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熊代 聖人(西武)外野手のルーキー回顧へ




熊代 聖人(21歳・王子製紙)中堅 175/73 右/右 (今治西出身)





               「意識が変わってきた。」





 今治西時代から、投打で甲子園でも活躍し、日産自動車入社直後から注目され続けてきた。しかし私には、何が特徴なのか?さっぱり良さがわからない選手であったが、王子製紙に移籍した今年は、明らかに野球への意識が変わってきた。そんな熊代 聖人を今回は考えてみたい。


(プレースタイル)

 高校時代は、強打の投手として活躍。日産自動車時代は、二塁手として将来を嘱望された。そして王子製紙に移った今年は、2番・中堅手として都市対抗に出場。

 高校時代から鳴り響いた強打も、社会人レベルに混ぜると特徴に欠ける。更に身体能力は高いものの、内野手としては可も不可もなしといったディフェンス力で光るものがなかった。

 しかし今年は、その特徴の無さを逆に逆手にとり、きっちりと自分の役目をこなす二番打者として活路を見出した。また高い身体能力を活かすために外野にコンバートし、広角に打ち返す打撃も活かせるようになりつつある。特に何が何でも出塁してやろうと言う、プレーへの貪欲さが、今までとは大きく変わってきた。






(走塁面)

 都市対抗では、一塁までの塁間4.15秒前後で到達するなど、このタイムを左打者に換算すると3.85秒前後と、かなりの脚力に相当する。一塁までの塁間は、4.3秒弱。これを左打者に換算すると4.0秒弱と、かなりの俊足選手となる。ただ高校時代から見ていても、あまり走塁センス・意欲を感じるタイプではないので、走力はあまり期待は出来ない。

通常塁間の目安となるのは、

3.9秒弱  プロで足を売りに出来るレベル

4.0秒前後 足を売りに出来るのかは走塁センスにもよるが、プロでも俊足の部類

4.2秒前後 スカウトが、プロの基準と判断するタイム

4.3秒以下 プロの基準以下となり、割り引いて考える

となる。上記の数字は、左打者の目安であり、通常右打者の場合、タイムから、0.3秒を引くと、同等の走力が計測することが出来る。ただし、セーフティバントや左打者が一二塁間に引っ張ったような、最初から一歩目のスタートをきっているような場合は、参考資料とはならない。

 元々走力のポテンシャルは低くなかったが、より走塁への意識が高まり、最後までしっかり駆け抜けようと言う意識がタイム向上につながった。ただそれでも都市対抗予選の7試合で盗塁は1個と、盗塁する技術・センスにはまだまだ課題を残すようだ。ただ純粋に能力だけならば、プロでも足を売りにできるスピードはある。

(守備面)

 特に外野にコンバートしたからと言って、打球への勘や守備に大きな破綻は感じなかった(と言うよりも、打球もあまり飛ばなかった)。ただ高校時代135~140キロぐらい投げていた投手だったので、地肩の強さは確か。プロでも鍛えようによっては、センターか右翼を期待できる素材だろう。身体能力を活かすのならば、やはり外野手の方が向いている気がする。


 こと守備・走塁面の技術と言うことではまだ課題はありそうなものの、走力・肩と言う身体能力に関しては、プロでも上位の部類と言えよう。プロで1年ぐらい鍛えれば、守備・走塁面でアピールできる選手になれる可能性は残されている。





(打撃スタイル)

 元々広角に打ち返す中距離打者と言った感じの選手であり、いまいちアベレージヒッターと言うほどでもなければ、長距離打者と言う絶対的な破壊力がなく、特徴が見えにくかった。

 それでもルーキーイヤーから、日産自動車では中軸として我慢して起用してもらって、結果も伴うようになっていた。すでに昨年の時点で、ファームレベルならば、ソコソコ打てそうと言う打力は身につけていたが、今年の都市対抗では目立つ働きはなかった。しかしバントをきっちりこなすなど、その特徴の無さを堅実なプレーをする二番打者と言う役割を果たすことで、活路を見出し始めたのだ。

(打撃フォーム)

<構え> 
☆☆☆☆

 
スクエアスタンスで構えるのは、以前と変わらないのですが、グリップを幾分高く添えるようになった気が致します。腰の据わり・全体のバランスは悪くないのですが、両目でボールを見据える姿勢は並ぐらいでしょうか?元々リラックスして自然体に構えられるのが良い選手だったのですが、都市対抗では少し力が入って力みがあったような気が致します。

<仕掛け> 早めの仕掛け 投手が足を降ろし初めて~一番底に到達する間に始動

 これが、現在採用される仕掛けの中では、最も早い仕掛けとなる。打者が足を地面から浮かし~着地するまでの時間(間)が長いほど、打者はいろいろな変化に対応出来る可能性が広がる。そのためアベレージ打者は、この仕掛けを採用するケースが多い。ちなみに今回の熊代選手は、この段階での仕掛けを採用しており、
現在アベレージ打者の傾向が強いことがわかる。

<下半身> 
☆☆☆☆

 以前ほど足を高くは引き上げなくなったが、足を引き上げてまわし込むスタイルは変わらず。着地するまでの「間」が作れることで、様々な球速の変化に対応しうるスタイルだ。

 以前は真っ直ぐ踏み込んでいたが、少しベース側にインステップするようになり、より外角の球を意識したスタイルに。踏み込んだ足下も、カカトを地面にめり込ませ、足下のブレを最低限に防いでいる。身体の開きも我慢できるので、右方向へのしぶとい打撃も期待できる。ただ基本は、頭の軸を起点に、引っ張る打撃が持ち味なのかもしれない。

