言う球種は、ほとんど投球において大きなウエートを占めていない。それだけ絶対的な変化球はなくなり、投球は単調および決め手に欠ける印象は否めない。三振の多くは、変化球ではなくストレートで奪っているのが現状。 その他 元々牽制をする時は、腕を下げて投げるタイプであまり上手くありませんでした。ただクィックは、1.15~1.25秒前後で投げ込めるようになり、大学時代は下手だったのが、だいぶ克服しつつあります。フィールディングは素早く、動きの良さが目立ちます。特に一塁までのベースカバーも早く、器用なタイプではありませんが、動作自体は素早いタイプだと思います。 高校時代は実戦型のタイプで、マウンド捌き・試合をまとめるセンスは好かったです。しかし年々、ストレートに頼ったスタイルになり、むしろ荒々しいタイプに変わってきました。今は、試合を組み立てると言うよりは、リリーフでキレが鈍るまで好投するタイプではないかと思います。 <右打者に対して> ☆☆☆ 右打者に対しては、主にアウトコース高めのゾーンでカウントを整えます。また時々外角低めにも、球が行きます。内角を突く球は、胸元ではなく膝元より低めに行くのが、この投手の大きな特徴。都市対抗では、リリーフでの登板と言うこともあり、投球の殆どはストレートでした。 変化球は殆ど見られなかったのですが、両サイドに球は散っており、甘い球は多くありません。四球で自滅するケースはありますが、ストライクゾーンに甘く入るわけではない。これは、むしろ制球を狙いすぎて、逆効果になることが多いからかもしれません。 <左打者に対して> ☆☆☆ 両サイドに、球を投げ別けることができます。またここでも、速球以外の球はほとんど見られず、たまにフォークなどが見られた程度。ただ微妙にツーシームなり、カットなど手元で変化をつける球を使い分けている可能性は残ります。 甘いところには行かないものの、変化に乏しく、決め手に欠ける。これは、右打者にも左打者にも共通した課題です。 (投球のまとめ) 打たれて炎上と言うよりは、四死球で自滅すると言うパターンの方が、多いタイプなのかもしれません。そういった意味では、球種不足・本当の意味での制球力には、まだまだ不安を残すのは確かです。ただこの投手、単にフォームのバランスを崩しているのではなく、意図的にフォームをいじることで、制球が乱れるようになってしまったと言う感じで、この辺のことについては、次のフォーム編で詳しく触れてみたいと思います。 (投球フォーム) 引き上げた足を極端に二塁側に送り込んで捻りるので、お尻の三塁側の落としは甘くなります。そのため見分けの難しいカーブや縦の変化などは、どうしても鈍ってしまいます。ここまで、足を送らないと行けないのでしょうか? グラブをしっかり内に抱えられているので、両サイドの投げ別けはできている。足の甲でも地面を押しつけられていて、低めに行く球も少ない。更に「球持ち」自体も悪くない。それなのに何故、制球力が悪いのか?それは考えるに、「開き」を遅らせることを意識し過ぎて、打者への正対するのを恐れ、あまりに身体の捻りを加え過ぎているからだろう。そして着地までに、捕手方向に真っ直ぐからだが向いていないからではないのだろうか?そう考えると、腰の捻りを幾分緩和させることで、制球が改善される可能性は秘めていると考える。 投球の4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」の観点で見た場合、「体重移動」こそ並ではあるが、あとの部分はしっかりできており、かなり打ちにくいフォームであることは間違いない。すなわち制球さえ改善されれば、打者はタイミングが合わせにくいフォームだと言うこと。少し打たれないように、打たれないことを重視し過ぎないで、もう少しボールしっかりコントロールすることを重視すべきではないのだろうか? (投球フォームのまとめ) 徹底的に、打者に嫌がられるフォームを追求するうちに、バランスを崩していた感じがする。それでも理想のフォームを追求する段階で、少しずつそのバランスを修正しつつあるのが現在。それをもう少し上手く矯正できれば、もっと制球などは改善されると考える。まだこの投手は、変化の過程の中にいると捉えたい。 (最後に) こうやってこの選手を長きに渡って見てくると、大学時代指名濃厚な立場でありながら、プロ入りをしなかったのもなんとなくわかってくる。大学時代は、球威・球速をUPさせ、社会人では打ちにくい実戦的なフォームを追求してきた。しかしまだ、制球力を両立させるというところにまでは至っていない。 現状の制球力・決め手の無さなどを考えると、プロの即戦力としては計算しずらいのは確か。しかし、この特殊なメカニズムのフォームの矯正を、アマでもう一年残って完成させるのか、プロの高い指導者と協力しながら高めて行くのかの選択は難しい判断となる。 ただ理由無く調子を崩したのではなく、彼の中にはいろいろと目指すべきものがあり、それによって結果が変わってきた2年間だったのではないのか。そういった問題意識を考え、計画を持って努力できる才能は、彼がプロの世界で大成する一つの要素として評価してみたい。 ただ今「旬」なのかと言われれば、NO.であると言うこと。それでも力量的にはプロに入るべきレベルには達しており、更に自分をより高めるための環境が何処にあると考えるかで、今後の進路は変わって来るだろう。アマの2年間で出来なかったことを、あえてプロの環境に託すと言う選択も、私にはありだと考える。ただこの選手が大成するためには、かなり指導者やバックアップする環境・周りの理解などの条件が揃わないと、難しいのかなと私は考える。ただ変化を恐れず前向きに取り組む姿勢を評価して、今後の飛躍を期待してみたい。即戦力とは考えづらいが、意外に短期間で大化けするかもしれない。ひょっとして「岩瀬(中日)二世」」は、この男かもしれない! 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) この記事が参考になったという方は、ぜひ! (2010年・都市対抗) |
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岩見 優輝(22歳・大阪ガス)投手 176/76 左/左 (熊本工-亜大出身) |
(どんな選手?) 熊本工業時代には、甲子園湧かしたサウスポー。亜細亜大進学直後も登板しておりましたが、故障などで投げられない時期が続き、頭角を現したのは3年秋ぐらいから。4年になり大学屈指のサウスポーと評価されましたが、プロ入りを回避して社会人の門を叩きました。都市対抗では、ルーキーながら強豪・日産戦で先発を任されました。 (投球内容) もう少し速球も変化球もキレるタイプだと思っておりましたが、一年ぶりに見た岩見は、かなり球威のある球を投げるようになっておりました。そのため手元でピュッと切れる感じではなくなっておりますが、高めのストレートには力があります。球速は、130キロ台後半~MAX141キロぐらい。球速以上に、球には力強さは感じられます。 変化球は、スライダーとのコンビネーション。それほど際だつキレはありませんが、カウントを稼ぐには大切な球です。その他では、スクリュー系の球もあるようですが、殆どはスライダーと速球です。ただ気になるのは、かなり速球を中心に制球がバラツキが目立っていた点。そのためボールが先行し、苦しい投球の中、なんとか凌いでいたと言う印象でした。 少し肘を下げて投げる牽制には、それほど鋭さは感じません。またクィックも1.3~1.4秒ぐらいと遅く、左投手で走者が見えることもありますが、あまり上手くありません。ただフィールディングの動きは素早く、この点では優れていると思います。 高校時代などは、試合をまとめるのが上手い、マウンド捌きに優れた実戦的な左腕でした。大学時代ぐらいから、球速を増したことで、三振を奪えるタイプに成長。しかし、この試合を見る限り、制球に苦しむなど、投球センスなどには、少々不安を感じさせる内容でした。 (今後は) 指名確実だった大学時代も、リリーフなら面白いと言うタイプだったので、先発だとあまり持ち味が出ないタイプなのかなと思いました。来年再び解禁を迎えるにあたり、当然春先からドラフト候補として注目される存在だと思います。 ただそれに似合っただけの、実戦力を兼ね備えているのか注目されることでしょう。素材は完全にプロ級ですが、真の即戦力として期待されるためには、チームでも信頼される存在であること、そして確かな実績を残すことです。その点に注目して、来年も見守りたい投手でした。 (2009年・都市対抗) |