<上半身> 
☆☆☆

 以前は、打撃の準備段階であるトップを作るのが遅れ気味で、更にグリップも少し内に入り込んでバットの出がスムーズではなかった。現在は、その欠点を補うべく、あらかじめトップに近い位置にグリップを添えている。バットを引くタイミングも並ぐらいで、この部分の欠点は解消されている。

 課題は、トップからインパクトまでのスイング軌道が、やや遠回りであること。特にアベレージ傾向がより強まったプレースタイルに移行していることを考えると、もう少し最短距離でボールを捉えられるスイングを身につけたい。

 それでもバットの先端が下がることを防ぎ、ドアスイングになることは防げている。ただボールを捉えるセンス・ヘッドスピードの鋭さは平均的で、特別打撃に光るものはない。フォロースルーの段階でも、グリップが引き上がって行くことはなく、野手の間を抜けて行くタイプであることが伺われる。

<軸> 
☆☆☆

 頭の動きは足を上げ下げする割には、大きくはない。ボールを的確に捉えると言う意味や、軸を起点に回転すると言う意味では悪くない。身体の開きも我慢できているし、軸足の形も並レベル。体軸に、大きな欠点は感じない。

(打撃フォームのまとめ)

 それほど大きくは変わっていないが、トップの形成などには成長の跡が見られる。スイング軌道の改善やスイングの鋭さ・強さに磨きをかけるなど、課題も少なくはないが努力のあとは伺われる。





(最後に)

 打撃の特徴が見えづらかったところを、二番打者と言う地味な仕事をきっちりこなすことで、逆に付加価値が出てきた選手。元々右方向への打撃も上手いし、昨年あたりボールに食らいつく姿勢にも成長が見られた、そういった意味では向いているのだろう。都市対抗でのアピールには欠けたが、その実力は昨年も証明済み。全く打力がない選手ではなく、特徴がないところが問題だった。

 守備・走塁面でも、プレーへの意識が高まったことで、更に走力が向上。守備も外野をこなすことで、高い身体能力を生かせつつあるようだ。

 ただプロに混ぜてしまうと、やはり特徴に欠けるきらいがあり、如何に2番打者できっちり仕事をこなしつつ、高いポテンシャルで守備・走力でアピールできるかにかかっている。ただプレーへの貪欲さに、課題を克服しようと言う前向きな野球への姿勢は感じられる選手。

 レギュラーまで登りつめられるかは疑問だが、貴重な控え層として、生き残って行ける可能性は感じられるようになってきた。まだまだ高卒3年目と若いし、気持ちが伝わって来る選手になってきたので、この先もカベを乗り越えて行けるのではないかと期待する。一軍を意識するのには、もう少し時間がかかるかもしれないが、指名リストに名前を残してみたいと思う。


蔵の評価:
 (下位指名級)


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(2010年・都市対抗)




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熊代 聖人(20歳・日産自動車)二塁 175/73 右/右 (今治西出身)

(どんな選手?)

 今治西時代は、エース兼4番として活躍。日産に進んだ後も、一年目から積極的にスタメン起用され、中軸を任される活躍している。入社以来、ずっと二塁を守ってきたが、最近は三塁やDHでの出場が増えている。都市対抗でも3番・DHでの出場となっていた。

(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、左打者換算に直して4.0~4.1秒ぐらいなのだが、都市対抗のJR東日本東北戦では、最初から一塁方向に身体が向いていたとはいえ、4.1秒弱(3.8秒弱に相当)するような、快足レベルのタイムまで残している。ただ都市対抗予選の6試合で盗塁は1個と、やはりそれほど足を売りにするタイプではないようだ。

 今大会では、守備の機会がなかったので、よくわからず。元々破綻のない無難な二塁手ではあるのだが、二塁手に求められるようなスピード感・切り返しの速さ・繊細さはさほど感じられず、プロなどを想定すると三塁か外野あたりと言うことになるのだろう。ただ元々投手としても130キロ台中盤ぐらいの球をコンスタントに投げていたことからも、地肩はまずまず強いと見て良いだろう。そういった意味では、走力・地肩などのポテンシャルは、けして低い選手ではない。

(打撃内容)

 スクエアスタンスで、足を回し込んで来るタイプ。すなわち、それだけ打撃のポイントが広いタイプで、対応力はある選手。また以前よりも淡泊さが薄れ、都市対抗でも外角低めの球を、上手くライト前にはじき返すなど、打撃にしぶとさが出てきたところは成長。

 ヘッドスピードも基準レベルあり、都市対抗予選でも打率.350厘をマークするなど、実戦力を増しつつあるようだ。

(今後は)

 正直、あまり良いと思ったことのなかった選手だが、今回の都市対抗では着実な成長が感じられた。今のレベルならば、プロに入団しても、ファームレベルならば、ソコソコ対応出来るだろう。

 ただ一軍を想定すると、守備・走塁・打撃での特徴付けなど、アピールポイントに欠ける点が、大成への大きな弊害。よほど打撃などの成長がないと、そのまま埋もれてしまう可能性は高い。

 しかし高卒3年目の若手選手。内野のユーティリティプレーヤーや控え層に厚みを持たせたいチームならば、日産休部に伴う救済処置としても指名があっても不思議ではない選手ではないのだろうか。1,2年、ファームで育てる覚悟がある球団ならば、指名もありかなと思えてこれるレベルに成長しつつある!

(2009年・都市対抗)






熊代 聖人(20歳・日産自動車)二塁 175/73 右/右 (今治西出身)





                  「一躍指名候補に!」





 高校時代は、今治西で甲子園で活躍。当時は投手兼外野手であったが、将来性ではダントツ野手としての才能だった。そんな彼が進んだ進路先は、社会人屈指の名門・日産自動車。高卒ルーキーとしては異例の、レギュラーを確保。それもチームの3番打者として、ほぼ一年間活躍した。更なる飛躍が期待された2年目。突然の日産野球部休部宣言で、今年12月で野球部は活動休止となると云う。ドラフト制度では、高卒選手は3年間プロ入り出来ないと決まっているが、こういった場合は特例で指名が解禁になる。彼は、これで一躍指名候補に急浮上してきたのだ。今回は、突如ドラフト候補に浮上してしまった、熊代 聖人の現状について考えてみたい。






(どんな選手?)

 けして長距離打者でも、生粋のアベレージヒッターでもないのだが、広角に打ち返す中距離打者。イメージ的には、ちょっと元巨人の元木大介のようなタイプをイメージして頂けると、近いタイプかもしれない。

 ただ個人的には、何が特徴だか見えてこない部分がある。昨年、地元の日産自動車の選手と云うことで何度か見ていたが、正直あまり記憶に残っていない。都市対抗予選では、打率.214厘 0本 4打点 と物足りない成績。更に本戦でも、三菱重工神戸戦では、完全に自分の打撃をさせてもらえなかった。一年間チームの3番打者として起用されたが、チームの将来を考えて、かなり我慢して起用してもらった部分が大きいのではないのだろうか?またプロに混ぜた時に、明確に売りに出来るものがあるのか?これから、いろいろ検証してみたい。

(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、4.3秒弱。これを左打者に換算すると4.0秒弱と、かなりの俊足選手となる。ただ高校時代から見ていても、あまり走塁センス・意欲を感じるタイプではないので、走力はあまり期待は出来ない。

通常塁間の目安となるのは、

3.9秒弱  プロで足を売りに出来るレベル

4.0秒前後 足を売りに出来るのかは走塁センスにもよるが、プロでも俊足の部類

4.2秒前後 スカウトが、プロの基準と判断するタイム

4.3秒以下 プロの基準以下となり、割り引いて考える

となる。上記の数字は、左打者の目安であり、通常右打者の場合、タイムから、0.3秒を引くと、同等の走力が計測することが出来る。ただし、セーフティバントや左打者が一二塁間に引っ張ったような、最初から一歩目のスタートをきっているような場合は、参考資料とはならない。

 また高校時代からフィールディングは悪くなかったが、けして図抜けて上手いわけでもない。社会人に入って二塁を守る機会が多いが、ソツがなく破綻がない程度。プロの二塁手を務められるかは、微妙だと云わざる得ない。ただ元々135~140キロぐらいの球速を投げ込んでいたように、地肩はかなり良い方だろう。

 現時点では、俊足・強肩のポテンシャルはあるが、守備・走力をプロでアピールするほどには至っていないと考えて良さそうだ。


(打撃スタイル)

対応 : ボールをじっくり見て来るケースが多い

狙い球: 速球でも変化球でも打ちに来るが、真ん中~外角の球を好む傾向が強い。

打球 : センター方向中心に、右に左へと打ち返す





(打撃フォーム)

 いつものように「野球兼」の
2009年2月14日更新分に、彼の打撃フォーム連続写真が掲載されているので、そちらを参照して頂きたい。また今回は、打撃フォームを見る時に、チェックするポイントを簡単に紹介しながら、彼の打撃を考えてみたい。ちなみに赤字が、今回の熊代選手が、採用しているスタイルだ。

<構え> 
☆☆☆

 まず写真1を見て欲しい。両足を揃えて立つスクエアスタンスを採用している。

構えには、大まかな分け方で三つに分類される

1,スクエアスタンス 前の足と後ろの足が、真っ直ぐ平行に立つ構え

2,オープンスタンス 前の足を後ろに引いた構え

3,クローズスタンス 前の足をベース側に持って行く構え

 ただここでは長くなるので、その効果・意味合いには触れないので、そういったモノに別れているとだけ覚えておいて頂きたい。

 次にグリップの高さに注目して欲しい。肩のラインと、そこから伸びる腕の高さが水平の場合、ほぼ平均的な高さとなる。通常このポジションを、バットの重さを最も感じにくい0ポジションと呼ぶ。グリップを高く添える選手には、強打者タイプが多く、グリップを下げると力みが消え、リラックスして構えられるメリットがある。彼の場合、
平均的な高さだと言えよう。

 この時に注意したいのが、グリップの高さよりも、バットを後ろに引いて構えているのか?それとも自然体に普通に添えられているかに注目して欲しい。

1,バットを引いた場合 

 あらかじめグリップを引くことで、構え~トップまでのグリップの移動距離を少なくし、ロスを軽減出来る。ただその反面、前の腕があらかじめ捕手方向に引かれるので、構えが固くなりやすい。そうなると柔らかくリストワークを動かす妨げになる危険性が生じる。このようにロスを軽減するスタイルは、ボールを当てに行くことを重視する、アベレージヒッターが多く採用するスタイルだ。

 一見あらかじめバットを引いて構える方が、無駄がなく良いように思える。しかし上記に上がったデメリットも存在するため、もしこういった打撃をするのなら、リストを柔らかく使うタイプではなく、膝を使いミートする打撃が出来る選手に限られる。

2,自然体に構える場合

 グリップを構えからトップの位置まで後ろに引く分、ロスが生じ確実性が損なわれやすい。ただリストワークが柔らかく使えたり、ボールをしっかり運べるなどのメリットがある。

 基本的に打撃動作は、無駄を削ぎ落とすことでは、本質的な解決にならないと私は考える。

しっかり腰が据わっているか?