岩見 優輝(亜細亜大)投手 176/66 左/左(熊本工出身) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
「大学・社会人でNO.1だと思ったんだが・・・」 昨秋、今春のリーグ戦などを見てきて、2008年度の大学・社会人左腕では、NO.1ではないのか?と云う評価をしていた岩見 優輝 。そう以前から書いていたら、今やドラフト指名の有力な最上位候補の一人として注目されるようになってきた。 その後、世界大学選手権の選考試合で彼の登板を観戦。春の東洋大との激戦で、その時は調子落ち。秋のリーグ戦・青学との一回戦では、早々K.Oされて、調子が心配された。しかし私の観戦した青学との3回戦では、見事リベンジを果たす完封での勝利となった。 (投球スタイル) 独特のテイクバックを取って来る変則左腕です。そのためタイミングが取りにくいと云うのが、彼の一つの持ち味になっております。またテンポよくポンポンとリズム感よく投げ込んで来るのが、この投手の大きな特徴になります。 ストレート 130キロ台後半~MAX144キロ 左腕らしくキレのある球が、彼の最大の持ち味。ピュッとキレている時は、相手の空振りを誘えます。高校時代のような球の軽さもかなりなくなり、キレがありながら水準を満たす球威も兼ね備える珍しいタイプです。 スライダー 130キロ前後 高速で、思わずストレートと間違えて振ってしまうのが、彼のスライダーです。この球でカウントを整えたりと、投球の多くは、この球と速球のコンビネーションで構成されます。 シュート系 この日の試合では、春まで確認出来ていたスクリューらしいスクリューは陰を潜めておりました。その変わりツーシーム風の135キロぐらいのシュートなどを投げ込んでおりました。一応120キロ強のスクリューもあるのですが、投球の幅を広げる程度の働きは期待出来ますが、絶対的な武器かと云われると疑問を感じました。 その他 左腕らしく牽制も下手ではないですし、マウンドを素早く駆け下り、ボールを処理する姿などは、やはり野手顔負けのフィールディングの高さを感じます。またクィックも1.05~1.2秒弱と基準である1.2秒を上回るものがあります。 元々熊本工で甲子園を沸かしただけの投手だけあって、マウンド度胸があり、試合をまとめるセンスも悪くないと思います。 <右打者に対して> ☆☆☆ 右打者のアウトコースに、速球とシュート系(ツーシームやスクリューなど)の球を集め投球を組み立てます。内角もインハイを中心に厳しく突くことが、この投手の大きな特徴。 ただ球が高めに浮いたり、甘いゾーンに来ることもある。カーブのような緩い球で緩急を使ったり、勝負どころで空振りを取れるような縦の変化がないなど、何処か投球が一辺倒な印象も受ける。 <左打者に対して> ☆☆☆ 腕の振りを縦軌道に変えつつあるので、それほど左対左の背中越しから来るような球筋は、陰を潜めつつある。左打者に対しては、アウトコースに速球とスライダーのコンビネーション。高めに甘く浮いた球を打たれるケースが多い。 やはり緩急・縦の変化がなく、投球が一辺倒な印象は否めない。また制球力も枠の中に球を集めると云うことが主眼で、枠の外を使った幅広い投球が出来ていないのが気になる。 (投球のまとめ) 緩急・縦系の習得などの攻めのバリエーションを増すのが、今後の課題。制球力も、枠の中に球を集めることには苦労しないが、枠の外を生かしたり、枠の中での投げ別ける制球力には課題を残す内容。そういった意味では、真の即戦力になり得るかは、この投球を見る限り微妙だろう。 (リーグ戦実績)