 次にチェックするポイントは、腰の沈み具合だ。特に下半身を使った安定感のあるスイングをするためには、腰がしっかり据わっていることが大事になる。彼の場合、非常に
しっかり腰が据わっているのがわかる。

バランス良く構えられているか?

 次に注目して欲しいのが、極端な癖のある構えではなく、バランス良く構えられているかと云うことに注意したい。どの方向からポンと押されても、倒れないような構えが、良い構えだと云えよう。これは野球に限らず、すべてのスポーツにおいての「構え」の本質になる。何か見た目に違和感を感じられる構えは、私は良くない構えだと考える。彼の場合は、
非常にバランスが良い構えとなっている。

両目で前を見据えられているのか?

 次に注意したいのが、顔がしっかり正面を向き、両目で前を見据えられているかと云うことに注目したい。どうしても片目でボールを追ってしまうと、ボールを捉える時に錯覚が生じ、正確にボールを捉えられない。彼の場合は、
しっかりボールを両目で見据えることが出来ている。身体の硬い選手は、少し前足を後ろに引いてオープンスタンスで構えるべきだろう。

身体を動かし、自分のリズムで打席に立てているか?

 あとは、身体を動かし自分のリズムで打席に立てているのかと云うことに注意したい。得てして何処も動かさないで構えている選手は、脆い・固い選手が多い。常に身体を動かすことで、投手とのリズムを計り、次の動作にも素早く移行する意味合いがある。彼の場合も、
バットを動かし、自分のリズムで打席に立てている

相手に自分の存在を示すことが出来ているか?

 最後は、相手に与える雰囲気。凄く威圧感があるとか、何か集中力が感じられるとか、イヤらしそうだとか、何か打撃の意図やその選手の特徴が、他に伝わって来るような構えがいい。彼の場合、それほど怖さはないが、
打席での集中力みたいなものは感じ取ることが出来る

何より、脱力して構えられているか?

 ただ高校時代は、もっと構えた時にリラックスして構えられており、身体を柔らかく使えた印象があった。今は、構えに力みが感じられるようになり、個人的には高校時代のフォームの方が、良かった印象がある。打席では、固くならずリラックスすることを心がけたい。

<仕掛け> 
早めの仕掛け

 仕掛けには大きく分けて、5つの種類に分かれる。単純に云えば、始動が早いほど、アベレージ打者の傾向が強く、遅く始動し出来るだけボールを引きつけて叩くタイプほど長距離打者の傾向が強いことを覚えておいて欲しい。この始動タイミングで殆どの打者は、打撃スタイルが決まって来る。

1,早すぎる仕掛け 投手が足を引き上げる前~引き上げきった段階での始動

 始動が早ければ早い程良いのならば、この段階でみんな始動すれば良い。しかし投手が足を降ろし始める前にスイング動作に入ると、投手がタメの時間を操作することで、事前にタイミングを狂わせることが可能なのだ。そのためプロレベルでは、この段階で始動する打者はいないはずだ。

2,早めの仕掛け  投手が足を降ろし初めて~一番底に到達する間に始動

 これが、現在採用される仕掛けの中では、最も早い仕掛けとなる。打者が足を地面から浮かし~着地するまでの時間(間)が長いほど、打者はいろいろな変化に対応出来る可能性が広がる。そのためアベレージ打者は、この仕掛けを採用するケースが多い。ちなみに今回の熊代選手は、この段階での仕掛けを採用しており、
現在アベレージ打者の傾向が強いことがわかる。

3,平均的な仕掛け 投手の重心が下がってきて底に到達したときに始動

 これが、最も平均的なタイミングでの始動となる。このスタイルは、ある程度の対応力と長打力をバランス良く兼ね備える万能型。主に中距離打者や打点を多く稼ぎたいポイントゲッターが多く採用するスタイルだ。ただ一見完璧そうに見えるこのスタイルも、実はアベレージ打者なのか、長距離打者なのか、どっちともつかずの特徴の見えにくいスタイルに陥りやすい。個性のない打者の多くが、このスタイルを採用しているケースが多い。

4,遅めの仕掛け 投手の重心が沈みきった後、前に体重移動をする段階での始動

 多くのスラッガーが、この仕掛けを採用している。始動~ボールが到達するまでに時間がないので、狙い球を絞って叩くような打者でないと、上手く扱うことが出来ない。ボールをぎりぎりまで手元まで引きつけて、最大限のインパクトをぶつけるので、それだけ破壊力も大きくなる。これには、強靱なヘッドスピードや筋力が求められるので、大概は長距離打者が多い。

 ただ状況に応じて、瞬時に判断することが求められる二番打者タイプにも、この段階での仕掛けを採用する選手が多いことも覚えておきたい。ただそういった打者は、非常にヘッドスピードが鋭いはずだ。

5,遅すぎる仕掛け 投手のリリース前後に始動

 多くの欧米人やキューバ人などは、このタイミングで始動する。狙い球を絞って、打てる球を引っぱたく、そんなスタイルを取る。ただこのようなスタイルは、非常に脆く打てる球は限られる。

 また始動~インパクトまでの時間が極端に短いので、スイングに不可欠な動作を端折ることで、インパクトを間に合わせようとすることになる。それでも打ててしまう欧米人のヘッドスピードと筋力の強靱さは、残念ながら日本人には真似出来ない。日本人の場合このタイミングでは、プロレベルの投手を相手には通用ないと私は考えてている。ただし、もしこのタイミングの始動を使いこなす日本人が現れた時、パワーで世界のスラッガーと対峙出来る存在になっているだろう。

<足の運び> 
☆☆☆☆

 足の動きで注目すべきポイントは、足を引き上げるのか、摺り足にするのかの議論になることが多い。しかし私としては、それほどそれは大きな問題ではないと考える。むしろ大事なのは、足を地面から浮かし~着地までの時間が長い程打てるポイントが広がり、幅のある打撃が出来る。そのことが、打撃の本質だと考えからだ。足を早めに高く引き上げ一本足打法で打つ王貞治も、地面に「の」の字を描くように動かす落合博満も、この足を長く浮かしている「間」の長さで、その非凡な能力を説明することが出来るのだ。彼の場合、写真2のように
足を高く引き上げ、回し込んで着地して来る。そのため着地までの時間を稼ぎ、「間」を作ることが出来ている

 次に注目したいのが、ステップして着地する位置である。「構え」のところで、オープンだろうとクローズだろうと、あまり詳しく書かなかった。それは、むしろ重要なのはこの着地する位置にあると私は考えるからだ。その着地とは

1,インステップ ベース側に踏み込んで打つスタイル

 基本的に強打者は、このインステップを採用するケースが多い。殆どの欧米・キューバの打者は、このインステップを採用する。これは、
アウトコースの球を強く意識したスタイルだと考えて頂きたい。日本の野球でも配球の7割以上が、外角で構成されていることを考えると、この外角をより強く叩くことの出来る、インステップをもっと意識することが重要だと考えている。そうしない限り、欧米とのパワーの差を縮めることは出来ないだろう。

2,スクエアステップ 軸足に対し真っ直ぐ踏み出すスタイル

 
最もオーソドックスなスタイルで、内角の球でも外角の球も捌きたいと云う万能型のスタイルだ。ただこれも、どっちとも着かずのスタイルで、中途半端なスタイルに陥りやすい。彼の場合写真3のように、このスタイルを採用している。

3,アウトステップ ベースから離れた方向に踏み出すスタイル

 ボールと身体との距離を取り、
内角のさばきを強く意識したスタイル。特に腰の回転を促し、ボールを巻き込む打撃に適している。基本的には、左打者の多くがこのスタイルを採用。ただ右打者には、あまり適したスタイルではない。もしアウトステップを右打者が採用するのならば、相当球を手元まで引きつけて叩ける打者に限られるだろう。

 ただし、ステップは配球などを読んで、そのときによって自在に使い分けている選手も少なくない。私は主に外角の球を捌く時に、どんなステップを採用しているのか見ることにしている。外角の球を捌くのに、アウトステップするような打者は、一般的には確実性が低くなること。


 その次に注意したいポイントは、
インパクトの際に足下がブレないでスイング出来ているかだ。足下がブレると、身体の開きを抑えきれなかったり、パワーがロスしたりしてしまう。そのためインパクトの際の足下に注目して見ることが大事なのだ。

インパクトの際に足下がブレていないか?

 ただしこれは、あくまでもセンターから右方向への打撃を行っている時、あるいは外角球を捌く時のことで、内角の球を巻き込み引っ張るような時は、足下を解放してあげて、腰の回転を促した方が好い。足下がブレるのは、上半身と下半身のバランスが悪いスイングをしているからだ。
彼の場合、この点では問題がない

 ただ打撃で重要なのは、実はその動作ではなく、ボールがしっかり見えているのかの眼と、ボールを的確にミートポイントで捉えられるかの二点に集中する。技術論の一番の欠点は、決定的にこの最も重要な二点について、みないで論じることだと私は考える。これは、ちょっと動画や連続写真を見ただけではわからない。実際にそのプレーを何度か見ないと、この打撃の本質を感じ取ることは出来ないからだ。

1,ボールがしっかり見えているのか?

2,的確にミートポイントで捉えられているのか?

<リストワーク> 
☆☆

 今度は、トップの位置に注目して欲しい。トップとは、構えた時に最もグリップが高い位置に来た時を云うのだと思うのだが、このトップが作れた時に、打撃の準備が完了したことを意味する。この準備がしっかり出来ないまま打ちに行くような選手は、消化不良の中途半端な打撃することが多い。ただ私の場合のトップの認識は、グリップを最も引いた時の形、すなわちバットを振り出し始める位置だと考えている。恐らく一般にトップと云うと写真2を指すのだが、私の場合写真3の段階を指していることが多い。