1年春は、亜大の不祥事発覚で学校自体が活動停止になった経験をし、1年秋は、2部を経験。ようやく一部に昇格し、神宮のマウンドを経験するも一部の壁にぶつかった。その後故障などで、1年近く棒に振る。 一年のブランクを経て戻ってきた昨秋のリーグ戦。体つきが偉く逞しくなっていたことが印象的だった。故障の間も身体を鍛えてきたことが伺えた。最終学年になり、エースへ成長。東洋大との優勝争いにこそ敗れたが、学生球界を代表する左腕として、プロからも高い評価をされることとなった。 ここで、いつものように過去残してきた実績から、プロへの可能性を模索してみたい。 1、奪三振 ÷ イニング数 = 1.0以上 △ 本格的に先発を任されるようになった今春では、イニング数を上回る程の奪三振は奪えていない。しかしリリーフでは、イニング以上のペースの三振が奪える投手で、左腕らしくキレのある球で三振の取れる投手である。 2, 四死球数 ÷ イニング数 = 1/3以下 × 打力が圧倒的に高いプロの打者相手には、やはりかなり繊細な制球力が要求される。一つのコントロールの目安は、イニングの1/3以下と云う数字。これを、アマチュアの打者相手には、クリアしておきたいファクターなのだ。ただ岩見には、四球で自滅する印象は薄いが、けして制球力が高い投手ではないことがわかる。 3,被安打数 ÷ イニング数 = 70%以下が望ましい △ 今春のリーグ戦では、被安打率は53.1%と抑え込んだ。ただ今秋も、この条件を満たせるかどうかは、リーグ戦実績が少ない投手だけに微妙だ。 4,防御率は、1点台が一つの目安 ○ 大学球界で最もレベルの高い東都や六大学リーグならば、防御率1点台が一つの目安とはなる。もし、今秋のリーグでも、防御率 1点台 をキープ出来るようだと、かなり安定感はあるのだろう。 (データから考える) 実績らしい実績は、今春ぐらいであり、あまりデータは参考にし難い投手。そんな中で気になるファクターは、制球力が、ややプロの即戦力を意識すると物足りない点だ。この辺で、ボールをじっくり見極められると苦しいタイプかなと思えてくる。プロのマウンドで、思いのほか力が発揮出来ない可能性もある。 (最後に) 投球フォームについては、東都はビデオ撮影が出来ないので、今回はなし。下記に高校時代の寸評が掲載されて、そこでフォーム分析を行っているので参考にして欲しい。 心技体の三つの観点から見ると、熊本工時代から全国の舞台で活躍しているように、ピンチでも動じないハートの持ち主と云う印象を受ける。しかしその動作の所作を見ていると、投手らしく実に細かく、神経質な一面を魅せる(ただバッテリーには、この細かさは大事)。ただ私が気になっていたのは、勝負どころでの投球。勝負どころでの投球を見ると、やや力むのか制球を乱したり、甘く入ることが多い気がするのだ。良い投手と云うのは、普段アバウトでも勝負どころで絶妙なところに決まったり、最高の球が行くタイプ。逆に、普段良くても甘く入ったり、悪い球が行くタイプなどと別れ、これがプロの世界では、決定的な差となることが多い。この岩見の場合、どちらかと云えば、勝負どころでの弱さを感じる部分がある。この辺が、春から少し気になっていたのだが、今回更に強く実感させられた(逆に報徳学園の近田などは、この部分が素晴らしい)。 技術的な部分では、今回フォーム分析を行っていないので、なんとも言い難い部分はある。ただ投球は、攻めのバリエーションが不足している印象があり、フォーム的には腕の使い方や肘の位置などを意識して行ってきたが、本質的な部分は、高校時代とあまり変わっていないいない印象を受けた。それだけに、何処まで真の即戦力になり得るのかは、微妙だと云わざるえないだろう。 肉体的には、9回でもMAXと同等の球速を叩き出すなど、この4年間でだいぶ逞しくなってきた。