 この時に注意したいポイントは、

1,写真2の段階のトップの形を作るのが遅れないこと

 どうしてもトップを作るのが遅れると、スイングが後手後手になってしまうからだ。

2,写真3のグリップを引いた時に、深くしっかり腕を引いて構えられていること

 トップとは、弓矢の弓を強く引くが如く、強く後ろに引くことが大事である。これによって強い打球を生み出す大きな原動力になる。

3,写真3の時に、グリップが身体の奥に入りすぎないこと

 グリップの位置は、顔に隠れ耳の後ろあたりにあるのが理想的。それ以上奥に入り込んでしまうと、どうしてもバットの振り出しが遅れ、差し込まれやすくなるのだ。彼の場合、
トップを作るのがやや遅れ気味で、深くはトップを作れているのだが、ややグリップが入り気味で、ヘッドの滑り出しが良くない

 次に注意したいのが、スイング軌道だ。写真3のように、バットの先端とグリップを結ぶラインが、頭の後ろではなく首の後ろより下に下がって振り出されるようなスイングは、外角の球を捌く際には、トップ~インパクトまでロスのあるスイングをすることになる。また肘が落ちてしまうと、腰の逃げを誘発し開きが早くなる。内角の球を捌く時以外は、これは評価出来ない。

 ただこの際に、写真4のように、バットの先端まで下がってしまうと、完全にドアスイングのようなスイングになり、バットの先端が波打ってしまう。最低でもスイングの際には、ヘッドが下がらない意識が欲しい。外角球を捌くスイングのポイントは

1,バットのラインが、肘を下げないで頭の後ろを通るように振り下ろす

2,ヘッドが下がらないように、バットの先端を立てる意識でスイングする


 そして何より大事なのが、スイング軌道の際のヘッドスピードが速いことである。技術云々を超え、プロ仕様のスイングとは、速いボールに負けない確かなヘッドスピードの速さがあることなのだ。彼の場合、
プロを意識するのには、少々ヘッドスピードの鋭さ・打球の速さに物足りなさを感じる

3,ヘッドスピードがあることが、何より大事


 そして大きな弧を描きつつ、写真5のように、しっかりフォロースルーまで、バットを振り切ることが大事なのだ。

4,バットが最後まで振り切れているか

 最後に注目して欲しいのが、写真5の際のグリップの位置である。このグリップの位置で、ボールを遠くに運ぶタイプなのか、打球が鋭く野手の間を抜けて行くのかは、おおかた見極めることが出来る。彼の場合は、
それほどボールを遠くに運ぶタイプではないようだ。

5,フォロースルーの際の、グリップの位置に注目する


<軸> 
☆☆☆

 まず体軸を見る時に、最も重視して欲しいのが、頭の動きが小さいことだ。その理由は、

1,綺麗な軸回転を描くため

2,目線のブレが少なく、錯覚を防ぐため

彼の場合、
足の上げ下げが大きいので、目線が上下にブレやすい。ただ軸回転自体は悪くない

今度は、身体の開きに注目して

 基本的に、腰が早く開いてしまったり、外に逃げてしまう打者は、プロでは厳しい。それでも足下がブレないでスイング出来ると、腰の回転をある程度のところで止めることが出来、甘いアウトコースの球ぐらいならば、捌くことが可能なのだ。

1,腰の逃げは早くないか?

2,足下は踏ん張れているか?

の2点に絞って、身体の開きに注目して欲しい。

最後は、軸足に注目して欲しい。主なポイントは

1,打ち終わった時に、軸足が真っ直ぐ真上に伸びているのか?

 写真5を見ると、軸足の形が斜め前に倒れて、綺麗な軸回転が描けていないで、崩されているのがわかる。

2,軸足自身に強さや粘りが感じられるか?

 軸足の内側の筋力こそ、ボールを運ぶのに唯一関連性のある筋肉だと云われている。ここに強さが感じられ、仕掛けも遅く、フォロースルーの際に、グリップが高い位置に引き上がる人材は、プロでも長距離打者になれる可能性があると評価出来る。

 また中々形が崩れないような選手は、粘り強くしぶとい打撃が期待出来る。例え体勢が崩されても、ここで踏ん張ればボールを拾うことが出来るからだ。彼の場合、
粘り・強さとも、それほど非凡なものは感じなかった

以上簡単に、私の打撃フォームのチェックポイントを説明してみた。こうやってみると彼の場合、
スイング軌道を中心に、上半身の動作に課題があるように思える。事細かく書いたが、打撃の本質とは、技術的な問題よりも

(打撃の3大要素)

1,ヘッドスピードが基準を満たしているのか?

2,ボールがしっかり見えているのか?

3,的確にミートポイントで、常にボールを捉えることが出来ているのか?


このことの方が、大事である。


(素材としては)

 スポーツ選手を見る時に、私は幾つかのポイントが本質的にあると思う。これを
スカウティングの6原則だと述べている。その6原則とは

1,「強さ」 
☆☆

 肉体の強さ・打球の強さと云う観点では、まだ彼の場合、物足りないものを感じる。高卒一年目で、社会人の中軸を担えるだけの、精神的なタフさは評価したい。

2,「柔らかさ」 
☆☆

 身のこなしなど、天性の動きの「柔らかさ」は、正直感じられない。どちらかと云うと、型にはまったタイプの打者との印象が強い。ただ打撃スタイルは、どんな球でも打ちに行く幅広い打撃をする。