それほど素材としての凄みはないが、柔らかく、かつシャープに肉体を動かせる才能には見るべきものがある投手だ。 左でキレのある実戦的な球が投げられるので、プロで全く通用しないとは考えにくい。最初は、バリエーションの少なさからも、リリーフを中心に短いイニングでの活躍が期待される。ただ先にあげたように、本当の意味での勝負強さがないので、ある程度精神的な余裕を持って投げられる場面の方が、私は向いているように思える。そう考えると、極度のプレッシャーのかかるセットアッパーやクローザーに、本当の意味で向いているのかと云う心配もあるし、ボールをじっくり見られた時の怖さと云うのも感じなくはない。 春よりも、そういった即戦力における活躍に不安を覚えはじめ、私自身の中で、彼の評価はワンランク低下したと云うのが率直な感想だ。上手くプロで滑り出し良く数字を残せれば、一気にブレイクと云う可能性もあるが、制球に悩みに全くと云う不安要素も拭いきれない。その危うい二面性から、評価を少し落とした形が、私の彼の最終評価とさせて頂く。 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) この記事が参考になったという方は、ぜひ! (2008年・秋) |
熊本工時代から甲子園でもお馴染みのサウスポーでした。しかし将来的には、もうあまり伸びないかなあと思っておりましたが、怪我から復帰した昨秋ぐらいから、見違える程、球速が増してきました。体重を見ても、10キロぐらい増えており、相当なパワーアップに務めたようです。 現在は、左腕からコンスタントに140キロ台のキレのある球を投げ込みます。以前よりも球にもボリューム感が出てきましたし、何より右打者の内角クロスを厳しく攻めることが出来る選手です。散々内角を突きながら、最後はスクリューを外に落とし空振りを誘います。左打者には、身体から逃げて行くスライダーを武器に投球を組み立ております。 フォームも、球の見所を上手く隠せておりますし、かなり打者からは見難い印象があります。攻めの厳しさ・球の威力・マウンド捌き・制球力などなど、総合力で大学・社会人のリリーフ型左腕では、NO.1ではないかと思います。完全に実戦派なので、将来的に凄い投手になるとか、そういったタイプではなく、プロでも早い時期からの活躍を期待したい投手です。もし大学選手権に進むようならば、改めて個別寸評を作成したいと思います。現時点で、プロの最上位が確定的な投手だと思います。上手くはまれば、岩瀬(中日)級の投手になるかもしれませんね。もう少しじっくり見てみたいのですが、その内容次第では、☆☆☆☆級で今年のNO.1左腕と云う評価になるかもしれません。 蔵の評価:☆☆☆ (上位指名級) (2008年 春季リーグ戦) |
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打ち込めば見つかる捜し物!
サイドハンドに近い左のスリークオーター投手であり、128~MAX135キロの球速を誇りスライダーとのコンビネーションと追い込んでから右打者の外角に逃げるスクリュー系のボールに時々カーブを織り交ぜた投球スタイルである。球威やキレで相手をねじ伏せるタイプと言うよりは、打ちずらさが売りの左腕投手と言った印象だ。 (右打者に対して) 右打者には、アウトハイに速球を集めカウントを整え、アウトローに速球、スライダー、スクリューを集める相手を打ちとる。内角への投球もインコースの真ん中~高めに速球で突き、右打者にも内角に食い込むスライダーを使う。内外角の割合は、内4:外6ぐらいの配球であり、極めて内角を突く割合が多い。内角を強く意識しての外角低めへのスクリューは、かなり有効であり、内外角の投げわけが出来、真ん中近辺の甘いゾーンにボールが入って来るところも少なく、左投手ながら右打者への対策がしっかり出来ている点が大変評価出来る。 (左打者に対して) 左打者に対しては、打ち難さと背中越し(特に肘が下がったフォームなので)から来る独特の球筋が武器であり、ストライクゾーンの枠の中に集めることに主眼が置かれ、内外角の投げ分けもみられるが、真ん中高め近辺中心に甘く入る球も少なくない。