3,「速さ」 
☆☆☆

 プレーのスピード感などは、平均的なものは備えているように思える。足も速いので、もう少し守備などの動作にも、スピード感が出てくると良いのだが。

4,「鋭さ・貪欲さ」 
☆☆☆☆

 元来彼の一番の良さは、打席での集中力、甘い球を逃さない「鋭さ」にあるのだと思う。プレーにも、キレが出てくると良いだろう。

5,「怖さ・イヤらしさ」 
☆☆

 打席において、相手を威圧する「怖さ」や相手から嫌がられる「イヤらしさ」には乏しく、まだまだ物足りなさを感じる。

6,「賢さ・センス」 
☆☆☆

 元々持っている総合的な野球センスは悪くないように思える。ただプレー1つ1つに、もの凄く何か意図を感じさせるところ、状況に応じたプレーが出来ているのかと云われると、現時点ではまだまだではないのだろうか。

 こうやって見てみると、それほど何か突出した素材と云う印象はない。だから私が、何か特徴が見出しにくいと感じるのは、この辺のことを直感的に感じ取ったからかもしれない。


(最後に)

 甲子園でも活躍し、社会人でも1年目からレギュラーとして活躍する有望株。しかしプロを想定した時に、一体何を売りにして行けるのか、正直見えてこない。それは、守備・走塁・打撃と云う部分だけでなく、技術的にも素材として考えた時もだ。そして何より、打撃の3大要素で考えても、彼には特別な何かを感じるまでには至らなかった。

 今年一年、どのような存在感を示してくれるのか、それによって彼の評価も大きく変わって来るだろう。今のレベルならば、プロ入りもボーダーラインレベルの選手ではないかと考える。確かな武器を手にした時、この選手はプロに入るべき「旬」の時期なのではないのだろうか。


この記事が参考になったという方は、ぜひ!


(2008年・都市対抗)







熊代 聖人(愛媛・今治西)投手 175/73 右/右





                 「自然体なのが好い!」





 選抜では細かく寸評を作成しなかったことや、選抜後に行われた高知での招待試合の模様を、地元の方から送って頂いたので、最新の彼の映像が手に入ったので、改めて彼について考察したいと思う。

 この選手の素晴らしさは、打席で実に自然体に打撃が出来るところだ。けして力任せではなく、脱力した形で、ボールを運ぶことが出来る。それは、的確にボールを捉え、運ぶことが出来る術を、彼自身身につけているからだろう。

(打撃スタイル)

対応: 2,3球目ぐらいにスイングを仕掛けて来るなど、平均的なタイプ。

狙い球:速球でも、変化球でも打ちに来る。真ん中~外よりの球を好む傾向が強い。

打球: 基本的にセンターからレフト方向中心で、右方向への打球は少ないようだ。

 ヘッドスピードも鋭く、打球も非常に速い。しかしこの選手は、乗せて運ぶのも上手く、けして力任せで打球を飛ばすタイプではないだろう。本質的には、中距離ぐらいの選手なのだろうが、その打撃能力は、四国でも抜けた存在ではないのだろうか。

(守備・走塁面)

 フィールディングなども悪くないと思うが、将来的には外野手ではないのだろうか。投手としても135キロ級を連発するように、地肩も高校生としてはA級だ。ただ外野手としては、それほど正直際だつものはない。

 一塁までの塁間は、4.45秒ぐらい。これを左打者に換算すると4.15秒前後と云うことで、プロの基準である4.2秒を若干上回る。肩・走力に関しては、プロの基準を満たすレベルではあるが、それほど売りにする程かどうかは微妙なラインだろう。

(打撃フォーム)

 いつものように「迷スカウトの足跡!
2007年6月3日更新分に、彼の打撃フォーム連続写真が掲載されているので、そちらも参考にして頂きたい。

<構え> ☆☆☆☆

 写真1を観ると、両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的、バットを前に倒して構えている。腰の据わり・全体のバランスはまずまずで、両目で前を見据えると云う観点では並程度だろうか。打席では余計な力みがなく、リラックスして構えられているところが素晴らしい。

<仕掛け> 平均的な仕掛け

 投手の重心が沈むのにあわせて、カカトを一踏みして始動する「シンクロ」を採用し、投手とのタイミングを計っている。本格的な始動は、投手の重心が沈み込む底のあたりで、これは「平均的な仕掛け」に属する始動だ。

 このタイプは、ある程度の対応力と長打力をバランス好く兼ね備えた中距離・ポイントゲッターに多く観られるスタイル。彼の打撃スタイルも、まさにこれに合致する。ただアベレージタイプなのか、長距離タイプなのか特徴がはっきりしないので、中途半端な印象を受ける選手が少なくない。まさに彼もそんなタイプの打者だ。

<下半身> ☆☆☆

 写真2のように足を引き上げ、ゆっくり回し込んで写真3のように、真っ直ぐ踏みこんで来る。踏み込み自体は好いが、少しステップが狭いせいか足元がブレ気味だ。それをカカトを地面にめり込ませることで、開きやパワーロスを最低限に留めている。また真っ直ぐ踏み出すと云うことは、内角でも外角の球でも捌きたいと云う彼の意志が現れている。

<上半身> ☆☆☆

 比較的グリップを構え時から捕手側に引いて立っているので、グリップの移動距離は少なくロスは軽減されている。それでも写真3のトップの段階では、しっかり捕手方向に前腕の肘が引かれ、トップが深いことがわかる。

 写真4を観るとわかるのだが、バット比較的寝て出して、その際に少しヘッドが下がり気味で大きな弧を描いてスイングをしている。悪く云えばロスのあるスイングである。

 彼の場合、あらかじめ腰を早めに大きく逃がし、ヘッドを下げても腰の回転で巻き込むスイングで、打球を引っ張り込むことが出来ている。そのため右方向にはじき返すのは、難しいスイングだとも云えるのだ。

 それでも写真5までのフォローまでのスイングは、鋭くコンパクトにまとめられている。少々トップの段階で、肩が中に入り込むところが気になるところだろうか。

<軸> ☆☆☆☆

 足をしっかり引き上げるタイプなのだが、その後ゆっくり回し込んで着地させるために、頭のブレは極めて小さく回転出来ている。腰の逃げは早いのだが、足元を地面に食い込ませて粘ることで、ある程度のところで身体の開きを抑えることが出来ている。軸足が地面から真っ直ぐ伸びており、安定した打撃が期待出来るタイプだろう。

(最後に)

彼の素晴らしいところは、

1,とにかく脱力して、リラックスしてスイングが出来ている。

2,頭~地面に向けて、軸のブレない綺麗な回転が出来ている。

3,ボールを的確にミートポイントに持ってこれる天性の打撃センスがある

欠点としては、

1,スイングが巻き込み型で、打てる球が限られていそう

2,守備・走力の特徴に欠け、打撃も中距離タイプで特徴が見えにくい

などがあげられる。打撃の能力があるのはわかっているが、プロに混ぜてしまうと個性を発揮出来るかは微妙なタイプだろう。また守備・走力との総合力・肉体的なポテンシャル・打てる球が限られていそうな癖のあるスイングなどを考えると、高卒即プロでの指名は慎重になってしまう。非常に判断に迷う選手ではないのだろうか。


(2007年 春)







楽天


熊代 聖人(愛媛・今治西)投手 175/73 右/右

 すでに全国でもお馴染みの選手で、投げて打ってのチームの大黒柱。投手としては、上背がなく、常時135キロ強ぐらいの投手で、それほど魅力は感じない。カーブ・シュート・縦に鋭く切れ込むスライダーを併せ持つ。適度に試合をまとめるセンス・それなりの制球力はあるが、これから上のレベルでは断然野手の素材だろう。

 野手としては、大きく足を引き上げて踏み込んで来るところが印象的。バットを寝せて出して来るのだが、豪快に巻き込む打球が多く、センターからレフト方向への打球が目立つ。特に初戦の第一打席に放ったセンター前への打球の速さは「さすが!」と唸らせるものがあった。

 その打撃レベルはすでに全国級で、当然投手だけに肩が良いだけに、あとは走力などが伴うようだとドラフト候補としてマークして好いだろう。その走力は、一塁までの塁間を4.45秒ぐらいと(これを左打者に換算すると4.15秒)、プロの基準を上回るぐらい。ただし上のレベルで、足をガンガンアピールする程ではなさそうだ。

 この選手の何より素晴らしいところは、脱力して無理して叩かなくても打球が飛んで行くところだ。そのため余計な力みがないところが素晴らしい。ただ選抜でもその能力を発揮してくれたが、どのような位置づけになるかは微妙なところ。強肩・強打であることは間違いないが、少々プロを意識するとプレースタイルが微妙なだけに、判断の難しいタイプではないのだろうか。ぜひ夏までにもっとアピールして、その存在感をスカウト達にも示し続けて欲しい!

(2007年・選抜)



 


 最速143㌔の速球と切れ味のあるスライダーが武器で甲子園から帰ってきて県内の大会でも140㌔を記録するなど力がもどってきたが本人のイメージでは不調らしいですが大小のスライダーでのストライクの出し入れ左打者に対してのフォークで三振が取れますが彼の一番良いところは調子が悪くとも心理を読みながら投げられる能力です。フォームは夏より反動を使い投げている様な感じがしますがやはり彼は野手の方が将来性があります高校通算約26本の本塁打を打っていますがライナー性の打球が多いので中距離打者向きですが先を狙う気まんまんの走塁、打球に対する反応や甘い球が来たらすぐさま打てますし身体にバネがありスイングも手首が強くホロースルーもデカイです。 

(2006年・秋季大会 のうなし氏)



コジマ 安値世界一への挑戦



 すでに全国でもお馴染みの選手。4番・エースでチームの投打の柱。投手としては、130~135キロぐらいの速球、カーブ・シュート・縦に鋭く切れ込むスライダーを併せ持つ。適度に試合をまとめるセンス・それなりの制球力はあるが、これから上のレベルでは断然野手の素材だろう。時々球がシュート回転するのも、気になるところ。

 野手としては、大きく足を引き上げて踏み込んで来るところが印象的。バットを寝せて出して来るのだが、豪快に巻き込む打球が多く、センターからレフト方向への打球が目立つ。

 その打撃レベルは、すでに全国級で、当然投手だけに肩が良いだけに、あとは走力などが伴うようだとドラフト候補としてマークして好いだろう。私の見た試合では、文句なしの当たりばかりで、正確なラップが計測出来なかった。新チーム結成後の21試合で、6盗塁と、そこそこの走力はありそうだ。

 この選手の何より素晴らしいところは、脱力して無理して叩かなくても打球が飛んで行くところだ。そのため余計な力みがないところが素晴らしい。センバツでも打棒爆発に期待がかかるところだろう。ぜひ注目して欲しい一人だ。

(2006年・秋)




迷スカウト支えるスポンサー



打ち込めば見つかる捜し物!



 球速は2年生ながら最速143キロをマークし、スライダーや牽制も含めたフィールディングの部分も抜群らしいです。

(2006年 5月11日 RYU氏)