右打者に対する攻めに比べると左打者への攻めは、全体的に球が高い印象を受ける。左打者に対する武器は、アウトローのストライクからボールゾーンに遠く逃げて行くスライダーを地面スレスレの高さに決めて振らせるのが、この投手の最大の武器である。 左打者には、速球とスライダーのコンビネーション投手になる傾向が強く、特にストライクゾーンに決める球の多くは、速球であることが多い。全体的に制球力が甘くなるところが気になる。むしろ、これからの課題は、左投手ながら左打者への制球と攻めの工夫ではないかと思うのである。あと左腕としては、牽制などが上手くない印象だ。それだけに、フィールディングや牽制などの技術も高めて行きたいところだ。 (投球フォーム) <踏みだし> ☆☆☆☆ ノーワインドアップながら、足をグッと引き上げることに成功しており、フォーム最初の導入部から、躍動感とエネルギー捻出を行うことが出来ている。 <軸足への乗せとバランス> ☆☆☆ サイドハンドに近いスリークオーターと言うこともあり、軸足一本で立った時点で、やや身体が前に傾いて立っている。これだと軸足の一部分に力を入れてバランスを取ることになり、負担が大きいだけでなく次の段階で、前に突っ込みがちなフォームを誘発する。体重を乗せると言うことに関しては、悪くない印象だ。 <お尻の落としと着地> ☆☆☆ 引き上げた足を途中まで落としてやめ下半身を固定しつつ肘を下げて来る独特のフォームだと言える。お尻は、軸足一本で立った時のバランスの関係で、三塁側(左投手は)にしっかり落とすことは出来ていないので身体を捻り出すために必要なスペースが確保出来ていない。しかしながら重心は深く沈んでおり、足を降ろすタイミングも早すぎることなく上手く着地までの時間を稼いでいる印象だ。これにより軸足~踏み込み足への体重移動、上半身と下半身の捻りの一致が期待出来る。 <グラブの抱えと軸足の粘り> ☆☆ グラブは最後まで内に抱えられているのだが、胸元で抑えされており、これだと下半身のブレを抑え込むのには不充分だ。左右の軸を安定させるには、腰のあたりでグラブを抱える方が安定しやすい。重心が深く沈み過ぎているので足裏の一部分を支点にして回転出来ないで支点が潰れてしまっている。そのため、身体が回転する時に体軸が作れず回転がいびつになる。またその後の段階で足裏の甲で浮き上がろうとする力を抑え込むことが重要なのだが、軸足の粘りがほとんど効いていないのも気になるところだろう。特に左打者への球が高めに浮きやすいだけに気になるところではある。 <球の行方> ☆☆☆ 大きなテイクバックを取り、腕が遅れて出て来る感じで肘を下げることで球を長く身体の陰に隠すことが出来ている。これこそが、彼の球が打ちにくくタイミングを併せ難い部分であり、彼の最大の武器なのだ。 その一方で、腕の軌道が大きく身体から外回りを軌道しており、リリース身体の遠くで球が切られており球持ちが早い印象だ。もっと球を長く持つ意識が持てると、嫌らしさがグッと増して来る可能性が高い。打ちにくさを武器に生きて行く投手だろうから、球持ちの長さは必須条件ではないのだろうか。 <フィニッシュ> ☆☆ 腕の振り自体は悪くはない。しかし軸足の支点が潰れ、軸足の粘りが使えていないためにフォーム後半の下半身の体重移動が上手くいっていない。そのためフィニッシュの段階で強い地面の蹴りあげが観られない印象だ。またリリース後に身体が一塁方向に流れるなど、フォーム全体のバランスが、少しいびつになっている印象だ。 (まとめ) 実戦的な左腕投手として活躍して行ける可能性を秘めている。大学、社会人などで、自らをもっと厳しく、もっと嫌らしくを追求して行ければ大成出来る可能性は高い。左打者への投球やフォームにも課題を残すだけに、心技体三つをバランス好く向上させて欲しいと思います。また近い将来彼の名前を耳にすることも多くなりそうだ。 (2004年 6月10日更新) |